授業力・学級経営力を高めるために〜振り返りを書けるようになるための手立て〜(30)
今期は、授業力・学級経営力を高めるためにも大切になってくる「仕事術」について書いていきます。
樋口万太郎の仕事術を公開します。
ここ数回は「振り返り」について書いています。
京都教育大学付属桃山小学校 樋口 万太郎
「振り返りを3行書きなさい」と行数や文字数などを指定される方がいます。
しかし、こういった方から
・振り返りが書けない
・振り返りの内容が洗練されていない
などといった悩みを聞くことがあります。
前回に紹介したアンケートでも、
・「感想になっている」
・「ただ楽しかった、面白かった、○○がわかったで、終わってしまうことが多い」
・「目当てや学習課題とむすびつかない」
・「まとめをそのまま書いたような内容になりがちだから」
という記述がありました。
そういった子がいた場合、「3行書きなさい」と言うより、「最低、1行は書こう」と少ない量を提示することの方が有効です。書くことが苦手な子も「1行なら書けるかもしれない」と負担なく取り組めるかもしれません。1行以上かけたら、褒めます。そういった経験を積み重ねることで、少しずつ書けるようになります。
そして、1行以上書けるようになったら、「2行で書いてみよう」というように量を増やしたらいいのです。時には、どの子も1行しか書いていない場合があるかもしれません。そういう時は授業がどうだったのかを振り返りましょう。振り返ることがあるときは、何行も書けるはずです。
twitterは1つのツイート140字以内です。140字以内となると相手に伝えるために言葉を厳選しないといけなくなります。また、140字以上よりも140字以内の方が書いてみようかな?という気持ちに子供達もなることでしょう。
そもそも、「振り返りを3行書きなさい」という3行に説得力はありません。なぜ3行なのでしょうか。理由を説明できますか?
1年生では、次のような振り返りをしていました。
わ…わかった?
た…楽しかった?
し…しっかり考えた?
ひ…表現できた?
と…友達と学べた?
という項目を◎、○、△の3段階で自己評価をさせます。この振り返りの仕方であれば、1年生の一学期からも可能です。そんなに難しいものではありません。こういった記号で振り返るという経験を積むことが大切です。
ノートは、
わ…◯
た…◯
し…◯
ひ…◯
と…△
というように書いていました。文を書くだけが振り返りではありません。
樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
同じテーマの執筆者
-
滋賀学園中学高等学校 校長・学校法人滋賀学園 理事・法人本部事務局 総合企画部長
-
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
-
群馬県藤岡市立鬼石小学校 教諭
-
北海道札幌養護学校 教諭
-
元徳島県立新野高等学校 教諭
-
栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭
-
京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会
-
大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) -
大阪市立放出小学校 教諭
-
名古屋市立御器所小学校 教諭
-
高知大学教育学部附属小学校
-
長野県公立小学校非常勤講師
-
北海道公立小学校 教諭
-
浦安市立美浜北小学校 教諭
-
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
-
東京都東大和市立第八小学校
-
浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師 -
東京都品川区立学校
-
鹿児島市立小山田小学校 教頭
-
尼崎市立小園小学校 教諭
関連記事
- 授業力・学級経営力を高めるために〜SNSに上手に向き合う〜[31]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜振り返りの頻度&内容に関するアンケート〜[29]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜誰でも振り返りが書けるようになるために〜[28]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜授業における振り返り〜[27]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜仕事術「ストックを作る」〜[26]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜仕事術「同じものを揃える&箇条書き」〜[25]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜仕事術「3段階で取り組む」〜[24]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜仕事術「SNSでの愚痴」〜[23]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜仕事術「レスポンス」&「いいえと言わない」〜[22]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜1月17日が近づくと〜[21]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜2学期初日に意識しておきたいこと〜[20]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜学級通信で思いを伝える②〜[19]
- 授業力・学級経営力を高めるために~型ではなく理念・理論・想いを取り入れよう~[18]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜学級通信で思いを伝える①〜[17]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜樋口万太郎の仕事術③〜[16]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜樋口万太郎の仕事術②〜[15]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜樋口万太郎の仕事術①〜[14]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜教室環境をアップグレードしよう〜[13]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「春休みにしておくこと」[12]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「どうしてそんなに研究会やセミナーに行くんですか?」[11]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「2年目で私たちを担任していたなんて」〜[10]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「お子さんいらっしゃいますか?」〜[9]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「同じ内容でも言う人によって響き方が違うのだろう。」〜[8]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「○○じゃないよ」[7]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「自分のこと、好きですか?」[6]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「自分らしい授業・学級経営」〜[5]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「久しぶりにブラックの部分が:part3」[4]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「久しぶりにブラックの部分が:part2」[3]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「久しぶりにブラックの部分が:part1」[2]
- 授業力・学級経営力を高めるために〜「2年目の先生が」〜[1]
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)