2022.05.12
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主体的・協同的に学ぶ児童・生徒を育む(全8回)~主体的・協同的な学びってなんだろう~(2)

小学校で,子どもたちが主体的で協同的な学びを実現できる学習を研究してきました。今年度は,中学校へ異動となり,新たな気持ちで研究を継続していこうと思います。
研究と言っても,「ちょっとやってみたい」程度のものや「こうしたらどうかな」という思いつきだったものもあります。子どもの実態によっては失敗もありました。が,子どもたちはいつでも生き生きと学習に励む姿を見せてくれました。1つの提案として読んでいただけたら幸いです。
第2回目は「主体的・協同的な学びへの第1歩~学習課題を変えよう」についてお話したいと思います。

愛知県公立中学校勤務 都築 準子

前ぶれなく始まる,懐かしのネタコーナー(元ネタわかりますかね)

「どうも!効率的な仕事ぶり(なかなか定時に帰れません),充実した私生活(ソファーに洗濯物が山積みです)
 …研究主任(今年はやってません)です!」
「独りよがりの授業で自己満足してる教職員(これはネタ上の演出です)のみんな~?」
「子ども主体の学習って言うけど,実際そんな時間ないよ!って思ってない?」

「じゃあ~,質問です!」

「先生が全部教えたら,子どもは学習内容を100%理解できますか?」 
(聞いていない・よそ事している・そもそも参加していない子どもがいます。感想書かせたり,テストやったりして
 がっかりするパターン,ありますよね?)
「…教えない。…待つの♡」
「学習課題を変えてごらん!自然と子どもは教科書見るから!」

子どもたちが毎日,自分から嬉々として学習に取り組んでくれたらどんなにいいかと思いますよね。子どもたちが意欲をもって学習に取り組めないのは,学習のゴールが分からなかったり,学習する意味がよく分からなかったりするからです。

学習課題を変えてみよう

例えば,小学3年生の国語。説明文「アリの行列」(光村図書)の学習で「段落のつながりを意識させたい」と思い,段落ごとに文を細かく読み解く授業(別名:子どもが無言・無表情になる授業)をします。子どもたちの意欲は低下します。
そこで学習課題を「『アリの行列』を4コママンガにして,みんなと交流しよう」とします。1コマ目に「はじめに」,2コマ目に「次に」,3コマ目に「さらに」,4コマ目に「ついに」と書き,段落を4コマのアリの様子で表現させます。その後,子どもたち同士で交流させます。児童は言われなくても,自ら文章を細かく読むようになります。

例えば,6年生の社会,歴史の学習。「織田・豊臣・徳川の政策を比較させたい」と思い,4時間一斉にインプットする授業(別名:歴男だけが目を輝かせて聞いている授業)を展開します。一部の子どもたちだけで学習が進みます。
そこで課題を「織田・豊臣・徳川を,当時の国民にとっていいリーダーは誰かランキングしてみよう」とします。たくさんの色ペンを駆使しているが,内容をあまり理解していない女子も,教科書をめくったり,資料集を出したりして自然と参加します。

子どもをやる気にさせる学習課題の作り方

学習課題の作り方(資料①)

まず,子どもたちがやる気をもって課題に取り組むためには,その時間で達成させたいことを明確にして,子どもたちがその時間に何ができるようになればいいのか,はっきり分かるようにすることが大切です。教師と子どもが共通の認識を持って課題に向かうためにも,導入(学習課題の共有)は丁寧に行いたいところです。

ゴールまでの地図を教師だけがもち,子どもは教師の決めたルートをなぞるだけのハイキングばかりしていたら,子どもたちは「今日もついていけば(ただおとなしく座っていれば)いいや」と,考えることをやめてしまいます。子どもたちにも,ゴールまでの道のりが描いてある地図を渡し,どのルートをどうやって攻略するか考えさせるようにするのです。

子どもたちが自分の考えをもてるよう支援し,友達と話し合ってみたいと思えるよう教師は働きかけることが必要です。また,学習した内容をアウトプットさせるようにすることで,子どもにとって学ぶ必然性や切実感があるような課題を作ると,子どもたちは「やらなくちゃ」と当事者意識をもちます。(資料①)

学習課題を設定するときに大切な4つのこと

学習課題を設定するときには以下の4つのことを意識します。4つすべて盛り込まなくても意識することが大切です。目の前の子どもが生き生きと取り組めるか考えます。

①明確であること
  比較的学力の高い子どもだけでなく,クラスの子ども全員がわかる表現で示す。
  (例)「なぜスイミーはぼくが目になろうといったのだろうか」
    →「なぜスイミーはぼくが目になろうといったのだろうか。そのわけをかんがえて,
     友だちに自分のかんがえをいえるようになろう」

②具体的であること
  端的に表現しようとせず,多少長くなっても説明的な表現にする。
 (例)「二酸化炭素の実験をしよう」
   →「二酸化炭素の実験を通して,二酸化炭素の性質を3つ以上,友達に説明できるようになろう」

③全員が参加できること
  クラスの全員が最後にどうなればいいのかを示す。
 (例)「黒板に示した問題をクラスの全員が正解できて,解き方を説明できるようになろう」
    「クラス全員が単元開始時より一歩進んだ意見をもつことができるようになろう」

④学ぶ価値があること
  子どもたちが一致して取り組もうという意識を共有するために,その学習をする値打ちを説明する。
  (課題に対する教師の説話)
 (例)「日常生活に役立つ」「これができると○○になる」「次の学習が充実する」など

 参考:「協同学習入門 ●基本の理解と51の工夫」杉江修治 ナカニシヤ出版 2016 

課題を設定するときには,先生方はもちろんやっていることと思いますが,目の前の子どもの実態をよく理解することです。あまりに高い山はやる気をそぎます。イメージは「3分の1の子どもが自分で課題に向かうことができて,3分の2は友達と学び合って課題を達成できるだろう」です。ただ,やってみてうまくいかなかったら,子どもたちとまた話しながら,変更していけばいいだけです。私は,困ったら子どもたちに助けを求めます。子どもは有能です。

さて,学習課題が設定できたら,次回は子どもたちが子どもたち同士で学べる手立てをどう創るか考えていきたいと思います。 

都築 準子(つづき じゅんこ)

愛知県公立中学校勤務


仲間とかかわり合いながら主体的・協同的に学ぶ児童の育成を研究・実践しています。18年にわたる小学校勤務において,協同学習を取り入れた,全員が参加する授業作りを行ってきました。まずは,読んでくださる方に寄り添い,思いを共有していただけるよう心がけます。

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