2023.01.17
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「主体的・対話的で深い学び」の「深い」って?

「深い学び」とは、子どものどんな姿を指すのでしょうか。主体的・対話的に学んでいれば、学びは深まるのでしょうか。実践例をもとに具体的に考えてみます。

東京都品川区立学校 平野 正隆

深い学びをしている子どもの姿

現任校の先生と「子どもが深い学びをしていると感じるときの子どもの様子」について話し合いをしました。すると、以下のような意見が挙がりました。

①みんなが自分の考えを何らかの方法で発信している。
②相手の意見を聞けている。また、受け入れている。
③子ども同士が「教える」「教えられる」関係に留まらず、互いに学び合っている。
④困っていること、分からないことを共有し合っている。
⑤「やり方がわかる、知る」から「考えが広がる、さらなる疑問へつながる」
⑥学習する意味や、それをどう生かせるかがわかっている。

これらの意見が、「深い学び」を考えるヒントになりそうです。これらを詳しく考察してみたいと思います。

発想のある学び

①みんなが自分の考えを何らかの方法で発信している。
このような姿を引き出すためには、まず自分の考えをもつことが欠かせません。そのためには、みんなが見通しをもって解決に取組む必要があります。課題と向き合ったとき、すぐに見通しをもてる子もいれば、そうでない子もいます。
そんなときは、グループでの学び合いが有効です。友達の解法がヒントになり、新たな発想が生まれます。そして、みんなが考えをもてるようになります。このように、ノートに書いた考えを見てもらったり、グループの中で気付いたことを共有したりして発信することで、対話的な関わりが深い学びにつながります。

汲み取る学び

②相手の意見を聞けている。また、受け入れている。
​​​​​​​このような姿を引き出すためには、まず自分の考えを表現することが欠かせません。表現する相手がいるからこそ、聞き入れることができるのです。ここで言う表現とは、自分の感情や思考を、他者に分かりやすく伝えることです。ノートに図や式、言葉などを用いて書き表したり、ペアやグループ、全体に対して説明したりすることが大切です。
しかし、全ての子がうまく考えを表現できるわけではありません。だからこそ、相手は何を表現しようとしているのか、考えるわけです。そこに深い学びが生まれるのではないでしょうか。
説明することを拒む子がいれば、ノートを見て、どう考えたのかを捉えてあげれば良いのです。「相手の考えを受け入れる」その第一歩は、理解することです。

思考再構築の学び

③子ども同士が「教える」「教えられる」関係に留まらず、互いに学び合っている。
「学び合い」は、「教え合い」ではありません。伝える側も、聞いている側も、何かしらの学びがそこに生まれなければ、深い学びにつながらないからです。
だからこそ、伝える側は分かっていることを一方的に言うのではなく、どう伝えればいいかを考え、聞いている側も理解できない部分を「なんでそう思うの?」「これの場合はどう説明する?」などと質問しながら話し合います。
そうすることで、伝える側は思考を再構築させ、聞いている側は思考を広げます。こうして、深い学びを実現できるのです。

結合性の学び

④困っていること、分からないことを共有し合っている。
ミスコンセプション(誤概念)に直面したとき、そう考えていたのは自分だけなのかと確認したくなります。
例えば「周りの長さが長いほど面積は広くなる」「6畳に4人、8畳に6人は同じ混み具合」という間違った概念などです。この誤概念に子どもたちが困惑したタイミングをねらって、時には全体に対して、時には班ごとに「困り感」を共有するようにします。
そうすることで、互いの知恵を出し合い、それを結び付けて解決法を導き出していきます。こうして、深い学びとなるのです。

連続性の学び

⑤「やり方がわかる、知る」から「考えが広がる、さらなる疑問へつながる」
その時間に学んだことが、「解き方が分かる」「新しい知識を得る」に留まってしまえば、深い学びとは呼べません。これでは、学びが単発になってしまいます。
多様な考えに触れることで「他にも考え方があるかもしれない」と思って、広い視野で捉えたり、「〜の場合は、どう考えればいいのだろう」と疑問を抱いたりすることで、学びは連続していきます。これが深い学びにつながります。

活用性の学び

⑥学習する意味や、それをどう生かせるかがわかっている。
学んだことを別の学習に生かせたり、生活場面で活用できたりすることを、子どもたち自身がイメージできていることで、学びは深まります。
合同な図形の敷き詰めでは、「●●駅の近くの公園の地面にタイルが敷き詰めてあったけど、あれは五角形だった」「正五角形ならひとつの角度は108°だから、どう考えても敷き詰められないよ」「じゃあ、あの五角形は正五角形じゃないのかな」となり、図形の敷き詰めについて調べる価値を見い出しながら学習することで学びは深まります。
このように、学びを何にどう生かすか理解していることが重要です。

おわりに

次回以降、深い学びを引き出す実践をさらに詳しく紹介していこうと考えています。

平野 正隆(ひらの まさたか)

東京都品川区立学校


研究会での実践報告や校内での若手教員育成などの経験を通して、自分の経験や実践が広く皆様のお役に立てるのではないかと考えております。大人・子どもに関わらず、「明日から頑張れそうです」「明日が来るのが楽しみです」と言ってもらえるのが私の喜びです。

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