ドキドキの1年生「大人も子どもも、ドキドキの4月」(NO.1)
久しぶりに4月当初から、1年生の担任をしています。1年生の担任をしてこなかったというのではなく、年度の途中から受け持ったり、通級の指導で1年生を担当したりしたことはあったものの、前回入学式から担任をするのは、いつのことだったかなという感じなのです。もう二度とこういったチャンスには恵まれないだろうと思っていたのに、人生何があるか分かりません。
「ドキドキドン!1年生」という歌があるのですが、その歌を子どもたちと歌うたびに、自分もドキドキの毎日だなと思って4月を過ごしてきました。
特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子
“学校”という新しい世界
さて、「1年生プロブレム」とか「1年生の壁」といった表現があるように、幼稚園や保育園と学校というのは、似て非なるものです。生活している子どもたちの年齢層も違いますし、学校で生活する人数も格段に大きくなるでしょう。新しい建物や部屋、新しい友達、そして新しい教師に囲まれて過ごすことに慣れるのは、簡単なことではないのです。また、生活のリズムも大きく異なります。小学校では授業という枠が生活を構成しているのです。気ままに遊んだり、トイレに行ったりということが難しくなります。
もちろん、休憩時間でなくともトイレに行くようにと頻繁に声を掛けてはいますが、トイレ休憩ばかり取っているわけにもいかないという教師の都合があるのも否めません。
一方、保護者の皆さんもご苦労されているでしょう。学校からは、「今日の時間割や持ち物」を毎日確認するよう求められます。教科書とノートはこれとこれ、今日は粘土を持って行く日で、明日からは給食が始まるからハンカチやランチクロスを用意しなくちゃ等々、相当な手間と時間がかかっていることと思います。しかし、これらの準備は1年生ひとりでできるものではなく、学校に慣れるまでの半年、あるいは一年の間は、どうしても支援していただかなければなりません。どうぞよろしくお願いします。
保護者も教師もてんてこ舞い
では、教師の私はどうかというと、自分自身も大量の情報の渦に巻き込まれており、キャパシティーオーバーな日も多かったです。これは、高学年の担任をしたとしても、あるいは算数の担当をしたとしても経験できないほどの情報量でした。入学の土台を作るための書類の整理から、子どもたちのスケジュール管理、給食の手配などに加え、様々な行事にも対応せねばならず、頭が疲れているのか、体の疲労が溜まっているのか、自分でも分からなくなるような感じを覚えていました。
そして、1年生に入学するというのは、子どもだけではなく、保護者も教師もてんてこ舞いになるんだなと改めて感じ、もっと円滑にするような手法はなかったのかと振り返ってもいます。
もし、ご自身の近くに1年生がいたら、新しい生活に慣れるまでとっても苦労しているんだなと、思いを寄せてください。そして、ぜひ、優しい言葉をかけてあげてください。彼らは、毎日元気に学校に通っているだけで、「はなまる」なのですから!

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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