2021.09.24
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演劇いろいろ~ピッコロフェスティバルへの挑戦③~(15)

ピッコロフェスティバルに出演してからおよそ1カ月が経ちました。
子どもたちの感想をもとに、ピッコロフェスティバルへの挑戦を通して成長した子どもたちの姿について考えてみたいと思います。

尼崎市立立花南小学校 主幹教諭  富良野塾15期生。青年海外協力隊平成20年度1次隊(ミクロネシア連邦)。 山川 和宏

子どもたちのふり返り

子どもたちが舞台の本番に臨んでいる間、私は客席の一番後ろのさらに上方に設けられた照明ブースにいます。なので、舞台上での子どもたちの演技については遠くから見ることができるのですが、舞台裏での様子については全く分かりません。いったん幕が上がると、幕が下りるまでは子どもたちだけで芝居を続けているのです。

後日、子どもたちに書いてもらったふり返りシートには、私の知らなかった舞台裏での子どもたちの様子や心の動きがたくさんつづられていました。その中には、いくつかの共通するキーワードがありました。

キーワードをもとに、子どもたちの成長について考えてみたいと思います。

①不安と緊張

●最初はとても緊張してふるえていました。
●まちがえないか不安で、とても緊張していました。
●緊張して口から心臓が飛び出しそうでした。
●はじまりのブザーがなった時すごく緊張して、失敗した時のことばかり考えてしまって死にそうでした。
●ピッコロシアターは広くて大きくて、「声が一番奥の席まで届くかな」「身振り手振りを忘れずに芝居できるかな」などいろいろな不安がありました。
●幕にふれずに舞台に出られるか、とてもハラハラして緊張しました。
●緊張と恥ずかしさでドキドキして声が出なくなりそうになっていました。深呼吸をしたら、少し恥ずかしくなくなりました。最初の群唱をみんなで言ったら、緊張も恥ずかしさもどこかに行ってしまいました。
●練習の時にいつも噛んでしまうセリフがあって、本番も噛んでしまうんじゃないかと不安だったけど、自分を信じてみたら噛まずに言えたのでとてもうれしかったです。

②励ましと勇気

●みんなで「頑張ろう」や「いい演技にしよう」と言い合って励まし合って、少し気持ちがラクになりました。
●本番直前はずっと「頑張ろう、頑張ろう」ばかり言って、励まし合っていました。
●みんなの演技がいつもよりすごくて、そのおかげで自分も全力を出そうと頑張れました。
●自分の出番では、先生に注意するようにアドバイスしてもらっていたことを思い出して、セリフを会場全体に響くように思い切って言えたと思います。
●初めての劇だったけど、みんなと一緒に練習していくうちに、だんだんと自分にもできるような勇気がわいてきました。

③楽しさ

●緊張したけど、舞台に上がっているうちにすごく楽しくなってきました。
●最初のシーンが終わったら、もうすっかり楽しい気持ちになっていました。
●いざ舞台に上がってみると、緊張が吹きとんで、とても楽しく劇ができたと思います。
●自分たちが今までやってきたことを全力を出していい舞台にできたし、とても楽しむことができたので、「もうちょっとこうすればよかった」ということはありません。
●終わってみるとすごく楽しくて、もっといろんな役をしてみたいと思いました。
●仲間と楽しく1つの劇を創ることのできた最高に幸せで最高に楽しい時間でした。

④うれしさ(喜び)と達成感

●幕が下りた後、客席から「最高!」という言葉が聞こえた時はとてもうれしかったし、今まで練習してきてとてもよかったと思いました。
●自分たちにとって、いい舞台ができたと思ったし、観に来てくれていた人たちがほめ言葉をたくさん言ってくださったのでとてもうれしかったです。
●お客さんの笑い声が聞こえてきて、とてもうれしくなって楽しく芝居できました。お客さんの反応がうれしかったし、お客さんの前で芝居することがこんなに気持ちいいとは知らなかったです。
●少し小さな声になってしまったけど、自分のセリフを言えてうれしかったです。
●練習の時より大きな声を出せてよかったです。
●すごく大変だったけど、大変だったからこそ、終わった後の達成感はハンパなかったです。
●無事に楽しく終わることができたし、終わったらとてもうれしくて達成感があって、演劇クラブに入って良かったと思いました。
●みんなとよい思い出をつくれてよかったです。
●このメンバーで本番までできてとてもよかったです。
●ピッコロシアターで演劇をさせてもらって、お客さんもたくさんいて、みんな「やりきった!」って言っていて、みんなで笑顔になっていたからよかったです。
●前回は直前で演劇発表会が中止になってしまって体育館でお家の人に観てもらったけど、今回はピッコロシアターで観てもらうという目標が達成できたので最高にうれしかったです。

⑤感謝

●今のコロナ禍の中でピッコロシアターに出られたということに感謝したいです。
●このコロナの中だけど、無観客ではなくお客さんの前で無事に演劇ができたことに感謝したいです。
●この難しい状況の中で直前まで開催の計画をしてくれた人たちに感謝を伝えたいです。
●最後までみんなでやり遂げられたことに、「ありがとうございました」と言いたいです。
●苦しい時もあったけど、最高に楽しい経験ができました。ありがとうございました。
●ピッコロシアターにたくさんの人が観に来てくれてうれしかったです。観に来てくれて、ありがとうございました。

⑥未来

●この冬はコロナの状況でどうなるか分かりませんが、冬もピッコロシアターで芝居ができることをみんなで願っています!
●もっといろいろな役や芝居に挑戦したいです。
●芝居に完成形はないと思うので、これからも演劇を続けて、もっともっといい劇を創ってお客さんにいっぱい感動してもらえるようにしたいです。
●みんなで一つの物を創るということからたくさんのことを学んだので、学んだことをこれからも生かして頑張っていきたいです。
●これからも演劇を続けたいです。そして、滑舌をよくしたいです。
●コロナで小学校生活最後の体育大会は中止になってしまったけど、演劇をみんなで頑張った時のように、クラスや学年のみんなとソーランを完成させるという目標を達成したいです。
●コロナで冬にもピッコロシアターでできるか分からないけど、できるなら参加して、今回よりももっといい芝居を創りたいです。
●何事にもこれからも全力で挑戦したいです。

挑戦のあとさき

子どもたちのふり返りを通して、ピッコロフェスティバルの挑戦による、以下のような子どもたちの成長の流れが確認できました。

①ピッコロシアターという大舞台を前にしての、凄まじいまでの不安緊張。
→②仲間同士の励ましと、これまでの稽古(練習)の積み重ねがもたらす勇気が緊張と不安を和らげる。
→③仲間と演じているうちに緊張よりも楽しさが勝ってくる。
→④お客さんの前で最後までやり遂げることによるうれしさ(喜び)達成感。
→⑤それをもたらしてくれた周囲の人たちへの感謝の気持ち。
→⑥この経験を未来につなげたいという思い。

ピッコロフェスティバルが子どもたちにもたらしてくれた成長は、とても大きなものでした。そこに至るまでには、たくさんの時間を費やした稽古(練習)があります。その過程にこそ価値があるという思いで演劇活動をしていますが、今回このようにピッコロフェスティバルの本番に注目して子どもたちの成長を追ってみると、やはりピッコロシアターという大きなホールで、大勢のお客さんを前に発表するということには特別な意味があると強く感じました。

現在のコロナ禍において、入念に準備を重ね、ピッコロフェスティバルを開催してくださった関係者のみなさまには心よりの感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、一つの挑戦を立派にやり遂げ、新しい未来に向かって走り始めている子どもたちにエールを贈りたいと思います。

山川 和宏(やまかわ かずひろ)

尼崎市立立花南小学校 主幹教諭
富良野塾15期生。青年海外協力隊平成20年度1次隊(ミクロネシア連邦)。
テレビ番組制作の仕事を経て、小学校教師になりました。以来、子どもたちと演劇を制作し、年に2回ほど発表会を行っています。

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