2021.09.02
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演劇いろいろ~ピッコロフェスティバルへの挑戦②~(14)

2021年8月18~20日、兵庫県尼崎市のピッコロシアター(兵庫県立尼崎青少年創造劇場)において、ピッコロフェスティバル県民参加企画《演劇》小・中・高校生の部が行われました。
前回に引き続き、その様子をご報告します。

尼崎市立立花南小学校 主幹教諭  富良野塾15期生。青年海外協力隊平成20年度1次隊(ミクロネシア連邦)。 山川 和宏

ピッコロフェスティバルに参加

8月18日(水) 

8月20日(金)に兵庫県下に緊急事態宣言が発令されることが決定したため、その対応を協議。ピッコロフェスティバルは、国や県が示した基準を満たしているので予定通り開催されるとのこと。学校の判断としては、他校の発表を観劇する予定を諦め、出演後は速やかに帰ることにする。
また、この日は大雨。尼崎市には出されていないが、周辺の市には軒並み大雨警報が発令されていた。そのため、この日ピッコロシアターでリハーサルを行う予定だった伊丹・西宮市の4校がリハーサルを行うことができずに、明日の本番直前に簡易リハーサルを行うことで対応することになった。
本校は、19日にリハーサル、20日に本番という予定のため、この日は体育館のステージで通し稽古を行った。

8月19日(木)

午前中に体育館で最後の通し稽古を行う。この日も大雨。体育館の屋根に打ちつける激しい雨音で子どもたちのセリフが聞き取れない。いつ大雨警報が出てしまうかと、気が気でないまま稽古を終える。
午後から雨の中ピッコロシアターに移動。ピッコロシアターが見えてくると、子どもたちのワクワクは絶頂に達していた。到着後に2校の発表を観劇する予定だったが、そのうち西宮市の学校が大雨警報のために出演できず、翌日に延期された。観劇するはずだった時間を使って、急きょ小ホールで通し稽古を行う。さらに大ホールでリハーサルを行う。卒業生がメイクやリハーサルの進行などの応援に来てくれて、非常に助かった。
リハーサルでは、ピッコロシアターの照明スタッフの方が、素晴らしい明かりを準備して下さっていて、子どもたちはまずそのことに感動していた。その分、緊張も高まったが、気合いもしっかり入っていた。ピッコロシアターのスタッフの方々が子どもたちのために素晴らしい舞台を準備して下さっていることに感謝の気持ちでいっぱいになる。

8月20日(金)

8時集合。まずは全員が元気に集まっていたことに安堵する。日々の感染対策を徹底していたとはいえ、それでも「感染者が出ないか。そしてそれを拡大させてしまわないか」という不安は拭えなかった。コロナ禍の中で欠席者なしで出演できることがどれほどありがたいことか!天気はすっきりしないが、とりあえず雨が降っていないことにもホッとする。
開館前にピッコロシアターに到着したので、近くの大きな公園で声出しなどのウォーミングアップを行う。朝一番なので、全然声が出ていなくて心配になる。しかし、気温が上昇してきたので、無理せず早めに切り上げて涼しい小ホールでのウォーミングアップに切り替える。
10時開演。あっという間の1時間。本番前はガチガチに緊張していた子どもたちが、本番終了後には満面の笑顔と涙で「楽しかった!」と言い合って抱き合っていたこと。観に来て下さったお客さんにたくさんの拍手をいただいたこと。みんなで一つのことをやり遂げた達成感とお客さんに楽しんでもらえた喜びに、みんなが満たされていた。
そして、終わったと同時に、彼女たちは「次の芝居」に気持ちを向けていた。今を一生懸命にやり切って、そして未来に向かって走り続けようとする。すごい子たちだ。
祭りが終わった後のように、興奮と寂しさがごちゃまぜになって子どもたちは家路についた。それぞれの子どもたちが全力を出し尽くしたからこそ得られた経験になった。
コロナ禍においてたくさんのことを諦めざるを得なかった子どもたちがようやくたどり着いた一つのゴール。

8月25日(水)

2学期の始業式の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、翌週に延期となる。緊急事態宣言中の部活動の停止など、新たな方針が示される。もしもピッコロフェスティバルの開催が一週遅ければ参加できなかったと考えると、出演できたことのありがたさが身に染みる。
本来であればこの日に子どもたちを集めて、振り返りを行う予定だったが、それも延期となる。

感想メッセージカードより

本校の発表を観劇していただいた方からのメッセージを紹介します。

●すごく面白かったです。演技上手です。ダンスもみんなそろっていたし、全体のレベルの高さに驚きました。
●みんなすごい演技がうまくて感動しました。
●一人一人が輝いて見えました。
●素晴らしかったです。目の前で、彼らが、一所懸命であったであろうこと。大袈裟でなく、大きな希望です。
●見ていて、いろいろと自分自身のことが重なってきました。
●とてもとてもお疲れ様でした!!!!すごく完成度高かったと思いますよ!!父と二人で見ていましたが、父は泣いていました!みんなの自分の役に対する思い入れがきちんと伝わってきていましたし、だから感動したんだと思います。
●終わった後にみんなやりきった!という顔をしていて良かったと思います。マスクが濡れている子もいて、舞台上で泣いていたんだな、それを客席で見てあげれなくて残念だなと少し思いました。もし次機会があればもう少し前の席で見ようと思います。
●きっとコロナの中で、マスクを付けてやったりと変化も大きいなかで演じるのはとても大変だったと思います。大きなミスもなかったと思うし、本当によくやり遂げただろうと思います。
●とても面白かったです、見ていて飽きませんでした。素敵なものを見れました、ありがとうございます。
●空手の技がめっちゃキレキレで、最高の癒しです!!
●発声が心から叫んでいる感じですごくよかったです。歌も上手でした。
●最後まで声量が落ちずにやり切っていてすごかったです。
●声がとてもキレイで聞こえやすかったです!!みんな演技力が高すぎてすごかったです!!
●クライマックスの盛り上がり方が良かったです。最後に全てがつながる感じで大好きです。全員がすごかったです。
●小学生とは思えない演技でした。おそろしい。
●みんなかっこよかったよ。感動しました。ありがとう!!
●笑いあり涙ありでとてもよかったです。
●主人公の生き様がすごく悲しくてかっこよかったです。感動しました。ギャグも思い切りがよくてキレがあって、面白かったです。
●ストップモーションやスローモーションでみんなが一体となっているところにとても感激しました。自分もあんな風にきれいな動きをしたいです。これからも演劇を楽しんでください。
●照明やスローモーションをうまく使ってストーリーを展開していてきれいだなと思いました。
●めっちゃ良かったです。すごいです。子どもたちのエネルギーがびんびん伝わってきました。泣いちゃいました。
●とても良かったです。一人一人の個性や特技が出てました。そして、台本を知っていても毎回泣けます。短期間でよく仕上がったものだと感心しました。聞き慣れたセリフや見慣れた芝居でも、演者によって毎回新鮮で、こんな表現もあるんだなと勉強になります。

さらに出演した子どもたちの感想です。

●演劇をして、私はたくさんのことを学び、たくさんのものを得ました。1つの芝居を創るのには、たくさんの練習が必要です。でも今回は、コロナの影響で練習期間がすごく短かったです。はじめはできるのかなと思っていたけど、やってみるとやっぱり大変でした。ピッコロシアターに出るのが初めての人が多くて、声もしっかり出さないといけないし、動きも大きくしないといけないので、みんなにそれを分かってもらうことが大変でした。でも、すごく大変だったからこそ、終わった後の達成感がやっぱりすごかったです。
●このコロナ禍の厳しい中で、ピッコロシアターで演劇をさせてもらえて、初めての子もたくさんいたけどみんな「やりきった!」と言っていて、みんなで笑顔になれたから本当によかったです。短い練習期間で、ここまでできるとは思いませんでした。最後までやり遂げることができてよかったです。お客さんにも喜んでもらえてよかったです。
●最初は楽しそうだからやってみたけど、夏休みも練習があるのは嫌だったし、うまくできなくて練習に行きたくないと思ったこともありました。だけど、少しずつできるようになってくると練習に行くことが楽しくなりました。
●大きな劇場の舞台裏をちゃんと見るのが初めてで、見たこともないような機械を操作することができて楽しかったです。
●本番は間違えないか不安でとても緊張していたけど、しているうちにだんだんと楽しくなって、私が出ていない場面でもお客さんが笑ってくれていることがうれしかったです。間違えたところもあったけど、とても楽しかったです。
●本番は緊張で心臓がばくばくと鳴っていて、失敗したところもあったけど、無事に成功してよかったです。本当に楽しい毎日でした。
●このメンバーでこの劇をするのは、これで最後だから、本番ではみんなの演技がいつもといい意味で違いました。改めて芝居の難しさとすごさを知りました。つまずくこともあったし、しんどいこともたくさんあったけど、やっぱり終わった時には、「やって良かったな」、「またやりたいな」、「楽しかったな」と思いました。演劇が終わって、休みの日に練習がないのがすごく寂しいです。はじめて自分が心から楽しいと思えることを見つけられて本当に良かったです。これからも一つ一つのことを大切に、全力でがんばります!!
●次にどんな劇をやるのか楽しみです!!

演劇の可能性

今回も決して平坦な道のりではなかったが、何とか無事にゴールにたどり着くことができた。そして、子どもたちにとっては、とてもハッピーなゴールになった。
どのようなゴールを迎えるかということはもちろん大事なことの一つだが、それ以上に、子どもたちが目標に向かって努力をし、お互いの歩むべき道について話し合いを重ねながら進んできた過程に大きな価値があったと思っている。
みんなで一つのモノを創り上げるということ。一人一人が自分の役割に責任を持つということ。準備が結果につながるということ。観てくださる人に喜んでもらいたいという気持ちを大切にすること。演劇には、演じると云うこと以外にも、様々な学びがあることに改めて気づかされた。

この2か月で子どもたちは、着実に成長した。演劇がその成長に大きな役割を果たしたことが、何よりうれしい。
一つのことをやり遂げた子どもたちは、次の目標に対しても、全力で挑戦するであろう。次の目標は演劇でなくても構わない。むしろ、演劇以外の場でもどんどん羽ばたいてほしい。演劇を経験したことが、目標に向かってチャレンジすることの素晴らしさを子どもたちに教えてくれたということに変わりはないのだから。
子どもたちがこれからどのように走り続けるのか、楽しみでならない。

山川 和宏(やまかわ かずひろ)

尼崎市立立花南小学校 主幹教諭
富良野塾15期生。青年海外協力隊平成20年度1次隊(ミクロネシア連邦)。
テレビ番組制作の仕事を経て、小学校教師になりました。以来、子どもたちと演劇を制作し、年に2回ほど発表会を行っています。

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