鉄板ネタ!4月の体育授業開き(完結編)
小学校の体育って、最初に体ほぐしの運動(遊び)が超大事なんだって!
魅力的な教材と語りで、子どもたちの心を動かすんだ!
風船を使ってみんなでワイワイ、最後は大きな壁に挑戦!
失敗してもOK! みんなで話し合って乗り越えるんだ。
先生って、本当に最高の仕事だよね!
子どもたちの笑顔、見たくない?
目黒区立不動小学校 主幹教諭 小清水 孝
体ほぐし,教材,語り,そしてフェーススケール
前回までの記事では,【A集合ゲーム】【Bバナナ鬼】【Cフープ遊び】を通して,次の三つのことをお伝えしました。
- 小学校体育の「体ほぐしの運動(遊び)」は4月に行う。その後の体育学習や学級経営に良い影響を与える。
- 優れた授業は,「魅力的な教材」と「力強い語り」が一体となって展開される。
- フェーススケールを利用して心の変化に気付かせる。
風船チャレンジ1「風船を落とすな!」
(1)ルール説明
- チームで風船を落とさないようにするゲーム
- 1チーム5人程度
- 1つの輪を作り,内側を向く。手を繋ぐ。
- 体のどこで弾いてもよい。
- 2分間続けられたら成功
- アウトになったら,座る。
(2)アウト3条件
- 風船が床に落ちたとき
- 繋いでいた手が,一人でも離れたとき
- 風船を体ではさんだとき
(3)盛り上がるポイント
- 教師が「手伝うよ」と近づいて,風船を遠くに弾く。
- 子どもたちが「先生邪魔しないで!」「先生こっちこないで!」と言い,笑いが起きる。
- 成功したチームに得点を入れる。
- 男女で手を繋げない雰囲気の学級では,ゼッケンを握らせると抵抗なくできる。
風船チャレンジ2「風船を運べ!」

(1)ルール説明 ※「風船を落とすな!」との違いのみ記載
- 20m先まで風船を運ぶゲーム
- 2分間以内に運べたら成功
- アウトになったらスタート位置に戻ってやり直し
(2)アウト3条件
「風船を落とすな!」に同じ
(3)盛り上がるポイント
- 教師が「先生に何か手伝えることある?」と近づく。
- 子どもたちが「ありません!あっち行って!」「また邪魔しに来たよ!」と言い,笑いが起きる。
- 成功したチームに得点を入れる。
風船チャレンジ3「風船を入れろ!」
(1)ルール説明 ※「風船を運べ」との違いのみ記載
- 20m先にあるゼッケンかごまで風船を運び入れるゲーム
- 5分間以内に運べたら成功
- かごに風船が1回入ると1点。時間内に何点入れてもよい。
(2)アウト3条件
「風船を落とすな!」に同じ
(3)盛り上がるポイント
- 教師はゼッケンかごの付近で子どもの様子を観察する。
- 成功したら「お~!すういすごい!」と盛り上げ役に徹する。
ジャイアントウォール(巨大な壁)

(1)ルール説明
- 体育館に積み上げられたマット(壁)を乗り越えるゲーム
- 学級の全員が越えられたら成功
- 時間は5分
(2)語り
「先生は4年生以上を担任したとき,毎年この壁を作ってきた。これまでに受け持った子どもたちは,この壁を乗り越えようとチャレンジしてきた。成功率は50%。失敗すれば涙し,成功すれば歓喜に沸いた。私は君たちが乗り越えられると信じている」
いかがでしょう。少しくらい話を盛っても構わないでしょう。教師の表情と語りで,マジな空気を作り,演出することが重要です。
(3)問い
私の経験上,1回目は失敗します。我先にと運動が得意な子が突っ込んでいくからです。体の重い子,運動が苦手な子が順番の最後の方になります。失敗します。失敗することが重要です。
失敗後,子どもたちを集合させます。問います。
「どうだった?(失敗しちゃった...)」
「どうやったらうまくいく?」
すぐに発言は出ないでしょう。おそらく体育館を沈黙が支配します。教師は沈黙が苦手です。しかし,この沈黙に負けずに待ちます。教師がぐっとこらえて待つことが重要です。待てば,必ず誰かが次のように言います。
「先生,ぼくが土台になってもいいですか?」
この発言が出たら,教師は言葉を発さず,発言者の目を見てゆっくり頷くだけでよいです。
「作戦時間は3分間」
教師はこれだけ言って終わりです。
この3分間は教師にとって至福の時間です。子どもたちが真剣に話し合う姿は光輝いて見えます。教師をやっていてよかったと思える瞬間でしょう。
「ぼくが先に言って上から引っ張るよ!」
「私は土台になってAちゃんを先に行かせるよ!」
「俺,最後まで残ってBくんをサポートするよ!俺は最後に行く!」
普段やんちゃな男子が,このときばかりは男前に見えます。
おそらく2回目は成功するでしょう。最後に残ったやんちゃな男子がジャイアントウォールを乗り越えたとき,体育館に歓声が沸くことでしょう。
読者の皆さんは,成功後にどんな語りをするでしょうか。
教師は最高の仕事

1本の記事を書くはずが,3回の連載となってしまいました。すべて読んでくださった方に心より感謝申し上げます。お付き合いいただき,本当にありがとうございました。本記事を読んだタイミングが4月でなかった場合でも諦めないでください。学級を仕切り直す9月,1月にもオススメなのが体ほぐしの運動です。
教師は最高の仕事ではありませんか。ぜひ,体ほぐしの運動を実践され,子どもたちと壁を乗り越えてください。そして,子どもたちを褒めちぎってください。教師にとって,幸せな瞬間です。
もし,実技研修のご希望がございましたら,お知らせください。東京都小学校体育研究会の研究部長クラスのメンバーを揃え,私と私の仲間が無償でサポートさせていただきます。

小清水 孝(こしみず たかし)
目黒区立不動小学校 主幹教諭
フープ1本でできる運動を3つ以上言えますか?
現場で使える技術、できる実践、リアルな指導法を日々追究しています。
現場の先生方、共に考え、指導法の選択肢を増やしていきましょう!
NPO教育サークル「GROW5th」代表。
同じテーマの執筆者
-
兵庫県神戸市立桜の宮小学校 特別支援教育士スーパーバイザー(S.E.N.S-SV)
-
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
-
兵庫県姫路市立坊勢小学校 教諭
-
岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 主任
-
福岡市立千早西小学校 教頭 今林義勝
-
大阪市立堀江小学校 主幹教諭
(大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年) -
戸田市立戸田第二小学校 教諭・日本授業UD学会埼玉支部代表
-
佛教大学大学院博士後期課程1年
-
旭川市立大学短期大学部 准教授
-
明石市立高丘西小学校 教諭
-
木更津市立鎌足小学校
-
北海道公立小学校 教諭
-
信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
-
東京都東大和市立第八小学校
-
浜松学院大学地域共創学部地域子ども教育学科 教授
-
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
-
静岡市立中島小学校教諭・公認心理師
-
大阪大谷大学 教育学部 教授
-
東京都品川区立学校
-
岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭
-
神奈川県公立小学校勤務
-
寝屋川市立小学校
-
鹿児島市立小山田小学校 教頭
-
静岡大学大学院教育学研究科特任教授
-
明石市立鳥羽小学校 教諭
-
仙台市公立小学校 教諭
-
東京都内公立中学校 教諭
-
東京都公立小学校 主任教諭
-
尼崎市立小園小学校 教諭
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
この記事に関連するおススメ記事

「教育エッセイ」の最新記事
