2020.10.06
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演劇いろいろ~劇をつくろう~(4)

劇を創るには、まずは何から始めればいいのでしょうか?
今回から何回かに分けて、私が子どもたちと1つの演劇作品を創り上げる過程を紹介します。

尼崎市立立花南小学校 主幹教諭 山川 和宏

1.まずは、メンバーを集めよう。

学級や学年単位で取り組んでもよし。クラブ活動や部活動などで異学年の子たちが集まるのもよし。有志の子を集めてもよし。演劇をやってみたいという子どもが一人でもいれば、劇づくりは始められます。
ただ、ここではある程度の人数が集まったという前提で、お話を進めていきます

2.ゲームをしながら、演劇的な感覚を磨こう

はじめの1か月くらいは、アイスブレイクを兼ねて、演劇につながるゲームやアクティビティを繰り返して、楽しみながら演劇的な感覚をつかむ時間をたくさんとるようにしています。
その中から、いくつかのゲームやアクティビティを紹介します。

歩き回る
広めの教室といった、ある程度の広さのある場所で活動を始めます。
まず、参加者はその場をひたすら歩き回ります。気分を盛り上げるために音楽をかけてもいいでしょう。
指導者が「あいさつ!」と声をかけると、参加者はすれ違う相手にどんどんとあいさつをしていきます。「じゃんけん!」と声をかけると、すれ違う相手とじゃんけんをします。「じゃんけんに3連勝したら、抜けていいよ」というと、より必死でじゃんけんするでしょう。「進化じゃんけん」(じゃんけんに勝つと進化する。負けると退化する)をしてもいいと思います。
また、「すれ違う相手に動物の名前を言う。言われた人はその動物の鳴き声と身振りで返事する」というように、お題を工夫していくとより一層盛り上がり、相手のセリフに反応するトレーニングにもなります。
さらに、歩いている途中で「5人!」と言えば5人で円をつくり、「3つ!」と言えば全員が3つの円に分かれるという活動も同時に取り入れることがあります。これは、参加者の空間把握の力を養う目的があります。

気合いまわし
参加者は、円になって並びます。最初の人が、「ハッ!」という腹の底からのかけ声とともに、気合いを別の誰かに送ります。気合いを受け取った人は、さらに別の誰かに向けて気合いを送り、それをテンポよくどんどん繰り返していきます。自然と手振りや目力とともに気合いをまわしていけるようになります。
気合いではなく、セリフをまわすこともできます。「わたし・あなた」という言葉をまわすようにすると、セリフを受け取ることに対する意識が身につきます(「わたし」と言って受け止め、「あなた」と言って別の誰かに送ることを繰り返します)。

1枚の絵(ありがとう)
参加者は、5~6人程度のチームに分かれます。
1枚の絵に見立てて、はじめの人がストップモーションで好きなポーズをとります。残りのメンバーは、絵の中にさらに入りこんで、その絵を別の意味を持った絵に変えます。変えてもらったはじめの人は、「ありがとう」といってその絵の中から抜けます。そして、さらに別のメンバーがその絵の中に入り込んで、その絵を別の絵に変えていくというリレーです。1分間で何枚の絵に変えることができるかを競ってもいいでしょう。
例えば、初めの1人が手を振るポーズをしているとします。そのままだと、誰かとお別れしている絵になりますが、次に別の人がその絵に入りこんで初めの人の手に自分の手を重ねるポーズをとって「やったね!」と言えば、おめでたいことがあってハイタッチしている絵に変わります。この時点ではじめの人が「ありがとう」と言って、その絵から抜け出ます。そして、次の人が絵に入り込んでバットを構えるポーズをして「プレイボール!」と叫べば、ハイタッチしていた2番目の人は野球のピッチャーに様変わり。野球の試合の一コマに変わりました。そして、2番目の人が「ありがとう」と言って抜け出して、次に別の誰かが・・・といった感じで進んでいきます。
文章にすると分かりにくいかもしれませんが、思いついたことを、どんどんとつなげていくことで、発想力が鍛えられ、自然と恥ずかしさが消えていきます。

ウインクキラー
参加者は、全員で歩きまわります。
あらかじめ参加者の中に鬼を(他のメンバーには知られないように)決めておき、鬼はすれ違う人にウインクをしていきます。ウインクをされた人は7歩歩いてから大声で悲鳴を上げて倒れます。
鬼以外の人は、誰が鬼なのかを言いあてれば鬼をやっつけることができます。鬼を言いあてられなかったり、間違った人を言ってしまった時は、ゲームオーバーです。
鬼を複数人にするとか、鬼をやっつけるためには二人以上が同時に鬼を言いあてないとダメだとか、いろいろな発展型があります。
子どもたちの一番のお気に入りのゲームです。

すみませ~ん!
参加者は、壁に向かって一定間隔をあけて並びます。
別の参加者が、少し離れた場所から特定の誰かの背中に向かって、「おーい!」や「すみませ~ん!」と言って声をかけます。
並んでいる人たちは、自分が呼ばれたと思ったら、振り向きます。
声をかけた相手が振り向いてくれたら、交代します。
これは、特定の誰かに届けようと意思を持って発せられた声は方向性がはっきりするという感覚をつかむことができます。

わたしはだれ?
参加者の背中(あるいは額)に、「お腹をすかせた熊」や「コンサート中のジャイアン」といったように、「〇〇している△△」といったようなお題を書いた紙を貼ります。もちろん、自分の背中に何と書いているかは、自分では知りません。
参加者は歩き回って、すれ違った相手に対して、そのお題をもとにリアクションをとります。そのリアクションをもとに、自分が何者なのかをあてるというゲームです。ここで大切にしたいのは、ジェスチャーゲームではないので、あくまでお題のような人物(あるいは動物など)に出会った時のリアクションを忠実に演じるということです。

これらのアクティビティと同時進行で、ストレッチや発声などの基礎トレーニングも行うのですが、そのことについてはまた次回に紹介します。
他にもいろいろなゲームがたくさんあるので、それらもまた紹介できたらと思っています。

山川 和宏(やまかわ かずひろ)

尼崎市立立花南小学校 主幹教諭
富良野塾15期生。青年海外協力隊平成20年度1次隊(ミクロネシア連邦)。
テレビ番組制作の仕事を経て、小学校教師になりました。以来、子どもたちと演劇を制作し、年に2回ほど発表会を行っています。

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