2020.09.18
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

演劇いろいろ~演劇発表会の実施検討~(3)

このエッセイを連載するにあたっての1回目の原稿で、第70回を数えた尼崎市小中学校演劇発表会が事業仕分けの中で廃止されることになったと報告しました。その後、演劇発表会に携わる様々な方々の働きかけとご尽力により、急転直下、今年度も発表会の予算がついて、継続されることに決まりました。
しかし、そこで直面しているのが、新型コロナウイルスの感染拡大の問題です。今の状況下で本当に演劇発表会を行うことができるのか、担当役員で議論を重ねています。そのことについて、今の状況を報告します。

尼崎市立立花南小学校 主幹教諭 山川 和宏

実施か否か

そもそも、演劇発表会の役員になっている先生方は、休日返上で発表会の準備と運営を担われる熱意あふれる方ばかりです。なので、できることならば演劇発表会を実施したいという気持ちでは一致しています。そんな中でも、保護者の方にどのように説明すればいいのか、どのような対策をとっていけばいいのかというところでは不安を抱え、開催に向けて皆で一致した結論を出すというのは、なかなか容易なことではありません。


そこで、実際にどのような感染防止策をとることができるのかを私が調べ、検討事項と共にまとめたのが以下の資料です。このような対策のもと、関係各位に理解をもらって、演劇発表会の実施に向けて進んでいければと考えていますが、果たしてどうなるのか、9月10日現在、正式な決定を得られていない状況です。

令和2年度尼崎市小中学校演劇発表会における新型コロナウイルス感染拡大防止策について(案)

緊急事態舞台芸術ネットワークの「舞台芸術公演における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」、およびピッコロシアターが定める「新型コロナウイルス感染拡大防止対策」に沿って、以下の取り組みを行う。

①練習体制の配慮と情報共有

・感染防止策を講じた上での練習体制については、各校で事前に情報を共有する(マスクやマウスシールドの使用や手洗い・消毒・換気の徹底など)。
・他市における演劇部活動や市民参加劇・児童劇団などの練習実態について調査したことを、情報共有する。

②演劇発表会の来場者の入場制限

・来場者同士の密着を避け、適度な間隔(1~2m)を取る。
・プログラムを区切っての入替制にする。
・最前列は使用不可にする。客席は間隔を開けて座ることにし、半数の198席以下に減らす。
・可能であれば整理券を配布するなどし、事前にある程度の入場者数を把握しておく。
・過去 2 週間以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域への訪問歴及び当該在住者との濃厚接触がある場合は、来場を控えてもらうようにする。

③発熱や咳などの症状のチェック

・出演者・スタッフ・来場者は入館前に検温し、37.5度以上の方、咳など風邪の症状がある方、体調がすぐれない方は入場を控えてもらうよう周知しておく。

④マスクの装着や消毒液の設置

・出演者・スタッフ・来場者は、マスクを装着するよう周知しておく(尚、舞台上での出演時は、演出上の工夫をし、ソーシャルディスタンスを確保するなどができれば、マスクを外してよいことにする)。
・館内に消毒液を設置し、手洗い・消毒を呼びかける。

⑤三密の回避

・十分な長さの休憩時間を設け、こまめな換気や客席の消毒・各自の手洗いを行う。
・上演時間の上限を設定する。やむを得ず超過する場合は幕間に休憩時間を取る。
・利用時間をずらし、大人数が集まらないようにする。
・適度な間隔(1~2m)を取るように呼びかける。
・今年度は、可能な限り楽屋の使用を控えるとともに、楽屋訪問や差し入れをなくす。
・上演後のインタビューは、代表者3名のみが舞台上に出る。
・パンフレットの手渡しでの配布は行わない。

⑥入館者の氏名・連絡先等の把握

・感染ルートや濃厚接触者を特定するため、関係者(出演者・来場者含む)の氏名・連絡先等を把握する。館内に掲示のQRコードを読み込み、「兵庫県新型コロナ追跡システム」への登録を呼びかける。登録できない場合は、ピッコロシアターにある氏名・連絡先等の記入用紙(入館者カード)への記入をよびかける。

⑦学校(各家庭)からピッコロシアターまでの移動方法について

・現地集合・現地解散をできるだけ呼びかけ、公共交通機関を極力使わない移動方法を検討する。

⑧その他

・感染拡大防止策を講じるにあたっては必要最低限の人員で行う。もしも人員の不足が見込まれる場合、卒業生や保護者、地域の方などに手伝いを依頼することも検討してはどうか。
・実施する方向で進めたにもかかわらず、今後の状況が悪化した場合、無観客やリモートによる開催を視野に入れるのか、それとも完全に中止にするのかを早期に検討しておく。また、そのように変更する場合の基準についても議論しておく。
・仮に今年度やむを得ず中止となった場合であっても、コロナが収束し次第、来年度以降は改めて演劇発表会を行うことを共通認識しておく。
・控え室として小ホールや練習室などの十分なスペースのある空間を利用することも検討してはどうか。

最後に……

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、学校現場は稀にみる変化に見舞われています。そのような中で何か一つのことをやろうとするのは、非常に手間がかかるし、面倒も多い(「面倒」という表現は不謹慎かもしれませんが、命と安全を守るための対策はやってやり過ぎることはないくらい、徹底してやるべきだという思いを受けて、あえて「面倒」と書きます。決して否定的な意味での表現ではありません)。挫けそうにならないかというと、正直挫けそうになることもあります。
ただ、富良野塾の友人がこんなことを云ってくれました。

面白いことをやるのは、いつも面倒くさい。だから、やめてしまってもいいのに進んで面倒くさいことをやろうとする君は正しい。

勇気をもらいました。
面倒なことがいっぱいだけど面白いことに、これからもチャレンジしていきたいと思っています。

山川 和宏(やまかわ かずひろ)

尼崎市立立花南小学校 主幹教諭
富良野塾15期生。青年海外協力隊平成20年度1次隊(ミクロネシア連邦)。
テレビ番組制作の仕事を経て、小学校教師になりました。以来、子どもたちと演劇を制作し、年に2回ほど発表会を行っています。

同じテーマの執筆者
関連記事

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop