うまくいくことばかりではないから
委員会は面倒くさい!やりたいことだけやる!
やりたくないことや苦手なことから逃げて成長の機会を失ってしまうもったいない人が多いように感じます。世の中は思ったよりも理不尽なことがあります。これからを生きる生徒たちに「理不尽」との戦い方や向き合い方を知ってほしいと思いました。
東京都内公立中学校 教諭 朝倉 しおり
開口一番「違うんです!」
何か注意をしたり声をかけたりしたときは、十中八九否定の言葉から入ります。そして、「違う!」というのでそのまま話を聞いてみますが、大体の場合は「違わない」です。他にも、「自分だけじゃありません!」「◯◯もやってました!」など、他の人のせいにしたり巻き込んだりと、生徒たちは「保身」の傾向が強いように感じます。
ありもしないことで怒られたり注意されたりしたときには「違います」と事情を説明することは大切です。しかし、”事実”を突きつけられたときに、自分の行動や言動を振り返り、よくない部分があれば受け止めることができないと、常に他人のせいにして生活することになってしまいます。
よくない部分があれば反省をして謝罪をして改善するべきなのは、大人も子どもも一緒だと思います。子どもが注意を流そうとしたり逃げようとしたときには呼び止めて冷静に話をして、一緒に振り返ってあげたり、一緒に改善策を考えてあげたりしています。具体的に話をしていると納得することができて「言わされている感」「やらされている感」を減らすことができるのではないでしょうか。
口癖は「え〜めんどくさ!」
自分にとって必要か不必要か
委員会や係決め、ふいに何かを頼んだ時には「めんどくさい」という言葉を耳にします。純粋に率先して行動してくれるというよりは、何か見返りがあるからやってくれている。逆に言うと、「自分にとって良いことがないのであればやりたくない」という空気感があります。
もちろんこのような生徒ばかりではありませんし、様々な事情もあることでしょう。しかし、中には実力のある生徒もいます。やればできるし、やるだけの力も持っているのにも関わらず、必要以上の経験や成長に興味がない生徒がいます。
これも「保身」の傾向なのでしょうか、何かに挑戦することを避けている人が多いように感じます。もったいないことです。そんな生徒たちが「行動したい!」と思えるような、安心して挑戦、失敗、成功できるような環境や空気感をつくっていきたいです。
温かい給食に向かって「美味しくない」
「給食は完食しなさい!」という指導は時代に合っていないと言われています。私自身も食わず嫌いをしたことがありますし、未だに苦手な食材もあるので、「絶対に完食しなさい!」とは言うつもりはありません。もちろん中には嫌いや苦手なものでも一生懸命完食する、しようとする生徒もいます。
給食のメニューによっては、自分の苦手な食べ物が多いからか、「美味しくないんですよ〜」と嘆く生徒がいます。しかし、中にはそのメニューが好きで、美味しいと思っている生徒もいます。多くの人が美味しく食べやすくなるようにと考えて献立を作ってくれている栄養士さんがいます。給食室で朝早くから何百人分もの給食を作ってくれている方々がいます。多くの人が関わってくれて給食があるということをきちんと伝えていきたいです。
様々なものが素早く手に入るようになったからこそ、「感謝」を忘れがちになってしまいます。身近な部分から「感謝」を忘れず、苦手なものにも向き合えるような声掛けを意識しています。
圧倒的に理不尽な「水飲むな!休憩するな!」
時代とともに社会も変化してきてはいるものの、世の中にはたくさんの「理不尽」があります。ひと昔前には、運動や部活中に厳しい走りのメニューがあり、その途中の水分補給が許されていなかったり、先輩や先生方が「気に入らない」というだけで暴力を振るわれたりすることがありました。
自分自身が経験したことがないため、先輩教員の方々から聞いた話ですが、今の時代では信じられないようなことが行われていたようです。しかし、暴力ではないものの、「どういう理論でそうなったの?」と思うことは社会に出れば経験します。特に「若いんだから〜」や「女性なんだから〜」というようなことは良い意味でも悪い意味でも良く言われます。今後そういったことは減っていくと良いのですが、一定数はいつまでたっても消えないように思います。
生徒たちが大人になってそんな「理不尽」と対面したとき、どうにか上手に対処できるようになってほしいと思います。そのためにも、学校という場所でたくさんのことを学び、「理不尽」を知り、どう対処するのが良いのかを自分なりに考えられるような経験をしてほしいです。
朝倉 しおり(あさくら しおり)
東京都内公立中学校 教諭
大学を卒業してすぐに公立中学校の教員になりました。
若手(寄り)の立場で生徒と一緒に日々勉強中。
「成長し続ける教師」を目指して考えたことや独り言を発信していきます。
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