☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「あえて記号をつけない」(No.19)
今回紹介する算数の授業スキルは、算数の授業を得意とする先生の9割が実践しています。
しかも、とっても簡単で、今すぐ使えて、たった1%の努力でできる算数のスキルなのです。今回はそのスキルの第19弾「あえて記号をつけない」について紹介します。
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児
あえて記号をつけない
なぜ、「あえて記号をつけない」 のか。それには理由があります。あえて記号をつけないことで、子どもたちに記号をつける必要感が出てくるからです。そして、記号を使うと、説明がしやすくなるからです。
5年生の「合同な図形」を例に考えてみましょう。「図1は、①と②は合同な図形でしょうか?」と子どもに問います。すると、子どもたちから「合同だよ」「もしかしたら合同じゃないかも」と声が聞こえてきます。そこで、「合同かどうか確かめてごらん」と言って、子どもたちに図1を渡します。子どもたちは、①と②を重ねて合同かどうかを確かめます。
ころあいをみて、子どもたちに合同だったかどうかを尋ねるとこんな反応をします。
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先生:①と②は合同でしたか?
Aさん:合同でした。
先生:どこをみて合同だと思ったの?
Aさん:①と②がぴったり重なったからです。
Bさん:こことこことか、こことこことかが重なったからです。
先生:こことここってどこなの?
Bさん:このとんがっているところと、ここのとんがってるところ。
Cさん:どこ?ここ?
Bさん:えー。だから、ここのところ。
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子どもは説明を始めると、Bさんのように「ここ」などの「こそあど言葉」を使って説明します。説明しづらいからです。しばらくすると、Bさんのように説明に困ってしまいます。そこで、初めて子どもたちに記号をつけることの必要感が生まれます。
A、B、Cなどの記号をつけると、「AとDが重なって・・・」というように説明がしやすくなります。そういう経験をしておくと、「次から使おう」という意識が芽生えてきます。しかし、先生があらかじめ記号をつけてしまうと、子どもたちは記号をつけることの良さに気付きにくくなってしまいます。
また、6年生では「拡大と縮図」「場合を順序よく整理して」などの学習で、記号を使うと解決しやすくなる場面が出てきます。できるだけ早く、記号をつけることの良さを実感させたいところです。
今回のスキル「あえて記号はつけない」はいかがだったでしょうか。ご自身の学年の単元でぜひ活用してみてください。
今回のスキルにつながる内容は、授業スキルアップ研究会でも扱っていきます。また、話し合いの進め方などについては『子どもがなぜか話したくなる 算数ファシリテーション入門』(東洋館出版社)や『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)をぜひ参考にしてみてください。
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神保 勇児(じんぼ ゆうじ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/
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