☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「絶対に答えが同じになる」(No.10)
新年度が始まりました。新しく出会う子どもたちを楽しい算数の世界に連れて行ってあげたいですね。今回紹介する算数の授業スキルは、算数の授業を得意とする先生の9割が実践しています。しかも、とっても簡単で、今すぐ使えて、たった1%の努力でできる算数のスキルなのです。今回はそのスキルの第10弾「絶対に答えが同じになる」について紹介します。
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児
フィーバー計算
みなさんは,フィーバー計算って知っていますか?
以前,私の主催する「学び合い授業スキルアップ研究会」に参加された先生が紹介してくれました。九九表のようなマスを使って計算をします。
- 1段目には,0〜9の好きな数を1つ入れます。
- 2段目には,2を入れます。
- 3段目以降は,上の2段の数をたした答えを入れます。ただし,10以上の場合は,一の位の数のみを入れます。
- 3を繰り返していきます。17段目の数を見てみましょう。どんな数になりましたか?
それでは,もう一度やってみましょう。1段目は、先ほど使った数とは違うものにしてみましょう。さて,17段目の数は何になりましたか? あれ? 何か変ですね。1回目にやったときの17段目の答えと,2回目やったときの17段目の答えが同じになってしまいました。
「たまたまでしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。子どもたちに問うと,不思議に思った子どもたちは一斉に1段目に0〜9までの違う数を入れて計算します。
でもやっぱり,答えは同じ。
そうです。絶対に答えが同じになります。子どもたちは面白がって,数値を変えていきます。何回やっても同じとわかると、「2段目は2だったけど,3だったらどうなるのかな」などと,子どもたちは探究していきます。
電卓の数の不思議
次に,電卓の数の不思議です。お手元に電卓をご用意ください。1から9までの数が並んでおり,中心にある数は5です。5の周りにある数は,1,2,3,6,9,8,7,4です。この数を使って3桁の数を2つ作ります。
- 最初に作る3桁の数です。百の位は周りにある数から1つ選びます。(例:9)
- 十の位の数は5です。
- 一の位の数は,5を挟んで反対側の数を選びます。(例:1)
- 次に、もう1つの3桁の数を作ります。さっきと作り方は逆で、百の位の数は1です。
- 十の位の数は5です。
- 一の位の数は9です。
- できた2つの数をたします。
答えは、1110になりました。では、もう一度やってみましょう。次は、852と258になりました。答えはどうなるでしょうか? これも、1110です。試しに、753と357でやってみましょう。これも1110になります。他の数でも同じになるでしょうか?
なぜ同じになるのか、他のやり方でも1110になるのかを子どもに問いかけてみましょう。もしかしたら、お家でもたくさん計算したり、どうして同じになるか考えてくるかもしれません。次の日に、お家で考えてきた子を褒めて価値付けしてあげると、算数が好きな子どもたちをたくさん増やすことができます。
今回のスキル「絶対に答えが同じになる」で紹介した方法は答えが必ず同じになります。異なる数を選んでいるのに、答えが同じになると誰でも「どうして?」「不思議!」「面白い!」という気持ちになります。そして、その謎を解き明かしたくなります。このように子どもの知的好奇心をくすぐる素材をたくさん見つけていきたいですね。今回紹介したスキルを授業開きや演算の練習などで、ぜひご活用ください。
今回のスキルにつながる内容は、授業スキルアップ研究会でも紹介しています。また、『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)も子どもたちの学びあう授業を考えていく上でヒントになることがたくさん掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。
※画像は筆者作成
関連リンク

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/
同じテーマの執筆者
-
京都教育大学付属桃山小学校
-
立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任)
-
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭
-
名古屋市立御器所小学校 教諭
-
高知大学教育学部附属小学校
-
信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
-
東京都東大和市立第八小学校
-
浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師 -
沖縄県宮古島市立東小学校 教諭
-
東京都品川区立学校
-
岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭
-
北海道旭川市立新富小学校 教諭
-
鹿児島市立小山田小学校 教頭
-
沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭
関連記事
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「あえて記号をつけない」[No.19]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「文章問題を作るときは簡単な文にする」[No.18]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「提案は1つに絞る」[No.17]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「逆転現象が起こる素材を使う」[No.16]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「簡単な数に置き換える」[No.15]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「いろんな解釈が出てくるものについて話し合う」[No.14]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「あえて立式に必要のない数値を入れる」[No.13]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「比べて手立てを考える」[No.12]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「同じものの繰り返しを見せる」[No.11]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「あえて大きさをそろえない」[No.9]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「一部を見せる」[No.8]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「わざと間をあける」[No.7]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「用途に応じて並べ方を変える」[No.6]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「わざと集める」[No.5]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「あえて同じ数値を使う」[No.4]
- ☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「あえてリズムを崩して法則に気付かせる」[No.3]
- 1%の努力でできる算数の授業スキル「バラバラだという困り感を大切にする」[No.2]
- 1%の努力でできる算数の授業スキル[No.1]
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
この記事に関連するおススメ記事

「教育エッセイ」の最新記事
