☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「あえて立式に必要のない数値を入れる」(No.13)
今回紹介する算数の授業スキルは、算数の授業を得意とする先生の9割が実践しています。
しかも、とっても簡単で、今すぐ使えて、たった1%の努力でできる算数のスキルなのです。
今回はそのスキルの第13弾「あえて立式に必要のない数値を入れる」について紹介します。
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児
「あえて立式に必要のない数値を入れる」とは?
あえて立式に必要のない数値を入れることを、算数では「情報過多」「条件過多」などとよばれています。本稿では「情報過多」という言葉で進めていきます。
では、なぜあえて必要のないものを問題に入れるのか。それは、子どもが問題解決に必要な数値などを取捨選択させるためにあります。私が授業で扱うときは、ただ問題を解かせるだけでなく、「なぜ、その数値を使ったのか(使わなかったのか)」と子どもに問うようにしています。そうすることで、問題を深く考えようとする子どもを育てることができます。次の時間からは、「先生、この問題は、引っかけ問題じゃないですか?」など、問題を疑ってみるようになります。このような素敵な子どもをたくさん育てていきたいなと思っています。
しかし、このスキルは使いづらい場面があります。それは、単元や小単元の導入など、新たな概念を学ぶ場面です。これには理由があります。例えば、新しくかけ算を学ぶ子どもたちに、情報過多のかけ算の問題を与えてしまうと、問題解決に混乱をきたしてしまいます。このように、その単元などで、新たな概念を獲得することに重点を置かれている場面で、情報過多の問題を重点的に扱うと、かえって問題解決の妨げになってしまうことがあります。
情報過多の問題
それでは、情報過多の問題とはどのような問題なのでしょうか。ここでは、その例を具体的に説明していきたいと思います。
まず、⑴についてです。⑴は、5年生の「面積」の単元の問題です。この問題を扱うタイミングは、平行四辺形の面積の公式を学習した後がよいでしょう。平行四辺形の面積は次の公式で求めることができます。
「平行四辺形の面積=底辺×高さ」
ですので、必要な数値は2つです。⑴を見ると、計算に使えそうな数値が4つもあります。子どもはこれらの数値から必要な情報を取捨選択することになります。もちろん、必要な長さは、底辺となる14cmと高さとなる12cmです。しかし、子どもたちの中には、誤って15cmや13cmを選択してしまう子もいます。そこで、「なぜ、その数値を使ったのか(使わなかったのか)」と問います。そうすることで、もう一度、平行四辺形の面積の求め方を考える機会につながります。
次に、⑵についてです。⑵は、3年生の単元「かけ算の筆算」の問題です。この単元では、2位数×1位数、3位数×1位数のかけ算の筆算を学習します。⑵の問題を扱うタイミングとしては、3位数×1位数を学習した後がよいと思います。または、136円と180mLの3位数を2位数の数値に変えることで、2位数×1位数の学習の後に情報過多の問題を扱うことができます。ここでも、「なぜ、その数値を使ったのか(使わなかったのか)」と問います。そうすることで、代金を求めるためには、「1本分のジュースの値段と買ったジュースの本数が必要になること」について、子どもたちの考える機会をつくることができます。
今回のスキル「あえて立式に必要のない数値を入れる」はいかがだったでしょうか。今回のスキルにつながる内容は、授業スキルアップ研究会でも紹介しています。また、『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)も子どもたちの学びあう授業を考えていく上でヒントになることがたくさん掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。
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神保 勇児(じんぼ ゆうじ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/
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