☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「あえて大きさをそろえない」(No.9)
今回紹介する算数の授業スキルは、算数の授業を得意とする先生の9割が実践しています。しかも、とっても簡単で、今すぐ使えて、たった1%の努力でできる算数のスキルなのです。今回はそのスキルの第9弾「あえて大きさをそろえない」について紹介します。
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児
1年生「絵グラフ」
1つ目は、学習指導要領解説にも載っているので、皆さんもご存知な内容です。1年生の絵グラフの学習です。この学習では、図のようにバラバラになっている動物の絵から絵グラフを作っていきます。なぜ絵グラフを作るのかというと、ものの個数を数えたり比べたりするとき、いくつかの種類のものについて種類ごとに分類整理すると数えやすくなるからです。
ここで使う絵の大きさはあえてそろえていません。絵をそろえないことで、分類整理するときに不都合が生じるからです。
例えば、きりんの絵はうさぎの絵に比べて大きいので、そのまま並べると2つしかないきりんの絵が4つあるうさぎの絵よりも高くなってしまいます。数が多いと高さも高くなると思っている子どもは、ひょっとしたら「きりんの方が多い」と考えてしまうかもしれませんね。ここではものの個数を数えたり比べたりしやすいようにしたいわけですから、均等に配置をする方法を考えなければいけません。また、絵の大きさを揃えることで、個数を数えたり比べたりしやすくなります。
このように、あえて大きさをそろえないことで、分類整理をする際に、「均等に並べよう」「大きさをそろえよう」という算数で大切な考え方を見つけることができるのです。
4年生「角の大きさ」
2つ目は4年生「角の大きさ」の問題です。図を見てみましょう。①〜③のうち、角の大きさが一番大きいのはどれでしょうか?
パッと見ると、一番大きいのは①な感じがしますね。本当にそうでしょうか?
授業でも子どもたちとこんなやりとりをしながら進めていきます。きっと、「分度器を使って比べてみるとすぐにわかる」なんて子どもは言ってくれるでしょう。分度器を使うと、①と③の角が一番大きいことがわかります。角の大きさを決めるのは辺と辺の開き具合であって、辺の長さは関係ありません。角の大きさを捉えられない子は、辺の長さに注目しがちになるので、学級で気になる子がいる場合は、試してみる価値ありです。
また、分度器を使わなくてもできます。①〜③にはマス目がありますね。頂点から横にいくつ、縦にいくつ進むのかをみていくと角の大きさを比べることができます。
①横に5、縦に5
②横に4、縦に3
③横に3、縦に3
「ほら、やっぱり①だ!」と言う子がいるかもしれません。しかし、よく考えてみると、①と③は横に1、縦に1進んで行くのを繰り返しています。それに比べて、②は横に1進んだときに、縦に1には進んでいません。ということは、②の角度は①、②に比べて小さいということがわかります。①と③は同じように進みますから、角度は同じだということになります。結果、角の大きさが一番大きいのは①と③ということがわかります。
今回のスキル「あえて大きさをそろえない」はいかがだったでしょうか。ご自身の学年の単元でぜひ活用してみてください。今回のスキルにつながる内容は、授業スキルアップ研究会や『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)で扱っていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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神保 勇児(じんぼ ゆうじ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
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