2022.07.04
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「いろんな解釈が出てくるものについて話し合う」(No.14)

今回紹介する算数の授業スキルは、算数の授業を得意とする先生の9割が実践しています。
しかも、とっても簡単で、今すぐ使えて、たった1%の努力でできる算数のスキルなのです。今回はそのスキルの第14弾「いろんな解釈が出てくるものについて話し合う」について紹介します。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

いろんな解釈が出てくるものについて話し合う

学習で使ったテープ図

先日、ある研究授業がありました。2年生の逆思考の問題です。問題は次の通りです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

はじめに、子どもが24人あそんでいました。
そこへ友だちが来ました。
みんなで35人になりました。
友だちは何人に来ましたか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この問題を見ると、子供たちはたし算だと思って、24+25=49という答えが出てきます。でも、本当は35−24=11です。一見たし算だと思うような文章題は、実はひき算で求めるのです。このような問題を逆思考の問題といいます。

この授業の導入では、図を丁寧に扱っていたので、子供たちから発表された式は次の2つでした。

①35−24=11
②24+11=35

答えを求める式は、①です。しかし、子供たちからは24+11=35でもいいのではないかという意見が出てきました。
ここで私たちが考えなければいけないのは、24+11=35は何を表しているのかということです。

この授業では、子供たちは②を「答えを確認する式だ。」と言っていました。確かにその考えもあります。でも、②を考えた子供は本当にそう考えたのでしょうか?
②は何人か来た数11を使ってお話の通りに式を立てているので、「お話の式」ということもできます。または、みんなで35人になったことを表す式なのかもしれません。

ここで、24+11=35になる考え方を整理してみましょう。

❶答えを確認する式
❷お話の式
❸みんなで35人になった式

1つの式なのに、子供たちの解釈は違いますね。算数は、場面の様子などを式で簡単に表すことが便利であると考えている人も多いと思います。しかし、便利であるからこそ、1つの式に込められた子供の考えは異なる場合もあるのです。
だから、話し合っていても、どこかで噛み合わないところが生じてきます。図を書いたり、説明させたりして、その子がどんな思いや考えをその式に託したのかを明らかにしていくことが大切です。
その時には、こういう発問をしてみましょう。

「24+11=35って何のことを言っている式なの?」

すると、子供たちは、24+11=35の式の根拠を発表していきます。話し合っていく過程で、❶を筆算で表したり、❷を24+□=35と著したり、❸をテープ図と確認して、求めるところが異なると式も違うことに気づいていきます。蛇足ですが、❶〜❸をどの順でどの程度扱うかは、その授業のねらいにも関わってきます。

みなさんが今扱っている単元で、1つの式や図などで子供の解釈が異なってしまうものはないでしょうか。今一度確認してみてください。

今回のスキル「いろんな解釈が出てくるものについて話し合う」はいかがだったでしょうか。今回のスキルにつながる内容は、授業スキルアップ研究会でも紹介しています。また、『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)も子どもたちの学びあう授業を考えていく上でヒントになることがたくさん掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。

算数の授業のお悩みごとや困っていることを募集中

教育つれづれ日誌の私のコーナー限定ですが、先生方が日頃ご指導されている算数の授業についてのお悩みごとや困っていることを募集しています。
もし現在(2022年4月~9月)、算数の授業でお悩みや困っていることがありましたら、下記の入力フォームをクリックして、お知らせください。不定期ですが、応募のあった内容を整理して、解決していけるようなコーナーを私の連載の中で作りたいと思っています。無記名のアンケートですので、記入フォームには、ご自身の名前やmailアドレス等の個人情報、その他、学校や地域、他の個人が識別できるような情報は記入しないようにお願いします。
全てのお悩みにお応えすることはできないかもしれませんが、少しでも先生方の力になりたいと思っています。

<算数の授業のお悩みごとや困っていること入力フォーム>
 ※学びの場.comの外部サイト(Googleフォーム)にリンクします。

 ※※アンケートにご記入いただいた内容は、学びの場.com編集部と共有させていただく場合があります。


神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

同じテーマの執筆者
  • 樋口 万太郎

    京都教育大学付属桃山小学校

  • 酒井 淳平

    立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任)

  • 羽渕 弘毅

    兵庫県公立小学校 教諭

  • 松田 翔伍

    名古屋市立御器所小学校 教諭

  • 森 寛暁

    高知大学教育学部附属小学校

  • 丸山 裕也

    信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭

  • 宮澤 大陸

    東京都東大和市立第八小学校

  • 川島 隆

    浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
    前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師

  • 五條 晶

    沖縄県宮古島市立東小学校 教諭

  • 平野 正隆

    東京都品川区立学校

  • 古市 剛大

    岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭

  • 長田 夢

    北海道旭川市立末広北小学校 教諭

  • 山口 小百合

    鹿児島市立小山田小学校 教頭

関連記事

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop