2022.09.02
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☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「提案は1つに絞る」(No.17)

今回紹介する算数の授業スキルは、算数の授業を得意とする先生の9割が実践しています。
しかも、とっても簡単で、今すぐ使えて、たった1%の努力でできる算数のスキルなのです。今回はそのスキルの第17弾「提案は1つに絞る」について紹介します。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

提案は1つに絞る

正門からグランドまでの距離は?

2学期が始まり、学校によっては研究授業をひかえているところもあるかもしれません。先日、ある研究会の指導案検討会に参加しました。この時思ったことが1つあります。提案が定まらないと、授業検討会が進まないということです。

例えば、6年「図形の拡大と縮小」では、発展問題として縮図を利用して実際の距離を求める問題があります。写真は、とある授業で使われたものです。この授業では、縮図を利用し、正門からグランドまでの実際の距離を計算によって求めました。

ここでまず、この授業で子どもたちが解決する方法について考えてみましょう。どんな方法を子どもたちは使うでしょうか?

・比の値を使った方法
・等しい比を使った方法、etc…。

もっと他にも解決方法があるかもしれませんね。

次に、子どもたち全員がこの問題をよりよく解決できるようにする手立てを考えてみることにしましょう。パッと思いつくものを少し挙げてみます。

①1となるものに着目させる。
②比の値に着目して解決をさせる。
③等しい比に着目して解決をさせる。
④図と式を関連させる。
⑤ペア学習を取り入れる。

研究授業をするときは、これらの手立てが提案になっていきます。でも、気をつけなければならないことがあります。それは、どの手立ても同じように重点をかける訳にはいかないということです。

例えば、①に重点をかけると、①が指導案の本時の目標に入ってきます。練り上げなどで扱って評価もします。ところが、そこに②や③を加えてみましょう。同じように重点をかけて授業を進めることができるでしょうか。
ただし、①を重点的に扱い、②や③の手立てを補助的に扱うこともできるとは思います。しかし、そこに④や⑤の手立てを入れることはできるでしょうか?
提案者は良かれと思って、あれもこれもと取り入れて提案を充実させようとしています。しかし、これでは、盛り込み過ぎになってします。授業もしていないうちから気が重くなりそうです。

そこで、今回は「提案は1つに絞る」ということを皆さんにお伝えします。授業でやりたいことを1つにするわけです。「あれもこれも」からの脱却。これは算数以外でも同じだと思います。まず1つに絞りましょう。
例えば、先ほどの問題であれば、「②だけにする」といった感じです。2学期は研究授業をする機会、みる機会、指導案の検討会が多くなると思います。その時に、授業者の提案は何なのかに着目してみてください。
そして、提案が盛り込み過ぎは場合は、「提案は1つに絞る」ことを伝えてみてくださいね。

今回のスキル「提案は1つに絞る」はいかがだったでしょうか。ご自身の学年の単元でぜひ活用してみてください。
今回のスキルにつながる内容は、

・授業スキルアップ研究会

・『子供がなぜか話したくなる 算数ファシリテーション入門』(東洋館出版社)

・『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)

で扱っていますので、ぜひ参考にしてみてください。

算数の授業のお悩みごとや困っていることを募集中

教育つれづれ日誌の私のコーナー限定ですが、先生方が日頃ご指導されている算数の授業についてのお悩みごとや困っていることを募集しています。
もし現在(2022年4月~9月)、算数の授業でお悩みや困っていることがありましたら、下記の入力フォームをクリックして、お知らせください。不定期ですが、応募のあった内容を整理して、解決していけるようなコーナーを私の連載の中で作りたいと思っています。無記名のアンケートですので、記入フォームには、ご自身の名前やメールアドレス等の個人情報、その他、学校や地域、他の個人が識別できるような情報は記入しないようにお願いします。
全てのお悩みにお応えすることはできないかもしれませんが、少しでも先生方の力になりたいと思っています。

<算数の授業のお悩みごとや困っていること入力フォーム>  
 ※学びの場.comの外部サイト(Googleフォーム)にリンクします。

 ※※アンケートにご記入いただいた内容は、学びの場.com編集部と共有させていただく場合があります。

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

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