2022.03.02
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☆今すぐ使える☆1%の努力でできる算数の授業スキル「一部を見せる」(No.8)

前回に引き続き、今回紹介する算数の授業スキルは、算数の授業を得意とする先生の9割が実践しています。
しかも、とっても簡単で、今すぐ使えて、たった1%の努力でできる算数のスキルなのです。今回はそのスキルの第8弾「一部を見せる」について紹介します。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

図形の一部を見せる

(図1)2年「三角形と四角形」

まず、2年「三角形と四角形」を例に、図形の一部を見せることについてお伝えします。図1を見てください。青い大きな袋にある図形が入っています。その図形を袋の中から少し出して児童に見せます。袋から見えている部分は直角になっていますので、正方形か直角三角形もしくは長方形かもしれません。どんな形かをノートにかいて発表させましょう。ここで、なぜその形だと思ったのかを説明させましょう。その後に正解を示します。しかし、ここで終わりではありません。次のように子どもに問いかけましょう。

「みんなだったら、どこを隠しますか?」

すると、子どもは思い思いの問題を作ります。そのうち、「とがったところは出さない」「ここを出すとすぐわかっちゃう」など言ってくるようになるでしょう。そこで、次のように問いかけます。

「どうしてその部分を出すとわかってしまうのかな?」

子どもは「だって、とがったところを出すと三角形だとわかるから」などと、その図形の特徴を話し始めます。「この形はどんな形かな?」と問うよりも、子どもは図形の特徴を話しやすくなります。

九九表の一部を見せる

(図2)2年「九九表」

先ほどは、図形の一部を見せることについてお伝えしましたが、このような方法は何も図形だけではありません。図2を見てみましょう。図2は九九表の一部を破ったものです。ここでは、数を横に見るか縦に見るかわかりやすいように、同じ段の九九の数に色を塗ってあります(学級の実態に応じて、色を塗るか塗らないかを決めておくとよいと思います)。数値はちょっと考えないとわからないような、なぞなぞくらいの難易度をイメージするとよいでしょう。

さて、それぞれの色は何の段の九九でしょうか?子どもたちは頭を悩ませます。しばらくすると、子どもは黄色か緑の色を塗った部分に注目します。黄色であれば3増えていて、緑であれば4増えています。そのことから、黄色は3の段、緑は4の段であることがわかります。青は20しかありませんが、黄色が3の段、緑が4の段とわかっているので、5の段とわかります。このように、九九表の一部を見せることで、それぞれの段がいくつずつ増えているのかに注目させることができます。

しかし、ここで終わりではありません。

「みんなも先生のように九九表を切り抜いて問題をつくりましょう」

と問いかけ、子どもたちに問題づくりをさせてみましょう。問題ができあがったら、互いに問題を出し合ってみるのもいいですね。その他にも九九表の問題は色々と工夫ができるので、ぜひやってみてください。

商とあまりだけを見せる

(図3)3年「あまりのあるわり算」

最後に紹介するのは、3年「あまりのあるわり算」です。ここでは、2けた÷1けたの計算をします。そこで、こんな問題の出し方があります。式の左辺を隠します。ここでは、5あまり2になるあまりのあるわり算の式を考えます。

一瞬、子どもたちは「え?」という顔を見せたり、「これって答えが無限にあるじゃん」と言ったりする子もいるかもしれません。そこで、「無限にある」などと答えた子に例えばどんなものがあるのかを聞いてみます。すると、「わる数が6だったら、わられる数は6×5+2=32になる。わる数は6以外にもたくさんあるから、答えはたくさんある」というような感じで答えます。「わる数に5をかけて2をたせばわられる数がわかる」という考えは解決の見通しになります。この考えを使って、問題に取り組ませるとよいでしょう。しばらくすると、子どもたちは、「答えは7個しかない」「答えは9個じゃない?」と声に出し始めます。答えが無限にないことを見つけたのです。

最初は、「答えは9個ある」という考え方から確認をしてみるとよいでしょう(図3)。でも、子どもたちは、何かおかしいことに気付きます。わられる数を見つける式はわかるのですが、わられる数が7と12の時は、あまりは出ないからです。このことを子どもたちと議論するとよいでしょう。もちろん答えは7個なのですが、7÷1=5あまり2、12÷2=5あまり2と表すことができるのは子どもたちにとってはかなり驚きなはずです。

問題が解決したら子どもたちに問題づくりをさせると盛り上がります。商とあまりを自由に変えて問題をつくるのです。問題づくりをするうちに、「3あまり4」など、商よりもあまりを大きくする子もいるかもしれません。その時は、「3あまり4」という表し方があるのか子どもたちと話し合ってみるとよいです。

今回のスキル「一部を見せる」はいかがだったでしょうか。ご自身の学年の単元でぜひ活用してみてください。あまりのあるわり算の例は半分隠しているので、どちらかというと、「一部を隠す」と言えるのかもしれません。実は、「一部を隠す」というスキルもあります。また、機会がありましたら、紹介いたします。

今回のスキルにつながる内容は、授業スキルアップ研究会や『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)で扱っていますので、ぜひ参考にしてみてください。

※画像は筆者作成

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

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