2023.02.23
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

今日から役に立つスキル!「ネーミングする」

授業で子どもたちから出てきたたくさんの考えをまとめていくときに、先生方はどんなことをしますか?
私は「ネーミング」という方法を使います。単元を通して使えるかなりコスパのいい方法です。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

子どもの考えをまとめる理由

授業の後半は子どもたちの考えをまとめていきますね。どうしてまとめをするのでしょうか?
いろんな考え方があると思いますが、私は「今回学んだことを次の授業で使うため」だと考えています。特に算数の授業では、昨日学習したことを使って、今日の問題の解決方法を考えることが多いです。

例えば、2年生のたし算の筆算です。第1時で54+72の筆算の仕方を学習した後、第2時で65+78について考えます。

ここでみなさんも少し考えてみましょう。54+72と65+78は筆算の仕方が違います。どんなところが違うと思いますか?

各位の計算に注目すると、54+72は、一の位が4+2=6で十の位が5+7になり、十の位が繰り上がっています。それに対して、65+78は、一の位は5+8=13となり、一の位が繰り上がっています。さらに、十の位も6+7=13で繰り上がっています。つまり、一の位も十の位も繰り上がりのある筆算です。

ですから授業では、第1時に十の位に繰り上がりがあることを学習したことを使って、第2時に筆算の計算の仕方を考えることになります。まとめていく際には、簡単であること、早く正確にできることを子どもたちと考えていくようにします。

「ネーミング」とは

今回の授業で学んだことを次の授業で使うためには、パッと思い出すことができて、すぐ使えるようにしておくと便利です。その方法の1つが「ネーミング」です。「ネーミング」はあるものごとに対して、それをイメージできる名前をつけることです。

例えば、先ほどの54+72は、「十の位に繰り上げる計算」です。それに対して、65+78は、「一の位も十の位も繰り上げる計算」です。

第2時の65+78を学習するときに、「十の位に繰り上げる計算」を解決の方法として使えるのではないかと子どもが思い付きます。しかし、それだけではうまくいかないので、十の位と同じように、一の位も繰り上げる必要があると考えることができます。ネーミングをすることによって、考えを整理しやすくなるのです。ネーミングしたものは、カードに書くなどして、教室に掲示しておくと便利です。ネーミングをするときは、子どもの言葉を使うと良いでしょう。

今回のスキルにつながる内容は、授業スキルアップ研究会でも扱っていきます。また、話し合いの進め方などについては『子どもがなぜか話したくなる 算数ファシリテーション入門』(東洋館出版社)や『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)をぜひ参考にしてみてください。

算数の授業のお悩みごとや困っていることを募集中

教育つれづれ日誌の私のコーナー限定ですが、先生方が日頃ご指導されている算数の授業についてのお悩みごとや困っていることを募集しています。
もし現在(2022年10月~2023年3月)、算数の授業でお悩みや困っていることがありましたら、下記の入力フォームをクリックして、お知らせください。不定期ですが、応募のあった内容を整理して、解決していけるようなコーナーを私の連載の中で作りたいと思っています。無記名のアンケートですので、記入フォームには、ご自身の名前やメールアドレス等の個人情報、その他、学校や地域、他の個人が識別できるような情報は記入しないようにお願いします。
 全てのお悩みにお応えすることはできないかもしれませんが、少しでも先生方の力になりたいと思っています。

<算数の授業のお悩みごとや困っていること入力フォーム>   
※学びの場.comの外部サイト(Googleフォーム)にリンクします。

※※アンケートにご記入いただいた内容は、学びの場.com編集部と共有させていただく場合があります。

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

同じテーマの執筆者
  • 樋口 万太郎

    京都教育大学付属桃山小学校

  • 酒井 淳平

    立命館宇治中学校・高等学校 数学科教諭(高校3年学年主任・研究主任)

  • 羽渕 弘毅

    兵庫県公立小学校 教諭

  • 松田 翔伍

    名古屋市立御器所小学校 教諭

  • 森 寛暁

    高知大学教育学部附属小学校

  • 丸山 裕也

    信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭

  • 宮澤 大陸

    東京都東大和市立第八小学校

  • 川島 隆

    浜松学院大学 現代コミュニケーション学部 子どもコミュニケーション学科 教授
    前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師

  • 五條 晶

    沖縄県宮古島市立東小学校 教諭

  • 平野 正隆

    東京都品川区立学校

  • 古市 剛大

    岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭

  • 長田 夢

    北海道旭川市立末広北小学校 教諭

  • 山口 小百合

    鹿児島市立小山田小学校 教頭

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop