2023.03.31
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みんなの前で発表するのが苦手な子の音読発表ってどうしてます?

今回は国語の単元でよくある、音読発表についてです。

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭 五條 晶

みんなの前での発表って緊張するもの

2年生の国語の最後は「すきな場しょをしょうかいしよう」という単元でした。
この単元は、自分の好きな場所をみんなの前で紹介する単元となっています。教科書では公園やおばあちゃんの家など紹介されていました。

それを例に
「みんなの好きな場所はどこですか?」
と聞くと、、、
「自分の家のこたつの中!」「ソファの上!」
など想定外の答えばかり・・・

理由を聞くと
「ぬくぬくあったかくて幸せな気持ちになれるから」
「ぴょんぴょん跳ねて楽しく遊べるから」
と、こたえを聞いて納得。
でもソファと答えた子は、家で跳ねるからよく怒られているそうでした。
こんな会話でのやりとりをみんなで楽しみながら授業の導入が終わりました。

この単元の目標は「伝えたいことが伝わるように話す」となっています。デジタル教科書の見本の動画を見てみると、なんともきれいな話し方で、みんなの前で堂々と発表していました。
それをみんなで見ると「全員の前で1人で発表するの?」と心配そうに聞く子や「早く発表したい!」とまだ原稿も書いてないのに、話したがる子と様々でした。

大人でも大勢の前で1人で発表するのって緊張しますよね。
みなさんは学校でこの「発表」というものをどう工夫していますか?

発表スタイルをいくつか持っておく

クラス全員、人の前で発表させたいのですが、全員の前で「はい、やってください」は結構厳しいものがありますよね。人前で話すのが好きな子もいれば、苦手な子もいますから・・・

そこで、発表のスタイルをいくつか持っておくと教師も子どもも気が楽です。
ここで大事なのは目標である「伝えたいことが伝わるように話す」なので、ここからブレなければいいわけです。人数も指定があるわけではありません。
そこでいくつかの発表スタイルをスモールステップを踏んで進めていきます。

(1)仲がいい子に伝える
(2)席のお隣さんに伝える
(3)3人グループで2人に伝える
(4)10人の前で伝える
(5)クラス全員の前で伝える(挑戦したい人)

こんな感じで、発表の準備を整えていきます。
何回も人の前で話すことで話し方も上達していきますし、内容も頭に入ってくるので、原稿を見ずに話せる子がかなり増えます。
しかも少人数からスタートすることで人の前で話すというハードルが下がります。
そして、苦手な子に配慮したら、得意な子にも配慮します。みんなの前でやりたい子にはどんどん挑戦させていきます。何なら、学年集会などもっと大勢の前でやっても面白いかもしれません。

ただそうは言っても苦手な子は苦手

こうして人前での発表について書いていきましたが、ただ、そうは言っても本当に苦手な子っていますよね。
無理にやらせることはせず、それはそうだと思ってこれは納得するしかありません。
私のクラスにも苦手な子がいて、クラスの子がとった行動でびっくりすることがあったので紹介します。
写真を見てください。

黒い服の子が人の前で発表が苦手と言ったら、
「みんなの視線が心配なら隣に立っておいてあげるね」
「話す内容が心配なら、前で見れるよう持っておいてあげるね」
と協力体制がとんでもなくすごいです。
聞く側の応援が凄まじいです。
発表する子もみんなの期待に応えようと、無事発表を終えました。
終わった後はとても満足そうでした。

こうして、クラス全員どんな形であれ、人の前で発表することができました。
発表っていうものはけっこう聞く側が大切だなあと思います。そんな聞く側が発表する人に「がんばれ!」と応援する気持ちがあれば、なおさら発表しやすいですよね。
そんな応援の形が見れて嬉しかったです。
最後子どもたちに
「好きな場所について紹介してもらいましたが、聞く側の応援の姿がたくさん見れて幸せでした。こんな応援しながら発表を聞く人たちに囲まれるこのクラスは先生の好きな場所です!」と言ったら、2年生には見事スベりました。

五條 晶(ごじょう あきら)

沖縄県宮古島市立東小学校 教諭


授業を通した「みんなで分かる!」「みんなが楽しい!」集団づくりを目指し、試行錯誤しています。

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