初任の先生からの質問「仕事とプライベートな生活を両立すること」(NO.15)
半袖からダウンコートが必要なくらいの気温の変化で、身体がついていかないと感じている方も多いと思います。そんな中で、学校では行事が目白押しで、ほっとする余裕もないのではないでしょうか。
私は、大きな病気こそ経験していないものの、小さいころから病弱なタイプでしたから、こんなにも長い期間にわたって仕事を続けてこられたのは奇跡だと思っています。ですが、ここ最近は、燃え尽き症候群だなと感じることが数回ありました。自分の体調が不安であっても、仕事だと思えば頑張ってしまうというのが、日本人に多い気質なのかもしれません。しかし、つくづくそれではダメだと思っています。ぜひ、自分の身体も、自分の生活も大切にして、バランスをとっていってください。
特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子
Q 土曜日には出勤しているのですが、日曜日だけだと休んだ気になりません・・・
A ちょっとでも変だなと思ったら、早めに休むこと!
若手教師の中には、週末でも出勤するのが当たり前のようになっている人が多いように感じます。これは笑い話ですが、私も仕事が間に合わずに土曜日に出勤することにし、自家用車で学校に向かったことがありました。その際、どうせ誰にも会わないだろうと普段着のまま向かったら、けっこう多くの教師が出勤していて恥ずかしい思いをしました。
また、こんなこともありました。PTAの会議が夜に開かれる学校で夜中近くまで勤務し、翌朝も7時くらいに出勤したところ、夜中にも朝にも同じ若手教師が職員室で仕事をしていたのです。泊まるようなことはしていなかったようですが、もっと早く帰宅して、自分の時間を大切にしてほしいと伝えたのを覚えています。
あるとき、どうしても疲れていたのでタクシーに乗ったら、「学校の先生はいいよね。8時から5時まで仕事をすればいいんでしょ?」と話しかけられたので、上記のような実態を伝えたら驚かれてしまいました。多くの人は、教師の生活を知らないんだなと痛感しました。
さて、話を戻しますが、身体や心を壊してまでやるべき仕事はないのです。もちろん、生活するために収入を得る必要はありますから、いい加減な気持ちで仕事をしてもいいと言っているわけではありません。どんな仕事でも、責任感をもってやるべきです。
ただ、普段と違う体調であったり、気持ちが塞ぎ込んだりするようなことがあれば、早めに休んでください。そのときに仕事ができなかったとしても、大きな問題にはならないのです。余裕のある人が支えるのも、職場なのではないかと思っています。
普段からやるべき仕事の優先順位をよく考え、できるだけ要領よくこなせる技を身につけていってほしいと思います。学校によって異なりますが、お手伝いをしていただける方がいる場合には、計画的にお願いするのも方法です。
と、偉そうに書いていますが、私自身は無理に無理を重ねてしまい、とうとうダウンしてしまいました。反省を込めて、皆さんにも気をつけてほしいことをお伝えしています。
Q 自分は夜にならないと仕事に集中できないようです・・・
A それぞれのリズムを大切に!
私は朝方の人間なので、早めに出勤して仕事をする方がはかどると感じています。そのために、家事も早く終わらせて、早寝を心がける必要があります。しかし、家族の中にも夜型がおり、夜中まで仕事をしていても一向にへこたれないようです。それぞれのリズムがあるのだと思います。
余談ですが、私は集中しすぎるタイプでもあり、集中すると仕事を素早く終わらせることができます。ただ、それがいいとばかりは言えません。疲れていることも感じずにやってしまうと、それが積もり積もってということになるからです。
残念なことに、人のエネルギーというのは均一ではありません。他人とも違うし、日によっても、時間によっても異なるのです。ですから、言うまでもなく、集中してやるときにはやり、休むときにはしっかりと休むことが大切なのでしょう。自分の生活や仕事のパターンを、一度整理して考えてみるのもいいかもしれません。
先日友人が、12連勤をしてしまったとメールを寄越しました。仕事をしていないと不安になってしまうとも言っていました。「それはダメなパターンだね」と伝えると、「その通り」と返信してきましたが、ベテランであっても、自分の身体や生活を守るのは難しいものだと感じています。
荒畑 美貴子(あらはた みきこ)
特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com
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