2025.10.04
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「授業評価」どこでしていますか?~方法・学習評価との違いと授業改善への活かし方~

授業評価は「子どもの学習状況」と「指導の改善」の側面があります。
「子どもの学習状況」に関しては、通知表や要録があることで、どの先生も意識されていると思います。
では「指導の改善」はいかがでしょうか?

岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭 古市 剛大

先日、人間ドックの結果が返ってきました。
実はこの1年くらい、小5の息子のサッカー練習と体力づくりに付き合って自分自身の肉体改造もやっていました。子どもなので「今日はやりたくない」とサボることもあったのですが、父親として頑張る背中を見せるために、私一人でもずっと続けていました(サッカーの試合に出るわけでもないのにリフティングやドリブル練習まで)。
その成果が結果にちゃんと表れていました。体重が10キロ以上減っていてA判定も増えていました。
このA判定という結果を見ると、「やってきたことは正しかったのだな、これを続けていけばいいのだな」と思うことができました。このように、評価が返ってくる(評価をする)ことで、自分のしてきたことの意味や効果を感じられることができたのです。

授業でも子どものために、先生のために

授業の評価は、「子どものための評価(学習評価)」と「授業者のための評価(授業評価)」の二つの側面があると言われています。学習評価といえば、通知表や要録のイメージがありますよね。

では、授業評価はどうでしょう?
授業者が行った指導や支援によって、子どもたちがどのような姿になったのかを評価し、うまくいかなかったことに関しては次の授業で修正していく。そして、次の授業でも子どもの学びから自分の授業を評価し修正していく。「指導と評価の一体化」と言われているものです。

授業評価、どこでしていますか?

誰がどんな学びをしているのか、45分間30人ほどの子どもたちをずっと観察し見取っていくのは、現実的ではないですよね。子どもの様子を録画して一人一人の発言や様子を見返すなんてことも、時間的に無理そうです。
きっと多くの先生は「この活動での子どもの学びを見取ろう」「この活動で書いたノートを放課後に見て授業評価にしよう」としていると思います。算数の教科書で、毎ページの最後に書かれている適用題を授業評価に使っている方も多いのではないでしょうか。

時間が無くなって適用題が…

私自身も何度も経験があります。
時間が足りなくなって適用題までいけなかった事件。
チャイムが鳴ってしまったので、振り返りは無しにします事件。
今考えれば、子どもたちに申し訳ないことをしていました。
適用題で「誰ができていて、誰ができていないのか」を十分に見取ることができずに次の授業をおこなってしまうことで、単元で身につけるべき資質・能力が十分に育成されないかもしれません。
振り返りで自分の学んだことや学び方を自覚し、「もっとこうしたい」「次はこんなことを学びたい」という子どもの成長の機会を奪っていたかもしれません。

大事にしたいことはたくさん

子どもたちが自分の考えをしっかりもてるように。
新たな気付きや考えの深まりのために、対話や協働を重視。
どれも大事だと思います。
そこに、「子どもたちの力がついたかどうかを確かめる」も入れていきましょう。
それが、先生方の授業改善のヒントになります。そして子どもたちのためにもなります。

古市 剛大(ふるいち たけひろ)

岡山県赤磐市立桜が丘小学校 指導教諭


「道徳の教科化」をきっかけに,道徳のおもしろさと難しさを感じながら,研究と実践を重ねてきました。子供の「知りたい」「話したい」を大事にした授業とは?道徳科における個別最適×協働とは?日々の授業から,そして指導教諭だからこそ見える・感じることを綴っていきたいと思います。

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