2025.07.10
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アメリカの教師の夏休みの過ごし方

さて、こちらの学区では長い長い夏休みに入りました。アメリカの学校の夏休みは長いと言われており、その夏休みを挟んで学年が修了し、次の学年の開始を迎えます。私たちの学区では、6月上旬から8月中旬まで、約2カ月間の夏休みがあります。
その間、部活指導や学校行事の準備、研修や会議、さらには授業の準備や事務作業といったものはありません。
修了式の翌日に1、2日ほど教室を片づける「教師労働の日」が終わると夏休みに突入します。
教師の休み期間には給料は発生しませんので、長い「夏休み」に副業をする教師も多くいます。今日はそんな私の周りの教師の過ごし方を綴ってみます。

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師 下條 綾乃

1)帰省旅行

ほとんどの教師が長い休みを利用してアメリカ本国に帰省しているようです。
家族や友人と一緒に山や湖にキャンプに出かけたりします。
私の同僚の一人はアメリカ各地に住んでいる子どもたちのもとを訪れ、自前のキャンピングカーで西から東へ横断しています。
また、2か月という長い休みがあるため、普段はなかなか行けない遠い場所や海外に旅行する先生もいます。例えば、ヨーロッパやアラスカ、アジアの国々を旅行している先生もいます。

2)休養

しっかりと休むことも大切にしています。
普段は、授業準備や生徒対応でとても忙しい仕事から離れて、夏休みの間にたっぷりと睡眠をとり、健康を取り戻します。
また、映画を観たり、読書をしたり、ガーデニングやDIYなど自分の趣味を楽しんだりして、心と体をリフレッシュするマインドフルネスの時間を大切にしています。
家庭菜園を楽しむ人も多いようです。

3)副業や兼業

アメリカでは、夏休み中にアルバイトや副業をする先生も少なくありません。
学区の多くは長い休みを除いた9カ月分の給与体系(9カ月ペイ)です。生活費を補うために夏休み中に働く先生も多いのです。
同僚はレストランでコックとして働いています。「社会に貢献でき、人を幸せにできる仕事は一つに限らなくても良い」と表現しており感銘を覚えました。
私は現在、サマースクールを受け持っています。私にとって毎年のサマースクールは日本文化を少し掘り下げて教えられる楽しみの期間でもあります。
私のようにサマースクールで授業をしたり、サマーキャンプのカウンセラーとして子どもたちを指導する先生もいます。
サマーキャンプはアメリカの子どもたちにとって長い夏の大切な行事の一つであり、教師として新しい教育経験を積む場にもなっています。

4)大学院で学ぶ

日本の先生方も夏休みを自己研磨の時間としても活用しているかと思います。
こちらでも大学院の授業を受けて新しい資格を取得したり、大学の実施する教育研修に参加したりすることで、教師としてのスキルを高めています。
こちらでは、修士課程や博士課程を卒業する教師も多くいます。
長い休み期間は単位を集中的に修得するのにうってつけの時間です。

5)ボランティア活動

こちらでは、ボランティア活動も積極的です。
地域のイベントを手伝ったり、教会活動に参加したり、動物シェルターでボランティアをするなど、コミュニティへの貢献も夏休みの大切な過ごし方の一つです。
教師は地域社会の一員として信頼されており、こうした活動を通じて地域の人々とのつながりを深めています。

 

my battery is getting lower

長い夏休みの間にしっかり充電することは極めて重要です。
夏休み前になってくると "I need vacation! my battery is getting lower" とつぶやいている教師も多くいます。
十分に休み、心も体も元気になることができれば、学校に戻ったときにもっと良い授業ができ、生徒へのサポートもより充実するでしょう。
さて、みなさんなら、もし2カ月の夏休みがあったら、どのように過ごしますか。

下條 綾乃(しもじょう あやの)

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
日本語学校や領事館等で日本語を教えた後、米軍基地内の公立アメリカンスクールで日本語日本文化を教えて20年ほどになります。何年経っても毎日驚きと気づきがあり、それらの一部を皆さんと少しでも多くシェアできたら嬉しいです。外国の子供達に自分の話す言葉や習慣、文化を教えることの楽しさ、難しさ、面白さを呟いていきます。

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