先生にとってのやっぱりとても大切なもの 出会いとリアクションで学校は支えられている!
出会ったときに、胸を張って相手をまっすぐ見て、名前を呼んでしっかり声を出して、「あいさつ」ができれば、やっぱりお互いうれしいですね。
多くの学校でこのように導くわけは、社会的にメリットがありそうだからということなのだとおもいます。
だけど普段の私たちは、それを毎回きっちり実行しているわけでもなさそうですね。
あいさつの他にするもの、それはなんでしょう。
静岡市立中島小学校教諭・公認心理師 渡邊 満昭
出会ったときに、どんなことをしているのでしょうか?
一日何度も何人も学校の中でそれぞれの子に出会ったときに、どんなことをしているのでしょうか。一人の先生が、何十人、何百人の子どもたちとすれ違うわけです。何度も同じ子に会うこともあるし、たまにしか会わない子もいるでしょう。向こうからアプローチしてくれることもあるのでしょうが、だれもがそういうわけでもないのでしょう。
そのときに私たちは、なにをするのでしょう。何も反応していないつもりで、するりと通り過ぎるというのもありなのかもしれませんが。
それは、このすれ違いざまに子どもたちが何か求めているような気が、いつもするからです。もちろん学校種によっても、学校規模・地域性によってもきっと違いますよね。大規模な学校ではまた違ったものになると思います(今回は、在籍数500人ぐらいまでの学校での話と思ってください)。
私の場合、先生としてもできれば求められて教職をしたいものだとも思っていますので、すれ違いざまはちょっと気になります。
子どもたちが求めているものって、何だかわかりますか?
「なになに?」って聞くと「なんでもない」と言うんだけど、言葉の裏には、その子なりの思いもあるのでしょう。いつもこちらを向いて、話しかけてくる子どもたちもいますが、そうではない子もいます。何をしてあげればいいんでしょうか。
じつは私もしているリアクション=「あいさつのようなもの」
そこで私がするのは、ちょっとしたリアクション=「あいさつのようなもの」ということになります。何度か話題にしたことかもしれませんが、このリアクション、実はとっても奥行きが深いです。
○出会ったときになにをする?
にっこりする、手をふる、指をふる、ハイタッチする、その子と同じポーズ・好きなポーズをとる、ほんのちょっとしたあいさつ・相手に応じたかけあいをする(たとえば恐竜の鳴き声であいさつとか・・・)。
ここに、その先生ならではのオリジナリティが盛り込めそうですね(子どもたちはよく覚えていて、先生それぞれへのリアクションを使い分けできるようです。あの先生はハイタッチ、あの先生はやっぱり丁寧なあいさつ、あの先生とはじゃんけんとか)。
○出会ったときにどんな言葉をかける?
調子を聞く、認める、さっき出会ったときの続きの話をする、趣味の話・好きな物の話をする、勉強の話をするというのもあるのかも知れません。
とはいえ、その先生は何が好きで何を考えているのかを端的に示す場でもありますね。
名刺のようなものなのかも知れません(おかげで自分が水辺が好きということは知れ渡っているようです)。
子どもにも私たちにとっても大切なリアクションの効果
なかには、こちらが話しかける前に一方的にしゃべり続ける子や私が他の子のことに対応していてもお構いなしで声をかけ続ける子も時々います。制することもできますが、自分はなるべくその時に相手が話したいだけ話してもらうことにしています(聞く場所はちょっと考えますが)。
たぶん、私に出会ってしまったので「話したいスイッチ」が入ったのだと思います。それもその子の状況では必要な事なのだと思います。幸い、教職も長くなれば、聖徳太子ほどはではありませんが、ある程度は同時進行でもそれぞれの会話の内容は把握できるようになります。話が一息ついた時点で、「うーん、ごめんもうちょっと教えて」と改めて聞く事もあります。これもリアクションですよね。そんなときほど、重要な案件が隠れているような気がします。
こんな感じで、子どもたちと私たちと互いの情報や好感の積み重ねができるのなら最高だと思います。
担任の先生が一人でクラスの子とリアクションを取り合うことは、できないわけではないのですが、学校中の子どもたちを職員全員(担任数の約2倍ほどになるのかも)でリアクションを通じて支えていくことのほうが現実的な気がします。一人の子を複数の職員で毎日見守っていくことにもなります。
もちろん先生同士のリアクションも大切ですよ。それが私たち自身にとっても、毎日の支えとなっているものなのですから。

渡邊 満昭(わたなべ みつあき)
静岡市立中島小学校教諭・公認心理師・学校心理士・環境教育インタープリター・森林セラピスト
いつの間にか、小中学校全学年+特別支援学級+特別支援学校+通級指導教室での担任を経験し、生徒指導主任+特別支援教育コーディネーター+教育相談担当経験も10年を超えていました。すると担任を離れたとたんに何かを忘れてしまって、担任に戻ってみると忘れていたことに気がつくということがたびたびありました。それはうまく言えないけど何だかとても大切なもの。先生を続けていくための糧のようなもの。
その大切なものについて、自分の実践と合わせお伝えしていこうと思います。
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