2024.04.14
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初任の先生からの質問「学校生活での戸惑いを子どもたちとの関わりに生かす」(NO.2)

いよいよ新年度が始まり、進級した子どもたちのわくわく、そわそわとした歓声が学校に響いています。「クラス替えで誰と一緒になるのかな」とか、「担任の先生は誰かな」などと不安と緊張、そして期待が混じり合っている様子がよく分かります。これからの1年間、子どもたちの学校生活が楽しく充実したものになるよう、私自身も初心に戻って頑張っていこうと思います。
そんなこととは裏腹に、何をどうやっていこうという不安は、長年教師を続けてきた私にものしかかっていますので、若い先生たちの思いはいかばかりかと想像します。この投稿が少しでもお役に立てばと思っています。

特定非営利活動法人TISEC 理事 荒畑 美貴子

Q 職員会議での説明がよく分からなかったから不安で・・・

A  子どもたちにも同様のことが起きていると想像してみて!

以前、新卒の同僚と仕事をしたとき、「僕は最初の職員会議では、ほとんどの内容が理解できませんでした」と、だいぶ慣れてきたころにカミングアウトされました。
長年、学校の中で当たり前のように言葉を交わしている私には、誰が何を言おうとしているのかを察知することができます。それは、慣れがもたらすものであって、初任の先生たちには説明に隠されている意図を理解したり、体験したこともない内容をイメージしたりすることは困難なのだろうと気付かされました。

そう思っていたところ、初任教師で知り合いの桜さんからも同じような悩みが届きました。
「先輩たちから聞いていたので心積りはあったのですが、やっぱり職員会議で何を言っているのかは、ほとんど分かりませんでした」というものです。やっぱり誰でも同じなんだなと思う反面、分からないことで不安になっている若手に、どのように支援していくかが、先輩教師の腕の見せ所なのだと思いました。

さて、分からないことは追々説明を加えたり、共に活動したりするうちに解消していくこととして、せっかくの機会なので、この思いを子どもと関わるときに生かしてみてほしいと思います。
つまり、子どもたちの中には、言葉一つ一つの意味が分かっていたとしても、全体の意味を理解できなかったり、イメージできなかったりする子どもがいるということです。そして、質問しようにもどのように聞けばいいのか分からない、そもそもどこが分からないのか分からないといった不安の渦に巻き込まれる子どもたちもいるのです。

子どもたちが不安なときにどのように支援できるかを考える際、自分自身が不安になったことを糧にしていってほしいと思います。それから、学校生活を1年間送ることで、誰もがなんとなくやり方が見えてくるものなので、焦る必要はありません。もうひとつは、子どもたちの個性についてです。支援の必要性などの情報は貴重ですが、まずは子どもたちの様子をよく観察してきましょう。先入観で子どもと関わるのは危険です。前任と自分の見方が一致するとは限りませんし、子どもは成長していくので様子も変化します。子どもたちとの関わり方に正解はないのですが、最善策を見出すことは大切です。試行錯誤を通して、どう関われば上手くいくのかを学んでいってほしいと思います。

Q 子どもたちの様子をあらかじめ教えてもらったので、積極的に関わっていきたいが・・・

A 肝心なことを逃さず、子どもたちの様子をよく観察すること!

小学校で担任をするときには、前の学年で担任をしていた教師から引き継ぎを受けることが慣例になっています。
できれば、顔を合わせて説明を受けるといいのですが、異動などの関係で文章での引き継ぎになることもあります。引き継ぎから情報を受け取る際の、大事なポイントを2つお伝えします。

ひとつは、健康や家庭の事情などに関することは、絶対に忘れないようにすることです。アレルギーはもちろん、病気を抱えていることもあります。命に関わることなので、知らなかったでは済まされません。
また、里親や祖母が育てているなどの事情を抱えている子どもたちもいます。これも、最重要事項です。子どもの気持ちを傷つけるような言動をしないよう、しっかりと確認しましょう。

もうひとつは、子どもたちの個性についてです。支援の必要性などの情報は貴重ですが、まずは子どもたちの様子をよく観察してきましょう。先入観で子どもと関わるのは危険です。
前任と自分の見方が一致するとは限りませんし、子どもは成長していくので様子も変化します。子どもたちとの関わり方に正解はないのですが、最善策を見出すことは大切です。試行錯誤を通して、どう関われば上手くいくのかを学んでいってほしいと思います。

荒畑 美貴子(あらはた みきこ)

特定非営利活動法人TISEC 理事
NPO法人を立ち上げ、若手教師の育成と、発達障害などを抱えている子どもたちの支援を行っています。http://www.tisec-yunagi.com

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