2021.10.25
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家族支援@学校の担い手は、教員?SC(スクールカウンセラー)?SSW(スクールソーシャルワーカー)?(第二回)

教員の仕事のメインは本来、児童生徒の教科指導と生活指導。ところが、もうずいぶん前から、保護者対応と呼ばれる大人相手の仕事が大きな割合を占めています。私はこの保護者対応を家族支援と言いかえ、まったく新しい視点で考えていくことを提案します。

第二回の今回は、学校における家族支援の担い手について考えます。

東京都内公立学校教諭  カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)  特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事 林 真未

担任の先生

どんなに外部の専門家が導入されても、結局、保護者が一番頼りにし、相談したいのは、「担任の先生」です。
第一回で書いたように、先生に保護者支援の専門性はありません。教科教育や生活指導、集団管理には長けていても、家庭教育や家族福祉には疎いのです。
けれど、大抵の親は、そこまで深く考えずに、「“先生”なら、子どものことを相談したら、なにか解決法を提示してくれるだろう」と思っています。
そして、先生のほうも、1日12時間労働も珍しくないほどの激務をこなしているのに、相談されると、なんとか力になりたいと動いてしまいます。
ネグレクトを始めとする児童虐待を一番見つけやすいのも担任。苦情やトラブルも、まずは担任への連絡帳や電話で始まります。
というわけで、やはり「家族支援@学校」の最前線にいるのは、担任の先生と言えます。

管理職の先生

保護者の方となんらかの話し合いを持つとき、あるいは担任と保護者の相性が悪いとき、管理職の先生がコミュニケーションの舵取りをしてくださることもありますよね。
数々の「保護者対応」をこなしてきた管理職の先生方の中には、家族支援学の知識がなくても、その経験則から、保護者のニーズを的確にとらえる方がおられます。そのような場合、図らずも家族支援につながることがあります。

スクールカウンセラー

カウンセリングは、西洋的な、個人が自立しているという文化のもとで成立したもの。問題を抱える個人にとって、カウンセラーは自分を知るための鏡であり、その鏡の映し方がカウンセラーの腕の見せ所。鏡に映る自分を把握し是正するのは、あくまでも、その人自身の力。ところが、それが、依存し合う文化を持つ日本に根付く過程で、「カウンセラー=相談相手」というイメージに変質してしまったように感じます。そのため、スクールカウンセラーも、相談を希望する児童生徒や保護者と面談、助言したり、教員の悩み相談に乗ったり、というのが平均的な姿ではないかと思います。

けれど、個人的な意見ですが、これは専門家の無駄遣いではないでしょうか。
週1回だけの勤務でその専門性を十分に発揮するには、受け身の相談に終始するより、どこの学校でも必ずいる、とても扱いに困る児童生徒、あるいは親ごさんのカウンセリングに1年間集中する方が良いのではないかと私は思います。彼らは、自発的には決して望まないものの、実は、一番カウンセリングを必要としていると思うし、学校としても、そこにこそ、カウンセラーの専門性を発揮してほしいところだと思います。

スクールソーシャルワーカー

スクールソーシャルワーカーの仕事は多岐にわたりますが、メインは、個人の外側、周囲の環境調整です。具体的には、たとえば、経済的に困難な家庭への支援制度を紹介する、課題のある家族のために、学校と子ども家庭支援センター、主任児童委員、児童館等の地域リソースの連携体制を構築する、などです。
このような役割を担う人が、もしも各校に一人、しかも常勤で存在すれば、それは大きな力になりそうです。コーディネート業務は、どこも多忙ゆえに手が届いていないので、スクールソーシャルワーカーには大きく期待したいところ。
しかし現実には、常勤どころか、各校に一人の配置も、まだまだずっと先のよう。そして、実際に理想的な配置が済んでも、予想通りうまく機能するかは、やってみないとわかりません。

専門性か? 人間性か?

ここまで、「家族支援@学校」の現在の担い手として、教員(管理職含む)、カウンセラー、ソーシャルワーカーについて述べてきました。
家族支援の基礎基本として、まずは現況を知り、教員とそれ以外の職種の専門性について、おさえておかなければいけませんからね。

ここからは、ちょっと本音です。
一応、いろんな職種の役割について解説しましたが、「家族支援@学校」をよーくよーく見ていると、教員だから、カウンセラーだから、ソーシャルワーカーだからといって家族支援の力に差があるようには感じられません。その差は、職種ではなく人によります。支援には、専門知識よりもその人自身の考え方や行動力などが大きく影響していると感じます。
そうなってくると、「資格ってなんなのだろう?」と思いますね。
実は、家族支援学では「専門家が効果的とは限らない」と考えます。そして、資格の有無より「効果的であること」が優先されます。この考え方に立つと、「家族支援@学校」の担い手の範囲は大きく広がります。
もしかしたら、学校の周囲に住む地域の人々、あるいは学校を応援しようという意思のある人々の中にも、「家族支援@学校」を担う人材がいるかもしれません。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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