「〇〇は小学校で教えておくべき」
このパワーワードは
「小学校」=幼い子どもでも学べるくらい簡単で基礎的
「教えておくべき」=親や本人でなく、国が責任を持って教えておいてね。よろしくね!
という、言った人の言葉を「正しく」見せ、なおかつちょっとユーモラスに聞こえるので、言った人も聞いた人もクスリと笑えて面白いので多用されているようです。
ちなみに、〇〇の中に難しめな言葉を入れると、小学校とのコントラストが際立ち、より面白くなるので色々入れてみてください(^u^)
墨田区立八広小学校 教諭 遠藤 千裕
金融教育
さて今回の話題は「金融教育」
「日本人のマネーリテラシーは低すぎる!小学校で教えておくべき!でも、本当に?」という話題が、子ども家庭支援センターでいつも一緒になるパパ友・ママ友と出ました。ちなみにこのうち一人のパパ友は半年の育休を取得しているそうです。すごい!令和の時代を感じました。
新しい教科?OK、OK。じゃあ何の教科を削除する?算数?国語?体育?と伝えると、みなさん「そうですよね…」と一応納得してくれてはいるようです。
とはいえ、文科省だけでなく、保護者の方も、新しい分野が生まれたらどんどんカリキュラムをbuild and buildして対応した方がいいのでは、と考えやすいようです。
こういった全く悪意のない気持ちや、声があって(経済界と国の意向もあって)現在の教育業界の状態(どんな状態とは言いませんが)があるのでしょうか。
その根底には大人の世界の不安感があるのかもしれませんね。
金融教育をもし小学校でするなら?
会話の流れで金融教育をもし小学校でするなら?という話題になったのでそこで出てきたブレストのアイディアは以下のようになりました。
★金融教育をもし小学校でするなら?
- 銀行や証券会社の方を招いての出前授業
- 社会・総合と組み合わせて通貨とインフレデフレを学ぶ
★稼げる図工★
- インターネット上で市場調査をしてお客さん(ニーズ)を見つける
- ニーズのある商品を実現可能な方法で図工で作る(材料費は集金した個人の教材費を児童への貸付金という扱いにする)
- フリマアプリで販売する
- 純利益で新しい材料を買って商品を作って売る…繰り返し
- 受注量が増えたら商品作りや発送作業を他の人を雇ってアウトソーシングしても◎!
★増やせる総合・社会★
- 純利益が貯まったら、貯金・投資・投機のいずれかにチャレンジ!
- 貯金・投資・投機いずれかを選んだ理由を発表
- 30年後にお金がどう変化したか発表
パパ友さん、ママ友さんから出た意見
- 「増やす」部分に関して、投資は長期期間必要なためリアルな体験を小学校でさせるのは無理だね
- 夏休み等に銀行が個別にやっている子ども向けの単発の金融教育教室に連れて行こうかな
- アイディアとしては面白いけど実際にこの授業が公立小学校でできないのは理解できる
- 今は自分が金融リテラシーをまず高めなければ
- 今正攻法とされている金融の考え方やテクニックが子どもたちが大人になる頃にそもそも使えるかどうかもわからない
教員でない保護者の方と授業アイディアを出すのは新しい体験でした。同時に、小学校で身につけさせたい基礎学力をつけるまでの、児童の発達の段階に応じた働きかけやカリキュラムの構造、教育における力学のような考え方等も一般に知られるようなものでは無いのだなと改めて感じました。教員が行動経済学や、マーケティング戦略に馴染みがないのと同じですね。
自ら学ぶ姿勢を子どもに見せられる大人に
明るい将来が描きにくく、大人側が不安な気持ちに飲まれてしまっている時代ですが、一旦落ち着いてまずは自分が必要な知識を吸収し、学んで自身を変化させていくことがなんとか生き抜く方法なのだなと感じました。
不安を御しながら、自ら学ぶ姿勢を子どもに見せられる大人に、なっていきたいなと思った育休の昼下がりでした。
遠藤 千裕(えんどう ちひろ)
墨田区立八広小学校 教諭
脱サラして教員になった育休中の教諭です。
一般市民、保護者、ママ友、ニュースの視聴者、地域の人間として 「学校」というものを俯瞰してみることを初めて経験しています。
ママ友との会話等を通して、学校側から見た時は理解できなかった「地域からのお言葉」や「保護者とのすれ違い」について、腑に落ちることが多くありました。
この経験を現場の先生方にもシェアすることで学校と周りの環境の摩擦係数を減らす方法を考えていけたらと思います。
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)