2023.05.23
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⼦供の問いを引き出す⑪ 動きのある教材2︓3年「表とグラフ」 スクールプレゼンターで問いを引き出す算数授業づくり(第15回)

算数用アプリ「スクールプレゼンターEX(以下スクプレ)」を使って子供の問いを引き出す算数授業の実践紹介。今回の教材は3年「表とグラフ」です。

「一番多い車を調べたい!」を引き出す

この単元のねらいは、資料を分類整理し、表やグラフを用いて分かりやすく表したり読み取ったりすることができるようにすることです。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編のD(1)表と棒グラフ(p.169)に「児童自身が課題を明確にとらえ、それに沿って資料を積極的に集め」と書かれているように、機械的に統計的処理の仕方を教えるのではなく、児童に目的意識をもたせてから統計的処理に取り組ませることが指導のポイントになります。

そこで、本時で下記のような工夫をしました。

  1. 調べる対象が消えてしまう「通過する自動車の数調べ」を教材として扱うことで、記録しておく必要性が自然に生まれるようにしました。
  2. スクプレを使って教材を作成し、「通過する自動車の数調べ」が教室でできるようするとともに繰り返し見ることができるように設定することで、統計的処理の仕方の指導を丁寧に行えるようにします。
  3. 交通量の多い通学路にポスター作りをするという場面設定にしたり、車の種類を「トラック」「自家用車」「バス」だけにしてほとんど差のない数で提示したりして、どれが一番多いのか調べたくなる児童の姿を引き出せるようにしました。

なお、度数を記録する際に「○」を用いる子がほとんどで、画線法の「正」を用いる子は少数と予想されます。もし、「正」を用いている児童がいた場合は、その子のノートを電子黒板に映し、「ぱっと見て数が分かる」「少ないスペースで記録できる」などのよさに気付かせようと考えました。また、昔日本で使われていた「玉」や、ヨーロッパで使われているタリーマーク(縦線4本に横線1本)、マス(正方形に斜め線)も紹介し、画線法への興味を高めたいと考えました。

授業の様子

通過する自動車の数調べ(小3算数 表とグラフ)

まず、ある学校の通学路の様子を見て欲しいと子供たちに伝えました。

電子黒板に映された様子を見て、
「車が多いなあ…」
「大通りだ。」
「速い車もいる!」
などの声が上がります。

「この道、あぶないと思った人は手を挙げてください。」と問いかけると、ほとんどの子が手を挙げました。

「だから、この学校では安全に気を付けて欲しいので、ポスターを作ることにしたそうです。そのポスターがこれです。」と言って、ポスターを見せました。

「あれ?先生、車の絵を忘れているよ!」と驚いています。

「実は、この学校では、どの車の絵にするか悩んでいるそうです。みなさんなら、どうしますか?」と尋ねると、

「トラック!だって、大きくて下の方が見えなくて危ないから」
「速いからスポーツカー!」
など、思い思いの考えが出ました。

しばらくすると、「一番多い車にするのはどうかな?」とAさんから教師が待っている言葉が出ました。

この言葉にすぐ跳び付きたいところですが、一度待って、この言葉を子供たちに問い直すのが大切です。教師の思いだけの授業なのか、子供たちの問いなのかの分岐点になるからです。

「Aさんが、『一番多い車がいい』と言っているけど、どうしてかな?」と子供たちに問い直しました。

すると、Bさんが、「一番多い車だと、たくさん気を付けてくれそうだから。」と説明してくれました。これを聞いて、みんなもうんうんと頷いています。

すると、Cさんが、「トラックとバスが多かったけど、どちらが多いか確かめたいから、もう一度、見て数えたい。」と言いました。

「えっ!スポーツカーが一番じゃないの?数えて確かめたい!」とDさんが声を挙げました。

そこで、「一番多い車はどれか数えてみよう。」と学習課題を板書し、もう一度、電子黒板で通学路の様子を見直しました…。

※教材の作り方~ページごとのアニメを連続で動かす~

  • キャンパスに「ON-頁」「アニメ」「スタンプ(トラック)」「ページ」を配置

  • キャンパスのサイズの設定

  • 自動で次のページに移動させる設定

上の教材は、アニメの設定をした自動車が動き終わると自動で次のページに切り替わり、アニメの設定をした自動車が連続で動き出すように設定し、それらを繰り返しているものです。

これは「ON-頁」を使っています。

やり方ですが、まず、編集画面でキャンパスに「ON-頁」「アニメ」「スタンプ(トラック)」「ページ」を配置します。

次に、アニメを作ります。トラックが走っているように見せるため、画面外から画面外に移動するように始点と終点を設定します(アニメの設定の仕方の詳細は第4回を参照)。

もし、画面外から画面外に移動するように設定するのが難しい時は、キャンパスのサイズを一時的に大きくするとやり易くなります。キャンパスのサイズは、画面上の「ページ」から「ページサイズ設定」で変更できます。

そして、「ON-頁」「アニメ」「ページ」の順にリンクで繋ぎます。「ページ」のプロパティは、「頁」は「1」、「相対」に「チェック」です。これで、アニメが終了次第、自動で次のページに移動します。

なお、本教材には「ページクリア」(矢印がくるっと丸まったアイコン)も配置しています。これを配置することで、アニメが終点に移動した後でも、ファイルを開き直さなくてもアニメが始点から動かすことができます。

関連するお勧め教材(「表」や「グラフ」を扱った教材)

こちらも是非ダウンロードして使ってみてください。次回は、2年「かけ算」を取り上げます。お楽しみに!

※ダウンロードした教材は、スクールプレゼンターで開いてください。選択肢にスクールプレゼンターが無い場合は、下記の参考資料にあるURLから体験版をダウンロードしてください。

種市 芳丈(たねいち よしたけ)

階上町立道仏⼩学校 教頭
ICTを活用した算数授業に取り組んでいます。特に、「スクールプレゼンター」は10年以上使っていて、お気に入りのアプリの1つです。自分の作った教材が下記のサイトに約600ファイルほどあります。
スクールプレゼンター教材共有サイト「スクプレ道場

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