2022.06.22
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子供の問いを引き出す➂ 動きのある教材:3年「エレベーター(植木算)」 スクールプレゼンターで問いを引き出す算数授業づくり(第4回)

算数用アプリ「スクールプレゼンターEX(以下スクプレ)」を使って子供の問いを引き出す算数授業の実践紹介。今回の単元は3年「植木算」です。

「何秒かかるかな?」を引き出す

今回の教材は植木算を発展させたものです。植木算については、以前このコーナーの執筆を担当していたきんたろう先生が取り上げていますので、詳しい説明はそちらをご覧ください。

植木算は、問題文に見える数値だけで考えてしまった誤答が多数派になり、正答が少数派になるという場面が生まれやすい教材です。そして、正答の少数派が何とか分かってもらおうと、言葉・図・式を駆使して説明しようとする姿も引き出しやすい教材です。

そこで、授業では、このような姿を確実に引き出すため、素材をエレベーターに変更しました。3年生くらいになると、既に木や電柱などを素材にした植木算を解いたことのある子がいるためです。先行知識で解く子がいないようにすることで、「なぜ?」「どうして?」などの本音の話合いが生まれます。また、スクプレを使って、エレベーターが動く様子とその時間が提示できる教材を作り、正しい答えの確かめるためのシミュレーションとして使えるようにします。視覚的に提示されることで、正答を考えた子たちの説得力が増し、どうやって考えたかに迫れます。

授業の様子

「これはエレベーターに子供が乗っている様子です。停まらないで1~3階まで行くのに何秒かかると思いますか?」

と言ってスクプレの画面を提示しました。まだエレベーターを動かしていないので、子供たちは適当に答えます。

「11秒?」
「12秒?」

出てきた答えそれぞれに同じ考えだった子も挙手させていきました。算数は突然問題が提示される場合が多く、始めは問題と子供にかなり距離があります。そこで、その問題との距離を縮めるために、まずは、強制的に関わらせ、少しでも問題との距離を縮めていきます。

答えを確かめるため、エレベーターのスイッチを押しました。タイマーも同時に動きます。エレベーターを3階で停めました。

「おしい!12秒だったか。」
「1階4秒か。」
とそれぞれつぶやきが聞こえますその中に、

「先生、この問題、続きがあるよ。」
と教師の仕掛けに気付いた子が出てきました。事前に問題文の下の方に続きの文が少しだけ見えるように設定して提示しておいたのです。

「よく気付いたね。実はこの問題の続きがあるんだけど…、どんな問題だと思う?」
と子供たちに尋ねました。これは「問題作り」という手法です。子供たちに問題を作らせることで、問題をより理解させる働きがあります。また、「自分が考えた問題を取り上げてくれてうれしい」や「友達が考えた問題を解いてみたい」という情意的な部分も高める効果もあります。

Aさんは「1階から6階まで何秒かかるでしょう?」、Bさんは「3階から6階まで何秒かかるでしょう?」と考えました。問題文の隠れていた部分を提示すると、Aさんの考えた問題文と同じでした。何人かがノートに計算を始めました。

「もうノートに答えを書き始めている人がいますね。まだの人も自分の考えをノートに書いてみましょう。」

しばらくしてから子供たちのノートを見ると、学級のほとんどが「24秒」、正しい答えの「30秒」は数人しかいませんでした。

「では、エレベーターで答えを確かめてみましょう。」
とエレベーターのスイッチを押しました。エレベーターとタイマーに子供たちの視線が集まります。

植木算(エレベーター)2

「え!どうして?」
タイマーが24秒になっても、まだ5階です。タイマーが30秒になってようやく6階に着きました。

「なんでだろう?」
「3階から6階って倍になったから、12秒の倍だと思ったのに…」
「1階のぼるのに、何秒かかるのかな?」

子供たちは大騒ぎです。

「はじめから『30秒』って考えていた人が何人かいました。その人は挙手してください。」
と挙手させると、その子たちに向かって周りの子が、

「ねえねえ、どうして30秒になるの?教えて!」
と声をかけています。30秒と答えたうちの一人のCさんに指名しました。

「それはね、6階までだと5回のぼるでしょ…」
みんな、Cさんの説明を真剣に聞き始めました…。

※教材の作り方~「アニメ」の活用~

この教材のエレベーターのように移動する部分は「アニメ」を使って作りました。「アニメ」の基本的な作り方は、第1回で紹介したYouTubeチャンネル「➃アニメ機能の使い方」の動画がとても分かりやすいで割愛します。

ここでは、本教材のエレベーターでも使っている移動時間の設定の仕方について紹介します。

配置しておいた「アニメ」を右クリックすると、「プロパティ」が表示されます。その「プロパティ」の「座標」のタブをクリックし、時間を「1000」から「30000」に変更します。これは、アニメで設定した区間を「1秒で移動する」から「30秒で移動する」に変更したことになります。

また、途中でアニメを停止させたい場合は、少し修正が必要です。左側の「機能」の中から、「アクション」と「フィルター」を選んで画面に配置します。そして、「星→アクション→フィルター→アニメ」でリンクを結び直します。このとき、「アクション」のプロパティは「on/off」、フィルターのプロパティは「action」に設定しておきます。そうすると、星をクリックするたびに、アニメが一時停止と続きの動作をします。

関連するお勧め教材(アニメを使った教材)

こちらも是非ダウンロードして使ってみてください。次回は、5年「三角形の面積」の単元を取り上げます。お楽しみに!

※ダウンロードした教材は、スクールプレゼンターで開いてください。選択肢にスクールプレゼンターが無い場合は、下記の参考資料にあるURLから体験版をダウンロードしてください。

種市 芳丈(たねいち よしたけ)

南部町立名川南小学校 教頭
ICTを活用した算数授業に取り組んでいます。特に、「スクールプレゼンター」は10年以上使っていて、お気に入りのアプリの1つです。自分の作った教材が下記のサイトに約600ファイルほどあります。
スクールプレゼンター教材共有サイト「スクプレ道場

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