子供の問いを引き出す① 違い探し:4年「位置の表し方」 スクールプレゼンターで問いを引き出す算数授業づくり(第2回)
今回から、6回にわたって算数用アプリ「スクールプレゼンターEX(以下スクプレ)」を使って子供の問いを引き出す算数授業の実践を紹介します。今回の単元は4年「位置の表し方」です。
「ものの位置を表す表現」を引き出す
空間の中の位置を表すには、「縦」「横」「高さ」の3つの要素を使って表現すると、その位置を正しく伝えることできます。このような見方・考え方を生活経験や自分なりの知恵で既に活用している子がクラスに数人いる場合が見られます。
そこで、授業では、これらの3つの要素を使うことを一方的に教えるのではなく、このような表現をしている子を取り上げて、「この表現は分かりやすい!」と気付かせる場を創るようにしたいものです。
このような表現を子供から引き出すために、スクプレを使って、「違い探し」という手立てで教材を作りました。少しだけ違いのある2つの絵を比べさせることで、その違いを表現するのに「ものの位置を表す表現」を言わざるを得ない状況を生み出すことができます。
授業の様子
「これから見せる2枚の絵には違いが1つあります。でも、分かっても答えはまだ言わないでね。」と約束をさせてから、スクプレの画面をAとB、5秒ずつ見せて隠しました。
これを見て、「分かった!」と笑顔で言う子もいれば、「え?分からない…」と首を傾げる子もいます。分からないという子供たちの顔をじっと見ていると、その中の一人が、「もっとゆっくり見せてくれれば分かるかも…」とつぶやきました。
このような、分からないときに直ぐに諦めず、積極的に問題に関わろうとする姿は算数において大切な態度です。「いいこと言うね!」と大いに褒めました。そして、「同じように思った人はいるかな?」と聞くと、ほとんどの子が手を挙げました。
そこで、今度はAとBをそれぞれ20秒ずつ見せることにしました。
「今度は20秒ずつです。もし、違いが分かったらノートに書いてね。」
真剣に画面を見つめる子供たち。
「分かった!!」
さっきより大きな声が教室に響き、全員がノートに書き始めました。子供たちのノートを見ると、下記の3つに分類できました。
ア「赤い風船が高くなった」…17%
イ「(2の3)が上に上がった」…40%
ウ「(2の3の2)から(2の3の3)になった」…43%
要素を使ってその違いを表現している子供が、イとウを合わせて83%いることから、スクプレを使って「ものの位置を表す表現」を言わざるを得ない状況を生み出すことはできたようです。
予想通り、ウのように「縦」「横」「高さ」の3つの要素を使って表現している子がかなりいました。このような表現が分かりやすい!」と気付かせる場を創るために、次のように正解を発表することにしました。
「正解は…、『赤い風船が高くなった』です!」
すると、子どもから下記のような声が次々に上がりました。
「先生、赤い風船ばっかりだから、それだとどれか分からないよ。」
「『2の3』って言えば、どの風船か分かるよ。」
こんなふうに子供たちの発表が重なってつながったとき、一見、全員が分かった雰囲気になります。でも、子供たちの中には、聞き漏らしたりちょっとしたことが気になったりして、話について行けない子もいるものです。
子供から「もう一回お願い!」などの声が上がらない場合は、先生がその子たちの代わりに声をあげるようにしています。
「どういうこと?画面を使って説明してくれると分かるかも。」
先ほど発言した子供たち前に出て、スクプレの画面を使って説明を始めました…。
※教材の作り方~「コピー」の活用~
この教材は「コピー」を使って作りました。上の方にある「編集」をクリックすると表示されます。
Aの画面を作成したら、「全部選択」し、「コピー」を選びます。次に、コピーしたい頁に「貼り付け」ます。
Windowsのショートカットキーを使うと、「編集」をクリックしなくても同様のことができます。
・「全部選択」Ctrl+A
・「コピー」Ctrl+C
・「貼り付け」Ctrl+V
Bの頁は、(2の3)の位置の風船と紐をドラッグして囲み、キーボードの矢印キーを使って、上に移動させます。最後に、「A」の文字を「B」に書き換えたら完成です。
その他の「位置の表し方」の教材
こちらも是非ダウンロードして使ってみてください。次回は、4年「分数」を取り上げます。お楽しみに!
種市 芳丈(たねいち よしたけ)
南部町立名川南小学校 教頭
ICTを活用した算数授業に取り組んでいます。特に、「スクールプレゼンター」は10年以上使っていて、お気に入りのアプリの1つです。自分の作った教材が下記のサイトに約600ファイルほどあります。
スクールプレゼンター教材共有サイト「スクプレ道場」
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