2024.07.27
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子供の問いを引き出す(23) 夢中になる計算:4年「式と計算」 スクールプレゼンターで問いを引き出す算数授業づくり(第29回)

算数用アプリ「スクールプレゼンターEX(以下スクプレ)」を使って子供の問いを引き出す算数授業の実践紹介。今回は4年「式と計算」を取り上げます。

「もし、サイコロの目が全部○だったら…」を引き出す

「計算練習器ジャマイカ」を知っていますか?(10年前は使ったことのある先生方が私の身に回りにかなりいたのですが、最近は少なくなってきました…)

簡単にいうと、サイコロを使った数作りゲームです。ウチダの教材カタログには、写真のように基本ルール付きで掲載されています。

このジャマイカ、「一番速く式を作った人が勝ち」というルールを付け足して取り組むと、子供だけでなく大人でもかなり盛り上がります。その要因として、下記のことが挙げられます。

  • 計算が得意な子が必ず勝つというわけでなく、時々計算が苦手な子が勝つことが起こる。
  • 年齢が上の子が必ず勝つというわけでなく、時々年齢が下の子が勝つことが起こる。
  • 式が作れないサイコロの目の組み合わせが時々出る。しかし、その組み合わせを後で見た時、式が出来ることがある。
  • 式が自分で作れると、とても爽快な気持ちになる。また、自分が思いつかなかったサイコロの目の組み合わせは、誰かが式を作れると「すごい!」と自然に認めたくなる。

自分の学級では、さらに子供たちが楽しめるように下記のような取り組みも行っていました。

  • ジャマイカは昼休みに自由に触れるようにした。
  • 式が作れないサイコロの目の組み合わせは、スクプレで作ったジャマイカのサイコロの目を書き込める用紙にメモして掲示した。(後で誰かが閃くことがある)
  • 学級全体で取り組む場合は、スクプレで作ったジャマイカ(ランダムにサイコロの目が変わる)を電子黒板に映し、ヒントを書き込めるようにし、式を思いつく子を増やすようにした。

そんな取り組みもあって、学級ではジャマイカは大人気!そんな子供たちの様子を見ていたら、このジャマイカを計算練習ではなく、算数の教材のとして授業に取り組ませたいと考えるようになりました。

そこで思い出したのは、以前担任した学級でジャマイカをしたとき、奇跡的にサイコロの目が全部5になり、さらに、式も作ることができて盛り上がったことです。

先ほどのスクプレで作ったジャマイカ(ランダムにサイコロの目が変わる)を修正すれば、設定したサイコロの目を意図的に出せます。これを使って、同じような場面を再現すれば、「もし、サイコロの目が全部○だったら…」と考える姿を引き出せると考え、授業に臨みました。

授業の様子

ジャマイカ

まず、「このジャマイカとけるかな?」と黒板に書き、電子黒板にスクプレの教材を映しました。

「ねえ、先生、早くサイコロを振って!」と楽しみにしている声が上がりました。

「サイコロを振りたい人?」と聞くと、ほとんどの子が手を挙げました。その中の一人にマウスを渡し、ストップをクリックしてもらいました。

意図的に数値を設定している教材は、それが分からないようにすることが大切です。そのため、第3回第6回第17回のように、必ず子供にクリックしてもらうようにしています。

1問目は「4・2・4・4・6で32」です。

ぱっとAさんが手を挙げて、
「4+6=10、10×4=40、4×2=8、40-8=32」
と発表すると、拍手が起こました。

次は第2問です。

「え~!」と一斉に大きな声が上がりました!

どうしたのと尋ねると、「だって、全部5だから。ぞろ目だもん。」とうれしそうに答えました。

すると、Bさんが「式もできるよ!」と挙手したので発表させました。

「5×5=25、5×5=25、25+25=50、50+5=55」

発表の後の拍手が拍手の中に、「ぞろ目でも、式ができるんだ…」とCさんのつぶやきが聞こえましたが、まだ、取り上げないことにしました。Cさんと同じ思いがもった子がほかにもいないと、学級で広がっていかないからです。

次は3問目です。

「おしい!」
何人かが声を揃えてつぶやきました。

何が惜しかったのか尋ねると、「1が3だったら、全部3になったから。」と答え、ほかも子も頷きました。

この場面が、今回の教材化で一番工夫したところです。全部3で提示することもできますが、それだとサイコロの目が同じなのは全部5の時と同様に偶然起きたことに過ぎません。

あえて1つだけ揃っていないジャマイカを提示することで、子供から「全部同じ目で考えたい」という思いを引き出すことができれば、この後の展開が、子供が考えたいことの学習に切り替わると考えました。

「ねえ、先生、全部3だとして考えたら式ができたよ!」

黒板に出で発表してもらいました。

「3×3=9、9×3=27、27+3=30、30+3=33」

みんなが拍手をしている中、Dさんは手を挙げました。

「だったら、ほかのぞろ目でも式ができるかもしれない!」
そんなDさんの発表を聞いて、Cさんが、
「ノートに書いて試していたんだけど、ほかのぞろ目でもできるみたい。」とうれしそうに、答えました。

それを聞いた子たちは、ノートに書いて調べ始めました…。

関連するお勧め教材(「式と計算」に関する教材)

  • 小3算数 小町算(緑表紙)
    小町算の教材です。使う計算記号は「+」「-」だけで、緑表紙第三学年上(p.93)で扱われている式をアレンジしています。未完成の4問目ははじめは隠しておいて、提示してから「続きが作れそう」という声を引き出すことをねらっています。
  • 小3算数 3けたのたし算
    3けたのたし算の筆算の教材です。1から9までの数字カードを全部使って筆算を完成させます。学習課題の理解を促すための提示に使えます。また、発展させるために、和の最大や最少を投げかけられるようにしました。参考文献 田中博史著「追究型算数ドリルのすすめ」
  • 小4算数 4つの4
    式と計算の発展的教材です。4つの4を使って1から5までを作ります。丸の中には四則演算が入りますが、もし思いつかない場合には、ヒントが出せるように、丸は一つずつ消せるように設定しました。「次の頁はどうなっていると思う?」と尋ねることで、4つの4を使って6以上の数を作る姿を引き出せるようにもしました。
  • 小4算数 4つの3
    計算の順序の教材です。1頁目は答えが1~5になるもの、2頁目は答えが6~10になるものです。画面上で書き込んで記入できるようにしています。このまま印刷してワークシートにもできます。
  • 小4算数 式と計算(丸の個数) 
    式と計算の教材です。分配法則を活用させることをねらって、示された式でどのように見たらよいか考えさせます。丸は色を変えたり移動させたりすることができます。全部で3問あります。
  • 小6算数 1158
    メイク10の教材です。CMで見かける数値に問いが生まれるようにしました。次のページには、解答例も載せました。扱いによって4年生からでも可能です。
  • 小6算数 ナンバープレートでメイク10
    ナンバープレートを使ってメイク10をする教材です。スロットマシーン提示で「2334」などの数値を順番に提示することができます。どの数値も商分数を使って解くことができるので、6年生で扱うと多様な数の見方を引き出すことができます。

こちらも是非ダウンロードして使ってみてください。次回は、5年「体積」を取り上げます。お楽しみに!

※ダウンロードした教材は、スクールプレゼンターで開いてください。選択肢にスクールプレゼンターが無い場合は、下記の参考資料にあるURLから体験版をダウンロードしてください。

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種市 芳丈(たねいち よしたけ)

階上町立道仏⼩学校 教頭
ICTを活用した算数授業に取り組んでいます。特に、「スクールプレゼンター」は10年以上使っていて、お気に入りのアプリの1つです。自分の作った教材が下記のサイトに約660ファイルほどあります。
スクールプレゼンター教材共有サイト「スクプレ道場

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