2022.05.20
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「国語授業」の説明書〜国語の根本・本質・原点〜(12回)

子どもの語彙力を高めることが求められています。語彙力を高める方法は2つあります。1つは「教える」、2つめは「調べる」です。今回は「調べる」に焦点を当てて、辞書引き学習を取り入れた授業についてお話しします

木更津市立鎌足小学校 山本 裕貴

【国語学力】

私は国語における学力は「語彙力」「読解力」「作文力」の3点だと考えます。そしてこの中で基盤となり、優先して身に付けさせるのは「語彙力」です。では、語彙力とは何でしょうか。手元の辞書を引いてみましょう。
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語彙力→その人がもっている単語の知識と、それを使いこなす能力。「語彙力が高い」
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なるほど、もう少し噛み砕くと「言葉を読める」「言葉の意味を知っている」「言葉を使うことができる」というのが語彙力であると言えます。

【語彙力を身につける2つの方法】

語彙力を身につけるには大きく分けて2つの方法があります。

1  教えてもらう
2  自分で調べる

1については以前お伝えした通り「教師が授業の中でどんどん教える」ことが有効です。自分で調べるにはどうすればよいでしょうか。私は「辞書引き学習」が非常に効果が高いと考えます「深谷圭助先生の辞書引き学習」というWebページには次のような記載があります。
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子供は好奇心の塊です。そして辞書は知識の泉です。この好奇心を刺激し知識の泉をスポンジのように吸い取る事を手助けするために考え出されたのが辞書引き学習法です
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全くその通りだと思います。子どもは新しい言葉をたくさん知りたいのです。自分が使える言葉を増やしたいのです。そのために適切な辞書の使い方を教える必要があります。

【CASE12 国語辞典の引き方】

では、どのように辞書を使った授業を行えばよいのでしょうか。今回は教育出版3年に載っている「国語辞典の引き方」を例に解説します。

〇習得学力
1 国語辞典の使用法を知る
2 語彙力を高める

〇単元計画 全2時間

☆1時間目の流れ 

本時の目的→正しい国語辞典の使い方を知る

・辞書引き学習に取り組むことができる準備をする
教師「国語辞典はどの教科でも使います。使いやすい位置に置きましょう」
→国語辞典のケースを外す
    児童机の横に袋を用意する(ビニール袋でも良い)
    袋に国語辞典を入れる

・学習用語「見出し語」を教える
→調べたい言葉のこと

・辞典の見方を教える
→意味、例文、類義語、対義語などについて触れる

・見出し語の並び順を教える
教師「国語辞典は五十音順に並んでいます。」

・問題を出し、並び順を確認する
教師「【あ】と【え】はどちらが先に並んでいますか  」
「【な】と【よ】はどちらが先に並んでいますか  」
「【あお】と【あか】はどちらが先に並んでいますか  」
「【けいかん】と【けいさつ】はどちらが先に並んでいますか  」
などクイズ形式で確認する。何番目の文字で判断したか確認する。

・学んだ知識を使って、国語辞典を引く
教師「【さいけつ】について国語辞典を引いてみましょう」
→【さいけつ】の漢字、意味、例文を調べて、ノートに書かせる

☆2時間目の流れ 

本時の目的→語彙力を高める

・並び順を復習する
教師「国語辞典はどのような順番で並んでいたでしょうか」
児童「五十音順です」

・新しい並び順を教える
教師「【ホール】と【ボール】と【ポール】はどのような順番で並んでいるでしょうか」
→学習用語「清音」「濁音」「半濁音」を教える
    清音、濁音、半濁音の順番で並んでいることを理解させる
教師「き【ゃ】く、ひ【っ】こし、なども順番があります」
→学習用語「拗音」「促音」を教える

・辞典によって使い方が異なることがあるので、辞典の「使い方」のページを確認させる
教師「マ【ー】クのようなものは、マ【ア】クとして考えます」
→学習用語「長音」を教える

・辞典を使って調べさせる
教師「次の言葉の意味を調べて、ノートに書きましょう」
→聞いたことはあるが、意味は分からないような言葉を調べさせるとよい
   例「刹那」「春一番」など
→日常的に使っている言葉は、意味を知っているので学習意欲が上がりづらい
   例「時計」「学校」など

・辞典を引きながら、新聞を読ませる
教師「今から新聞を配ります。分からない言葉は辞典を引いて自分で調べましょう」
→子ども新聞を配り、自分で読ませる
    辞典は学習を助ける便利なツールであることを理解させる

・国語以外の教科でも、日常的に使っていくことを伝える

辞書引きを日常化させる

以上のような流れで授業を展開することで「国語辞典の使用法を知る」ことができ、「語彙力が高まる」と考えます。さらに重要なことは、辞書引きを日常化させることです。どの教科においてもどんどん辞書引きをすると、子どもの語彙力もどんどん高まっていきます。少しでも参考になればうれしいです。

というわけで今回は「国語辞典の使い方」における習得学力を明確にした国語授業についてお話しました。次回は「紹介文の書き方」についてお話ししたいと思います。ここまでお読みいただき有難うございました。

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

木更津市立鎌足小学校
千葉大学大学院教育学研究科学校教育学専攻
木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

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