2022.02.04
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「国語授業」の説明書~国語の根本・本質・原点~(7回)

文章と図表を結び付けて読んだり、書いたりできることは、生活の中で求められる力です。このような力を確実に身に付けることで、子どもの今後の人生は豊かなものとなっていきます。今回は「表やグラフを用いて書こう」の単元計画についてお話しします。

木更津市立鎌足小学校 山本 裕貴

2021年度全国学力・学習状況調査での課題

昨年の9月、文部科学省は学力・学習状況調査の結果を公表しました。小学校6年生の国語では平均正答率が64.9%となっており、中学校3年生も64.9%という結果でした。小学校6年生の課題として「目的に応じて、文章と図表を結び付けて必要な情報を見つけて読むこと」が挙げられました。

前回も少し触れましたが、私たちの身の回りにある文章の殆どは説明文です。そのような文章は図表と結びついていることも多々あります。よって、文章と図表を結び付けて読んだり、書いたりすることは社会の形成者となる上で必須となってきます。

私たちも読めていますか

私が初任者のときの話です。先輩の先生とした会話が強く印象に残っています。このY先生は素晴らしい先生で、いつも私に丁寧に様々なことを教えてくださる方でした。そのY先生と一緒に書類を書いているときのことです。みなさんも12月頃に必ず書くことになる「年末調整」に関わる書類です。

あれ、ごちゃごちゃ書いてあって難しいですよね。私も初任者のとき、何度も間違えました。そんなときY先生が、ぼそっとこう言ったのです。
「これ、難しいよなあ。こういう文章や図を読めたり、書いたりできる子どもを育てなくちゃなあ」

私はそのとおりだと思いました。国語教育は実生活で役に立つのです。私たち教師は、授業を通してそのような力を付けさせる必要があるのです。では、どのようにすればよいのでしょうか。具体例を挙げながらお話しします。

CASE7 表やグラフを用いて書こう

今回は光村図書5年『表やグラフを用いて書こう』の単元計画をお話しします。
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〇習得学力
1 統計資料を読む力
2 自分の考えを書く力
〇単元計画 全4時間
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☆1時間目の流れ
本時の目的→情報を読み取り、自分の立場を決める

◆教師「みなさんは、社会は暮らしやすい方向に向かっていると思いますか。そうではないと思いますか」
・教師の作例を提示する

統計資料を読み取り「社会は暮らしやすい方向に向かっている」か「社会は暮らしにくい方向に向かっている」のどちらかの立場で作文をすることを理解させる

◆教師「これらの資料から読み取れることをノートに書きましょう」
・教科書記載の統計資料を4つ提示する
 A ごみの総排出量の推移
 →総排出量は減少傾向にある
  一人当たりの排出量は減少傾向にある

 B 平日の生活時間
 →睡眠時間は減少している
  学業・仕事時間は増加している

 C 日本の年齢別人口
 →1975年に比べて子どもの数が減少している
  1975年に比べて高齢者の数が増加している

 D 電話の加入数の推移
 →移動電話の加入数は増加傾向にある
  固定電話の加入数は減少傾向にある

◆教師「読み取ったことを発表しましょう」
・個々に読み取った情報を全体共有する
読み取った情報が誤っていると、意図と反する文章になってしまうため留意する

◆教師「自分の立場を決めましょう」
・社会は暮らしやすい方向に向かっているのか、暮らしにくい方向に向かっているのかを判断させる

☆2時間目の流れ
本時の目的→自分の考えを下書きする

◆教師「文章の構成を確認しましょう」
・作例を提示し、4つのブロックに分ける

1ブロック……自分の立場を示す
例 社会は、暮らしやすい方向に向かっていると私は思います。なぜなら~

2ブロック……統計資料の説明をする
例 Aのグラフは、日本全体で排出されるごみの量を示したものです。ここから分かることは、2006年から総排出量は年々減少しているということです。さらに~

3ブロック……統計資料についての考察をする
例 一人当たりの排出量が減少しているということは、3Rを一人ひとりが意識しているのではないかと考えます。理由は~

4ブロック……2、3ブロックをまとめ、もう一度立場を示す
例 このように、Aのグラフを根拠にして、十年間でごみの排出量が減少していることを述べました。また、この他にも~。以上のようなことから社会は、暮らしやすい方向に向かっていると私は思います。

◆教師「1ブロックまで書けたら、先生のところに持ってきてください」
・作文用紙に書かせ、1ブロック書けるごとに教師が添削をする

修正するときは消しゴムで消さず、作文用紙の修正欄に書かせるようにする

☆3時間目の流れ
本時の目的→自分の考えを清書する

◆教師「前回の続きを書きましょう」
・下書きの続きをさせる
 終わらない子は朝自習などの時間を使って教師と行う

◆教師「下書きができたら、清書をしましょう」
・清書の段階では、教師は添削しないようにする
 添削するならば、下書きの段階で行う。清書を直されるのは、子どもでも気分が良いものではない

☆4時間目の流れ
本時の目的→多様な意見に触れ、考えを広げる

◆教師「作文を読み合い、感想を書きましょう」
・4人班を作り、順番に回して読ませる
 感想を付箋に書き、読んだ作文に貼り付けさせる

◆教師「全体で意見交換をしましょう」
・全体で自分の考えを発表させ、考えを共有する

以上のような流れで授業を展開することで「統計資料を読む力」と「自分の考えを書く力」が身に付くと考えます。少しでも参考になればうれしいです。

というわけで今回は「表やグラフを用いて書こう」について習得学力を明確にした単元計画についてお話しました。さて、時の流れは速いもので、今年度も残すところ僅かですね。というわけで次回は「年度最後の国語授業」についてお話しします。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

木更津市立鎌足小学校
千葉大学大学院教育学研究科学校教育学専攻
木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

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