2022.02.25
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「国語授業」の説明書〜国語の根本・本質・原点〜(8回)

年度末最後の授業は、とても重要です。次年度の教科に対する意欲に直結するからです。どうすれば、子どもに国語の楽しさを教える授業ができるのでしょうか。
今回は「年度末の国語授業」についてお話しします。

木更津市立鎌足小学校 山本 裕貴

国語

「国語」とは何でしょうか。手元の辞書を引いてみると主に4つの意味が記載されています。

1 その国の公用語、共通語
2 日本の言語、日本語
3 国語科の略称
4 外来語や漢語に対して、日本固有の言葉

小学校では3番の意味で使用されています。国語科とは「国語の理解、表現などの学習を目的とした学校の教科」とあります。つまり、私たち日本人は日本語について学ぶということです。
私たちは日本語を使って生活をします。そのため初等教育では国語の授業時数が比較的多く割り当てられています。また、すべての教科は日本語で授業が行われます。これらのことから、国語は教科学習の根本と言ってよいでしょう。

日本語を大切にしていますか

私たちは日本語を大切にしているでしょうか。文化庁が令和2年度に「国語に関する世論調査」を実施しました。これは16歳以上を対象とし、国語に関する意識を調査し、国語に関する興味・関心を喚起することを目的としたものです。

質問項目の1つに「あなたは、毎日使っている日本語を大切にしていますか。それともそうはしていませんか」というものがあります。その中で「大切にしていると思う」を選択した人は僅か19.6%でした。「あまり意識したことはないが、考えてみれば大切にしていると思う」を含めると73.9%になりますが、普段から日本語を大切にする意識に乏しいことが分かります。

また、年代別の回答として70歳以上の「大切にしていると思う」の割合は22.8%で最も高く、16~19歳は17.4%と最も低い割合でした。この結果から若い年代の方が、日本語を大切にする意識が希薄であることが分かります。

国語の楽しさ

日本語は素晴らしい言語です。日本という限られた地域でしか使用されないにも関わらず、世界中の多くの書物が日本語に翻訳されています。また、高等教育も日本語を使用して履修することができます。
自国の言語で高等教育を受けることができるのは、幸せなことです。世界には、母国語でない言語(英語やスペイン語などの共通言語)で学校の授業を受ける国も多く存在します。

では、どうすれば日本語を大切にする意識が高まるのでしょうか。それは、小学校段階から国語の楽しさに気付かせることだと思います。私は毎年、年度末最後の国語授業において、詩や俳句を使った授業を行います。
そこで、子どもが国語の楽しさに気付けるようにしています。そうすることで、次年度の国語授業に期待をもち、進級することができるのではないかと思います。

CASE7 俳句鑑賞

今回は「年度末の国語授業」についてお話しします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〇習得学力
1 国語に対する意欲
2 俳句鑑賞に必要な知識
〇単元計画 全1時間
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【☆1時間目の流れ】 
本時の目的→国語の楽しさに気付き、国語を好きになること

『菜の花や月は東に日は西に 与謝蕪村』

教諭「みなさんで音読しましょう」
・俳句を提示し、正しく音読させる

教諭「わからない言葉はありますか」
・語彙の理解を確認する 
・菜の花、月、東、西、与謝蕪村を簡単に説明する

教諭「風景をイメージしましょう」
・難解な語彙や比喩はないので、子どもは思い描きやすい
解答予想
一面の菜の花があります。
月と太陽が同時に出ています。 など

教諭「季語はどれですか」
・ノートに季語を書かせる 多くの児童が「菜の花」と回答するだろう

教諭「この句は2つの季語があります」
・季語の確認をする 菜の花→春の季語 月→秋の季語
・学習用語を確認する「季重なり」

教諭「主役の季語はどちらでしょうか
・菜の花、月のどちらかを選択させ、根拠をノートに書かせる
解答予想
菜の花が一番上にきているから、菜の花が主役だと思う。
菜の花やと強調しているから、菜の花が主役ではないか。 など
月の方が動きがあるので、月が主役だと思う。
日と対比されているので、月が主役だろう。 など

教諭「主役の季語は菜の花です」
・主役の季語を確認する
・学習用語を確認する「切れ字」

教諭「が、の、を、に、へ、などの言葉を助詞といいます」
・学習用語を確認する「助詞」

教諭「月は東へ日は西へ としなかったのはなぜでしょうか」
・助詞「に」「へ」による表現の違いを考えさせる
解答予想
「に」だと「~にある」「へ」だと「~へ行く」と使い方が違うから。
 月は「東へ」は行かないから。 など

教諭「“へ”と“に”では表現するものが違います」
・「へ」→動作が行われる方向 「に」→存在している場所
・「へ」だと月と太陽が動いている様子になってしまう
与謝蕪村は「に」を使うことで、切り取った一枚の写真のような風景を表現したかった。
与謝蕪村は画家でもあるので、動作より、瞬間を俳句で描いた。

以上のような流れで授業を展開することで「国語に対する意欲」が高まり、「俳句鑑賞に必要な知識」が身につくと考えます。少しでも参考になればうれしいです。

というわけで今回は「年度末の国語授業」における習得学力を明確にした国語授業についてお話しました。次回はいよいよ最終回となります。
そこで次回は「国語授業について私の考え」についてお話したいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

木更津市立鎌足小学校
千葉大学大学院教育学研究科学校教育学専攻
木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

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