2022.03.12
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辞書引き学習の効用

今年度、小学3年生を担当し、国語辞典を活用した「辞書引き学習」に取り組みました。「辞書引き学習」は中部大学教授である深谷圭助先生が提唱する学習方法で、まずは辞書から知っている言葉を見つけて、その印として付箋をつけていく学習方法です。この方法により、学習の型が身につき、児童が自ら進んで言葉を調べるようになると言われています。

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当 菊池 健一

今年も「辞書引き学習」を行って

児童の国語辞典

辞書引き学習が注目されてから10年がたち、このところは書店の辞書コーナーであまり辞書引き学習の紹介が見られなくなってきました。しかし、この学習法は汎用性のある大変有効な学習法だと思っています。今年も力を入れて取り組みました。

スタートではいつも通り、児童が国語辞典を自由に開き、知っている言葉や興味がある言葉を見つけて、どんどん印になる付箋を貼らせました。子どもたちは付箋を貼るのが大好きです。喜んで活動していました。
驚くことに、1時間の中で100枚ぐらいの付箋を貼る子もいました。本当に子どもたちの興味関心の高さには驚かされます。その活動の後に、継続的な活動として、知っている言葉を見つけられるように指示しました。子どもたちは進んで学習を進めて行きました。

付箋の数が1,000枚を超えるようになると、子どもたちに辞書の引き方を教えなくても、自然と言葉を見つけられるようになってきます。従来は、いきなり辞書の引き方から指導していましたが、数年前から方針を変え、十分に辞書引き学習を行わせてから、引き方を教えるようにしています。
そのようにすることで、児童は自然と引き方を覚え、たくさんの言葉を調べられるようになります。辞書の引き方を覚えた後には授業などでも辞書を積極的に活用していきました。国語の授業だけでなく、社会科でも算数でも、児童は分からない言葉があると辞書を用います。
このような姿勢が、主体的な学びにつながるのではないかと感じています。辞書引き学習を通して、「知りたいと」と思うことを進んで調べる児童が増えました。それだけでなく、「なぜ?」という疑問をもつ児童も多くなったように感じています。

漢字学習での活用

3年生では「かんむり」や「あし」「たれ」「かまえ」などの部首について学習します。ここで、教科書では身の回りから漢字を見つけようとしているのですが、私の授業では国語辞典を使いました。これまでの学習で、児童はすぐに国語辞典から言葉を見つけることができます。
今回も、私の指示が終わる前からどんどん調べ始めました。知っている漢字がある場合にはその漢字を引き、探している部首の漢字が思いつかない場合には、いつものように辞書をぺらぺらとめくりながら漢字を探しました。すると、

「先生、宇宙の『宇』があったよ」
「うかんむりの漢字はたくさんあるね」
「『こころ』がついている感じはやっぱり心に関係がありそうだね」
「『くにがまえ』の漢字はあまり見つからないなあ」

など、感想を述べあいながら漢字を探し始めました。
どの児童も時間いっぱい生き生きと活動していました。また、見つけた文字を全員に一つずつ黒板に書くように指示をすると、喜んで見つけた漢字を書いていました。
普通であれば、漢字学習に苦手感をもったり、学習する楽しさを味わえなかったりすることが多いと思います。しかし、辞書を楽しく活用することで、漢字の学習も豊かになると感じました。今年度に培ったこの力は今後の様々な学習にも生きてくると確信しています。

言葉の「見方・考え方」を伸ばす辞書活用

辞書引き学習により、児童は言葉への関心を高め、進んで言葉を調べる姿勢が身についてきました。この力を生かして、今度は言葉を使う学習にも取り組みました。
3年生の最後に取り組む作文の単元で実際に文章を書く際にも国語辞典を手元において、学習を行いました。児童は、「地震から身を守るために大事なこと」というテーマで調べ学習を行い、そこで分かったことをもとに、意見文を書きました。そこでは、

「『危ないです』よりも『危険です』の方がより危なさが伝わるかな」
「机にもぐるというよりも、きちんと頭を守るといったほうがより伝わりやすいよ」
「『被災地の人の話では……』と、ゲストティーチャーに聞いた話も入れたほうがより意見文としていいね」

など、言葉を吟味しながら意見文にまとめることができていました。
このような姿勢は、これから文章を書いていくときにきっと役立つと思います。指導要領によると、国語科では「言葉の見方・考え方」を生かすことが大切であると言われています。
「言葉の見方・考え方を生かす」とは「学習の中で、対象と言葉、言葉と言葉との関係を、言葉の意味、働き、使い方等に着目して捉えたり問い直したりして、言葉への自覚を高めること」とされています。まさに、今回取り組んだ学習で実現できていると感じています。
これからも国語辞典を活用した取り組みを積極的に行っていきたいと思います。

菊池 健一(きくち けんいち)

さいたま市立植竹小学校 教諭・NIE担当
所属校では新聞を活用した学習(NIE)を中心に研究を行う。放送大学大学院生文化科学研究科修士課程修了。日本新聞協会NIEアドバイザー、平成23年度文部科学大臣優秀教員、さいたま市優秀教員、第63回読売教育賞国語教育部門優秀賞。学びの場.com「震災を忘れない」等に寄稿。

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