2021.11.17
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「国語授業」の説明書~国語の根本・本質・原点~(3回)

対話的な学びが求められています。 対話的な学びを実現するには、単元を通して意図的に対話する場面を設定する必要があります。では、どのようにすればよいのでしょうか。 今回は「たずねびと」を具体例としてお話しします。

市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属 山本 裕貴

【対話的な学び】

対話的な活動が大きく注目されはじめ、いくらか時間が経ちました。平成28年の中央教育審議会答申では対話的な学びについて、次のように示しています。

「身に付けた知識や技能を定着させるとともに、物事の多面的で深い理解に至るためには、多様な表現を通じて、教職員と子供や、子供同士が対話し、それによって思考を広げ深めていくことが求められる」

つまり、対話をすることで思考を深めることが、知識・技能を身に付け、深い理解に至るということです。しかし、深い理解まで至る対話というのは難しいですよね。そこまでさせる対話的な活動というのは単元を通して、教師が意図的に設定しなければなりません。では、どうすればよいのでしょうか。

【リーディング・カンファレンス】

この実践は、元千葉県公立小学校校長の横田経一郎先生の実践を基にしています。単元を通して対話的な活動を設定するために、今回はリーディング・カンファレンスを行います。リーディング・カンファレンスとは、物語文の感想を交流する方法です。3人組を作り、以下の手順で行います。

①講話・・・1人ひとり順番に自分の考えを伝える。
②黙考・・・友達の意見を聞いて、感じたことを黙って考える。
③講話・・・黙考した内容を順番に伝える。
④黙考・・・もう一度、感じたことを黙って考える。
⑤対話・・・感じたことを自由に話し合う。

リーディング・カンファレンスを行うことで、友達の多様な意見に触れることができます。自分以外の読み取りを聞くことで、物語に対する理解がより深まると考えます。では、具体的にどのように指導すればよいのでしょうか。

【CASE3 たずねびと】

今回は光村図書5年「たずねびと」の単元計画をお話しします。

【習得学力】
1 考えを書く力
2 考えを広げる力

【単元計画】全10時間

☆1時間目の流れ 
本時の目的→作品に出合い、興味を高める。

T「今日は、たずねびとを先生が読みます。」
・適宜、教師が解説を入れながら読む。

T「1回目に読んだ感想を書きましょう」
・初発の感想を書かせ、子どもの物語への理解を把握する。

☆2時間目の流れ
本時の目的→自分で問いを作ることで、作品を深く読む。

T「物語を音読しましょう」
・丸読み、ペア読み、指名読みを交えながら、本文を読ませる。

T「本文を読み、自分で良い問いを作りましょう」
・良い問いの条件を確認する。

①答えが分かれること
②文章に根拠があること
③主題に迫ること

問いの例 
「わたしははずかしくなって下を向いてしまったのは何故か」

答えの例 
「自分の今までの考えが間違えていると気付いたからだと思います。なぜなら~~」
「おばあさんの広い心に触れたからだと思います。なぜなら~~」 

など、解釈によって答えが分かれる問いを作らせる。この時点では、多作をさせる。

T「たくさんできた問いの中から、条件に当てはめて、3つに絞りましょう」
・1人3問に絞らせる。

☆3時間目の流れ
本時の目的→班で3つの問いを決めることで、友達の考えに触れ、自分の考えを広げる。

T「自分の問いを書き出しましょう」
・ワークシートに1人3つ問いを記入する。

T「リーディング・カンファレンスの流れを確認しましょう」
・講話→黙考→講話→黙考→対話の流れを確認する。

T「班で良い問いを3つ決めるために、話し合いましょう」
・講話……自分の問いの良いところをプレゼンテーションする。
・黙考……友達のプレゼンテーションを聞いて、感じたことを考える。
・講話……友達のプレゼンテーションを聞いて、感じたことを順番に伝える。
・黙考……友達の意見を聞いて、班でどの問いが優れているか考える。
・対話……班で3つの問いを決めるために自由に話し合う。

☆4時間目の流れ
本時の目的→それぞれの班で出た問いを、学級で3つの問いを決めることで、本文を深く読む。

T「みなさんが考えた問いを、良い問いの条件に合わせて絞りましょう」
・班の問いを教師がまとめておき、プリントにして子どもに配付する。
・次時で話し合いたいものを決めさせることで、意欲を高める。

☆5時間目の流れ
本時の目的→1つめの問いを吟味し、自分の考えを文章にする。

1つめの問い「きれいな川はきれいな川でしかなかったとはどういうことか」

T「次時でリーディング・カンファレンスをするために、自分の考えをまとめましょう」
・問いに対する答えをノートに書かせる。
・自力で書くことが難しい子には、文章の型を示す。

〇私はきれいな川はきれいな川でしかなかったとは~~という意味だと思います。なぜなら~~
〇ほかにも~~という考え方もできます。理由は~~
〇少し違うかもしれませんが~~という読み取りもできます。根拠は~~
〇友達は~~と私とは異なる読み取りをするかもしれません。でも~~
〇これは私だけしか気付いていないと思います。それは~~

☆6時間目の流れ
本時の目的→1つめの問いについて意見交流することで、自分の考えを広める。

T「リーディング・カンファレンスの流れを確認しましょう」
・講話→黙考→講話→黙考→対話の流れを確認する。

T「作品を深く理解するために、話し合いましょう」
・講話……問いに対する自分の考えを伝える。
・黙考……友達の考えを自分の考えと比較する。
・講話……友達の考えとの共通点、差異点などを伝える。
・黙考……通点、差異点を聞いて感じたことを考える。
・対話……話し足りないこと、質問など自由に話し合う。

T「感想を書きましょう」
・1つめの問いについて考えたこと、友達の意見を聞いて感じたことなどを書かせる。

7、8時間目は2つ目の問いについて、9、10時間目は3つ目の問いについて同じ流れで繰り返します。この学習では子どもが大量の文章を書くので、教師が丁寧に見とり、褒め、認め、書く楽しさを味わわせることが大切です。以上が学習の流れになります。少しでも参考になればうれしいです。

というわけで今回は「たずねびと」における習得学力を明確にした国語授業についてお話しました。次回は「秋の夕暮れ」についてお話したいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

市原市立八幡小学校教諭 木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

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