2022.04.06
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「国語授業」の説明書〜国語の根本・本質・原点〜(10回)

連載を継続させていただくことができました。いつもお読みいただき、有難うございます。今期も国語授業をテーマにお話しします。
今回は「国語の授業開き」に焦点を当ててお話ししたいと思います

木更津市立鎌足小学校 山本 裕貴

【有難い】

こんにちは。山本裕貴です。ありがたいことに、今期も連載を継続させていただけることになりました。このような機会に恵まれたことを本当に感謝しています。これも、私の稚拙な文章を読んでくださる読者の方がおられるからです。本当にありがとうございます。

少し話は変わりますが、北海道にY先生という方がいます。国語教育を熱心に研究されている素晴らしい先生です。私はY先生とメールでやりとりをさせていただくことがあります。そのとき先生は「有難う」という漢字をお使いになります。
私は「ありがとう」と平仮名を使っています。しかしこれを漢字にすることで「有り、難い」という本来の意味をより意識することに気が付きました。このようにY先生は言葉を巧みに使うことで、多くのことを私に教えてくださいます。有難うございます。

さて、話は戻ります。このような場で自分の考えを発信できるということは、まさに「有難い」ことです。そのようなことを再確認し、今期も一所懸命頑張っていきたいと思います。どうかお付き合い下さい。

【両者の共通点は何か】

本題に入る前に、もう少しだけ話をさせて下さい。今から2つのことを話します。

1つ目です。数年前に中島美嘉さんのコンサートを見に行きました。私はあまり音楽に詳しくないのですが、知人に誘われたので、見識を広めるために行くことを決めました。
コンサートというのは、常に歌を歌っているわけではありません。曲と曲の間で、MCが入ります。そのとき彼女はこのように言っていました。
「あー。やっぱり私、MC苦手です。だからとりあえず歌います」

2つ目です。私の師である野口芳宏先生のセミナーでの話です。野口先生のセミナーは多種多様で、模擬授業もあれば、修養講座もあります。さらに野口先生の国語教育に対するお考えを話されたり、受講生が発問を作り野口先生に添削してもらったりすることもあります。
あるとき野口先生は次のように仰っていました。
「私は80を超えています。私に出来ることと言ったら、授業くらいなものです。授業だけは60年以上やってきましたから」

さて、この2つの事例、全く違うことのように感じるかもしれません。しかし、私は共通点があると思いました。それは「プロとしての専門性がある」ということです。
中島さんはMCが出来なくてもよいのです。「歌を歌うこと」が専門性だからです。観客はそれを聞きに来ているのです。
野口先生は「授業をすること」が専門性です。受講生はそれを学びたくてきているのですから。プロはそれぞれ専門性があります。その専門性を売りに仕事をしているのです。

私の専門性はなんだろうと考えました。それを連載のテーマにすることが、読んでくださる方に役立つと思ったからです。
私は不器用です。他の小学校教師のように器用にこなすことが出来ません。しかし初任者の頃からずっと、野口先生のもとで「国語教育」を学び続けています。それが私の専門性だと考えました。
というわけで今回も引き続き「国語授業」をテーマに書いていきたいと思います。少しでも読んでくださる方の役に立てれば嬉しいです。

【国語授業の学級開き】

新年度がスタートしました。多くの先生が新しい学級で「学級開き」をしていると思います。これはその一年の学級経営の視点から見て、大変重要なことです。私はそれに加え、各教科の授業開きも重要だと考えています。
全ての子どもは向上的に変容をしようとしています。自ら悪くなりたいと願う子どもは1人もいません。昨年度、問題行動をしてしまっていた子どもも、新年度は「今年こそは頑張ろう」と願って教室に入ります。私たち教師は、まずそれを理解しなければなりません。

各教科の1時間目に、そのまま教科書の内容に入ってしまう先生もいますが、それは勿体ないことだと思います。子どもたちは新しい学年の教科に対しても胸を膨らませています。そこで「この教科はおもしろそうだ」と学習意欲を喚起することが、その後の教科へのモチベーションになります。
というわけで、今回は「国語の授業開き」に焦点を当ててお話しします。

【CASE10 風景 純銀もざいく】

〇習得学力
1 国語に対する意欲
2 鑑賞に必要な論理的思考力

〇単元計画 全1時間

☆1時間目の流れ 
本時の目的→国語の楽しさに気付き、国語を好きになること

・題名、作者を提示する
『風景  純銀もざいく    山村暮鳥』

・未習得語彙を確認する
教師「分からない言葉はありますか」
純銀→混じり物のない銀のこと
もざいく→ガラスや貝殻などを散りばめて図案にした装飾品のこと(写真を見せると良い)

・1連を提示する

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな

・未習得語彙を確認する
教師「むぎぶえとななんでしょうか」
麦笛→麦の茎で作り、口に当てて笛のように吹きならすもの

・発問をする
教師「この詩は明るいですか、それとも暗いですか」

・正解を示す
教師「正解は明るいです」
※ここで、児童解答と根拠の整合性を確認する
解答と根拠に整合性がないと学力は身に付かないことを教える
(整合性のある答え)
◯目の前いっぱいに菜の花が広がっているから
◯耳を澄まして、心地よく麦笛を聞いているから   など

・2連を提示する

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしゃべり
いちめんのなのはな

・発問をする
教師「おしゃべりは、なきごえに変えても良いですか、悪いですか」

・正解を示す
教師「なきごえに変えてはいけません」
(整合性のある答え)
◯鳴き声だと1羽でも成立してしまうから
◯おしゃべりのような明るい雰囲気が出ないから  など

・3連を一部隠して提示する

いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
    はひるのつき
いちめんのなのはな

・発問をする
教師「はひるのつき、の前には何が入るでしょうか」

・根拠との整合性を確認する
(整合性のある答え)
◯4文字であること
◯明るいイメージのものであること
◯聴覚で捉えるものであること
以上を踏まえると「ささやく」「かたるは」などが考えられる

・正解を示す
教師「正解は、やめるはひるのつきです」
※1連、2連の調子との違いに気付かせる
この詩は3連で、今までの調子を崩してくるのが、鑑賞者の心を揺さぶる

・漢字に直した詩を提示する

一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
微かなる麦笛
一面の菜の花

一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
雲雀のお喋り
一面の菜の花

一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
一面の菜の花
病めるは昼の月
一面の菜の花

・発問する
教師「何故、作者は全て平仮名にしたのでしょうか」
→平仮名の持つ丸みや温かみが明るいイメージを促す
3連を並べたときの視覚的な美しさ   などに気付かせる
※「表現効果」という学習用語を教える

・これらからの学習に意欲を持たせる
教師「このような楽しく、力がつく国語授業をみなさんでしていきましょう」

以上のような流れで授業を展開することで「国語に対する意欲」が高まり、「鑑賞に必要な論理的思考力」が身につくと考えます。少しでも参考になればうれしいです。

というわけで今回は「国語の授業開き」における習得学力を明確にした国語授業についてお話しました。次回も「詩の鑑賞指導」についてお話ししたいと思います。ここまでお読みいただき有難うございました。

関連情報

山本 裕貴(やまもと ゆうき)

木更津市立鎌足小学校
千葉大学大学院教育学研究科学校教育学専攻
木更津技法研所属

高校、特別支援学校、小学校算数専科を経て、現在小学校の学級担任をしています。
人を幸せにするには、どうすれば良いのか。たどり着いた答えが小学校の先生でした。
教育の根本・本質・原点を問い続けていきます。

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