2023.02.09
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小規模校で先生方に「ゆとり」を生み出すための校内環境の整備(15)

業務改善には、「やめる」「減らす」「変える(改善する)」という視点が重要であると言われています。でも、やめることも、減らすこともできないこともあります。年度末の教室移動は、多くの学級担任の先生が避けては通れない一大業務になります。では、できるだけ効率的に行う方法はないのかな?(=ちょっと改善する)という方法を考えてみたいと思います。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

何かと忙しい年度末…

教員にとっての年度末は、何かと慌ただしいものです。ある程度、学習進度に目途が立ったり、授業時数に余裕が出てきたりすると、「春休み中に何をやらなくちゃいけないかな?」と考えるようになります。必ずやらなくてはならない通知表などの評価業務や指導要録の作成、次年度への引継ぎ資料の作成だけではなく、校務分掌の仕事など学級以外の業務もあります。異動に伴う様々な手続きが必要になる場合もあるかもしれません。

学級(とくに教室環境)に関することで言えば、修了式までに、児童が教室に置いてある荷物や制作した作品を持ち帰らせたりすること、保護者への連絡なども必要です。また、次に使用する学級に教室を引き継ぐために、教室の清掃をしたり、教室に貼ってある掲示物を外したり、教師用の教科書の整頓をしたり、担任の私物を収納したりすることにも結構な時間がかかります。

閉店時刻間際のスーパーを思い浮かべながら…

 先生によっていろいろお考えがあるかもしれませんが、私のなかでは、3月の教室環境を「スーパーの閉店時刻間際のお惣菜コーナー」に例えて考えてみることがあります。お総菜売り場では、できるだけその日のうちに商品を売り切るために、ピークの時間を過ぎると値引きシールが貼られます。そうすると、閉店時刻間際の売り場は、ほとんどがらんとした状態になります。「あ~、もうお店が閉まっちゃうんだ・・。」という雰囲気が漂っていますが、そういう時間だから仕方ないよなとお客さんは思うのではないでしょうか。逆に、開店した時と同様に商品がずらーっと並んでいたり、売り切れた商品を新たに追加して売り場に並べたりするということも期待していないでしょう。がらんとした状態になっているということは、お店にとっては、利益率が下がったとしても売り上げがアップするでしょうし、売れ残った商品を廃棄する作業も必要なくなり、清掃もしやすいしでしょう。お客さん側も、お値下げになったお惣菜を買えて、得した気分になれます。

すべてが同じわけではありませんが、3月の教室環境も、そういう雰囲気があるのかな~と思っています。教室が少しずつ片付いていくということは、これで1年間が終わるのだな~という雰囲気を漂わせ、学級じまいのムードになっていきます。そういう雰囲気を子どもたちもなんとなく感じ取ることで、落ち着いて年度末を迎えられてきたような気が私はします。

子どもたちと一緒にできることをすすめていく

こういうところも「ほこり」もきれいにして、次の先生に引き継ぎたいです(恥ずかしながら、私の教室です。定期的に掃除していてもこれくらい汚れます・・・)。

 教室の「閉店準備作業」のうち、子どもたちと一緒に進められる作業には、どんなことがあるでしょうか。高学年を担任している私の教室で考えると、次のような作業が考えられます。

  • 棚やロッカー:名前シールを外す。水拭きをする。
  • 机:位置を分かりやすくしているテープを外す。デスクマットをきれいに拭く。
  • 机&椅子:脚についているほこりをとる。
  • 掲示物:不要なものを外す。処分するものと残しておくものを分ける。
  • 教材:教材室などに戻す教材(教師用図書)を返却する。
  • 古紙ボックス:処分するもの、リサイクルするものの分別をする。
  • 清掃:大掃除でできるところは、できるだけ子どもたちに…。黒板のチョークの粉の汚れ、窓回り(サッシ)のほこりが目立たないように・・・。

子どもたちと一緒に行った作業でも、次の先生に引き継ぐのは私たち学級担任の責任ですから、チェックをして、必要に応じて追加で作業をすることも必要です。

小規模校の特性に合わせて、できることは少しずつ取り組んでいく

北海道ならではですが、暖房器具(ストーブ)の下も、普段の清掃では取り切れないほこりがたまっているのです・・・・

こうすることで、春休み中の時間をできるだけ次の年度の準備に充てることができます。小規模校では、「一人に複数の校務分掌が集中しやすい」「複数の校務分掌で主任を担当する」という特性がすでに明らかになっています。一人の教員がマルチの役割を果たすことが求められているという学校の特性に合わせて、「店じまい感」をあまり出しすぎないように気をつけながらも、できることはできるだけ進めておくことで、4月になってから余裕をもった学級経営にあたることができるのだと考えています。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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