2022.09.21
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小規模校で先生方に「ゆとり」を生み出すための校内環境の整備 (8)

今回は、学校での教室環境の整備に関する教職員アンケートの結果をもとに、小規模校での校内環境の整備がどのように先生方の「ゆとり」につながっているかを考えたいと思います。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

教室環境の整備に関する教職員アンケートの結果から…

多くの先生が積極的に教室環境の整備に取り組まれている様子

教室環境の整備に取り組んだことについて、教職員への事後のアンケート調査では、「とてもよかった」「概ね良かった」と約9割(87.5%)の教員が肯定的な回答をしてくださいました(n=16)。
記述部分からは、「教材が見つけやすくなり、実験準備にかかる時間が少なくなった」「児童が使いやすい状態になり、整理整頓を指導しやすくなった」など利便性の向上の意見が多くありました。
また、「ずっと整頓されていなかったところがきれいになって良かった。これからも定期的にできるようになると良い」「誰かが言い出さないとやらなかったことなので、今回やったことを生かして他の教室もやってほしい」という教室の環境整備についての意識の高まりが感じられる意見もありました。

このほかにも、データとしての裏付けはありませんが、執務環境の整備をきっかけとして、2つの学年で構成されている学年ブロックのなかで、学校行事や校外学習などこれまであまり見直すことのなかった教育活動について、改善を図るための意見を出し合ったり、様々な相談をしたりする機会が増えたようにも思います。
言い換えれば、「今まで通りやっていればいい」という前年度踏襲の形から、「よいものへ改善していこう」という業務改善の意識の高まりとも言えるかもしれません。
教室の環境整備の途中で明らかになった「教材購入の仕組みづくり」や「執務時間の確保」に関する取組の必要についても校内的に課題として認識されるようになりましたが、進行中の課題ですので、今後、効果が出てきたり、その検証をしたりすることが必要となることと思います。

こんな課題も…

昨年度までは、ここまでの作業は行っていませんでした

一方で、「取組自体は賛成だが、特定の先生だけに負担がかからないようにしたほうがよい」という意見もありました。たしかに、現在は、前向きに取り組もうと協力してくださる先生が多くいることで、このような取り組みがうまくいったと言えます。
実際、働き方改革の際には、一時的に特定の教員に負担がかかりやすくなる問題が生じることはすでに指摘されていますが、本事例で取り上げたような教職員数が限られた小規模校においては、誰がどのようにその責任を引き受けるのかについて課題があると言えます。
この課題については、制度的な側面も多くあり、一教諭として行える取組には限界があると言えますので、より高いレベルでの検討が必要だと考えます。今回のアンケートでは、取組に否定的な意見としてではなく、筆者に「負担がかかりすぎていない?大丈夫?」という先生が、学校全体へのいわば「問題提起」として書いてくださったものと思います。

教室環境の整備の先には…

教室環境の整備を「学校の整理整頓」に終わらせるのではなく、学校改善につなげていくには、子どもたちがそれによってどのような姿に変わっていける可能性があるのか?というゴールを多くの先生方が共有できることが大切だと感じました。
その実感を教職員一人一人が強く実感することができれば、当事者としての意識が高まり、「自分は何ができるのか?」と積極的に動こうとする先生方が増える気がします。その結果として、学習準備にかける時間が多く取れるようになり、教職員の「ゆとり」につながるのでしょう。

はじめから「学校改善」という壮大なテーマを掲げるのではなく、職員室での日常的なコミュニケーションをベースとしながら情報共有を図り、目的の共有を行っていけば、結果的には学校改善につながった、そんな自然な取り組みを進めていければと思います。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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