2022.12.27
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小規模校で先生方に「ゆとり」を生み出すための校内環境の整備(13)

業務改善には、「やめる」「減らす」「変える(改善する)」という視点が重要であると言われています。その視点で判断した後は、改善を実行するタイミングも重要でしょう。気づいたとしても、「すぐにはできない」「やらないほうがいい」ことも時にはあります。でも、ずっと後回しにしておくだけではなく、「早くから準備しておくこと」も大切です。冬が寒い北海道ならではの例をもとに、そんな話を紹介します。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

寒い地域ならではの体育の学習:スケート学習

北海道の一部の地域では、冬期間にスケート学習(地域によっては、スキー学習)が行われる小学校があります。雪が降ったり、冬の厳しい寒さをいかしたりできるウィンタースポーツを行うことで、生涯にわたって運動やスポーツに親しむ貴重なきっかけになると思います。

私の勤務している地域では、スケート学習が1~2月にかけて行われます。児童が使用するスケート靴の種類が、アイスホッケー、フィギュアスケート、スピードスケートの3種類あり、それぞれ特性が異なるので、指導する側もなかなか大変です。私は、スキーは得意ですが、スケートは教員になるまでほとんどやったことがありませんでしたので、初任者のころは上手な子どもに教わりながら、指導したのを思い出します。

事前の準備もいくつか必要となり、その一つが、校庭にスケートリンクを造成する作業です。担当するのは、学校の教職員やアイスホッケーなどの少年団などの保護者ですが、天候に左右されやすいので、なかなか予定通りには進まないこともあります。また、学習に使用する様々な用具も必要になります。勤務校には、「長靴アイスホッケー」というご当地種目があり、アイスホッケーの用具が一学級分あります。荷物もたくさんあり、収納する場所を確保すること、道具を適切に管理することが必要になります。ウィンタースポーツを学校で行うのには、それなりの準備・労力が必要になるのです。

計画的に準備することの大切さ

写真1 整頓された状態で保管されているアイスホッケー道具

写真1は、勤務校にあるアイスホッケー道具です。教材室の一角に置く場所が準備されています。校務分掌の担当の先生方が、長期休業などを利用して、シーズン前に整理整頓しておられたので、どこに何があるかは多くの教職員が理解しやすい状況です。
「さあ、使い始めるぞ!」という前にバタバタとするのではなく、前もって計画的に準備しておられるのが素晴らしいなと、計画性のない私は反省してしまいます…。このように整理整頓をしっかりしておくことは、「当たり前」と言えば当たり前なのですが、そのことでのメリットについて改めて考えてみました。

「整理整頓されていると…」に続く言葉を考えてみると…

写真2:アイスホッケー道具は、すべて1か所に収納されている

  • その1:使いたいものがすぐに見つかる。

使いたいものを探すためにかかる時間が短くなって困る人は、誰もいません。写真2は、写真1と同じようにアイスホッケー道具ですが、室内で保管する用具は、すべてこの場所に表示がつけられた状態で置かれています。このように、使いたいものが1か所に集積されて収納されていると、「〇〇、どこにありました?」と話し合う必要もありません。「スケートの道具は、教材室」というように先生方に定着するからです。しまう時も、あの場所にしまえば…というのがすぐに分かります。逆に、整頓されていない場合、例えば、「防具は体育館器具室、スティックは教材室、パックは外の物置」などと分かれていると、シーズンオフに片付けるときにも「どこにしまうんだったかな?」という会話が繰り返されることになり、そのためにも時間がかかってしまうことになります。

  • その2:きれいに片付けようという気もちになる。

人間の心理でしょうか、整っているところを乱すのは、何か後ろめたい気になります。整っていれば、また同じようにして戻さなきゃという気もちになれます。私自身がそうですが、自分の部屋だったら、そのままぐちゃぐちゃなことも多々あります・・・。でも、公的な場所だと、「きれいに戻そう」という気持ちに嫌でも、いや、「前向きに」なれるような気がします。

このような整理整頓が、思い付きで行われるのではなく、計画的に行われていくと、担当者が変わっても、教職員の移動があっても、良い仕組みがうまく循環していく学校になっていくのではないかと感じています。それには、1年・2年という少し長いスパンで考えて、あせりすぎないということが大切であるように思います。

さあ、年末の大掃除の時期です。自分の部屋の大掃除も頑張りたいものです…。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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