2023.03.23
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小規模校で先生方に「ゆとり」を生み出すための校内環境の整備(17)

前回までの記事で、教務部の仕事として、教室の写真を撮影して次年度以降の学級経営に役立てられるようにする取り組みを紹介しました。今回は、教室の教師の机の上にポイントを絞って考えてみたいと思います。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

児童にとっても教師にとっても「使いやすい」教室に…

この記事が公開される頃には、各学校も年度末の修了式を迎えている頃だと思います。新年度のスタートに向けて、学級開きのイメージをし始めている先生、若い先生と一緒にどのように準備していこうと考えておられる先生、4月から学級担任になるけど、一体何を準備すればいいか分からないという新採用の先生もいらっしゃるかもしれません。
教室は、教員も児童も学校生活の多くの時間を過ごす空間です。だからこそ、「使いやすさ」を大切にしたいと思います。しかし、教室環境の整備に時間をかけすぎて、授業準備や児童への指導がおろそかになるということは避けたいものです。

見るだけでは、理解できないことが多いことも…

私が初めて学級担任をした時のことです。4月の始業式前に、経験豊かな先生が「教室設営をするのに、ほかの先生の教室を見てまわるといいよ」とご親切に勧めてくださいました。そのアドバイス通りに一人で教室にお邪魔して、いろいろな様子を見させて頂きました。しかし、どうしてこういうものを置いているのだろう?という疑問と自分が終わっていないことが多すぎることに気づく「絶望感」とで、かえって苦しい思いになったという苦い経験があります(もちろん、役立ったこともたくさんありました…)。

経験を重ねた今では、「あ、こういう意図があるんだな、こういう工夫もいいな」というように、その学級担任の考え方をなんとなく想像することができます。そして、学級担任を何年か経験すると、教室環境も低学年ではこう、高学年ではこうというような「いつも通り」のスタイルが確立されますが、それまでは、それなりの年数がかかったことを思い出します。

教室の机に何を置くか…

新年度の学級開きの前に、初任者の先生や経験の浅い先生と一緒に、教室設営の終わった教室を回って、話し合いながら準備できるといいなと思うのですが、なかなかそんな時間がとれないのも現実です。そこで、参考になればと思い、今年度の私の机の上を写真に撮ってご紹介します。写真の上は、児童が座っている側です。ただ、決して、これが正解というのはありません…。参考程度にお考え頂ければ、幸いです。左上から順番に紹介していきます。

1.提出物を入れるかご★ 
家庭学習と宿題を提出するためのものです。児童が提出しやすいように、児童側に置いています。私は、ノートなどは開かずに「付せん」をつけて提出するように伝えています(家庭の様子が書かれた日記や担任への相談などを書いてくる児童がいることもあるためです)。

2.ティッシュ★ 
子どもたちが必要なときに使えるようにしています。基本は、ポケットティッシュを持ってくるように指導しています。

3.スタンドファイルボックス★ 
配布物を入れるためのものです。

4.セロハンテープカッター★ 
給食の牛乳パックを入れるゴミ袋などを止めるため等に児童が使えるようにしています。児童もミニサイズのセロハンテープを持っています。

5.ペン(文房具)スタンド★ 
まるつけ用のペンを入れています。いつも同じペンを使用しています。付せんやのり、ホッチキスを置いています。そして、クリップは私にとって重要アイテムです。プリントやテスト、家庭からの提出物などがバラバラにならないようにするために、よく使用しています。「大は小を兼ねる」で大きめのサイズを好んで使っています。

6.消毒液★ 
病院ではありませんが、必要な時に(例:一人の児童に対応した後、次の児童に対応する時に)使用することがあります。

7.タブレットスタンド&タブレット 
宿題の提出確認をしたり、職員用クラウドサービスを使っての職員同士の連絡にも使用したりします(当然、セキュリティがかかっています)。机の上がごちゃごちゃになると、タブレットがどこにいったのか分からなくなるので、教室にいるときは、いつも同じ場所に置くようにしています。

8.デスクマット★ 
時間割(日程を確認するため)、給食だより(アレルギー対応を確認することもあるため)、学校だより(月の行事予定を確認するため)を見やすくするために敷いています。


ちなみに、写真にはあまり写らないようにしていますが、左端には教師用の小さなごみ袋を、右端には児童名簿を貼り付けています(提出物の確認のため)。

机の★がついているものは、私物(私費購入)です。学校の学年予算や消耗品の予算(公費)で購入していただけるものもありますが、私としては「使いやすさ」を重視しているので、私物を使用しています。一度購入すると、多くのものは長く使えると考えていますので、ちょっとの初期投資も十分に回収できると考えています。

私も含めて、新年度、先生方がいいスタートを切れるように、こういう情報を互いに学び合ったり、自然に話し合ったりようにしていける、そんな職員室になればいいなと思っています。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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