2022.05.23
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小規模校で先生方に「ゆとり」を生み出すための校内環境の整備(2)

学級担任をしている先生方は、子ども達が過ごす教室が快適になるように、整頓したり、素敵な掲示物を貼ったりして、学習や生活の環境にふさわしく整えます。同じように、理科室や図工室などの特別教室も、使用する頻度は低いものの整った環境にしていきたいものです。そのメリットは、教師にも子どもにもどちらにもあるものです。その一例をご紹介します。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

きっかけ

出してみるとこんなにたくさんあった理科室

物はあるけど、よく使うものは意外と限られている…

ある年、理科室の整理整頓を担当することになりました。きっかけは、長期休業中に行われる「教材点検」(学校予算で購入した備品が所定の場所に備え付けられていて、使用できる状況にあるかを確かめるためのもの)の時に、たまたま私が理科室担当になったことでした。
高学年の担任として理科室を使うことはあり、使い勝手があまり良いとは思っていませんでした。異動した年度で使い慣れていなかったことも重なり、実験用具などを探すのにすごく時間がかかりました。「古い使われなくなった備品も多いな」とか、「これは、後片付けが悪いからこの状態になってしまったんだな」と思えるものも多くありました。でも、日常業務が忙しく、手をつけようとも思いませんでしたし、実際にその余裕もありませんでした。
ただ、その担当になった時に、「ここをもうちょっと片づけたら、使いやすくなるのになあ」という「ちょっと」をきっかけに、スイッチが入りました。

先生方を巻き込む

いろいろなものがミックスされて収納されていた理科室

電池も、電気ポットも、エナメル線も同じ戸棚の中に…

 前回の記事でも紹介した写真は、理科室の戸棚にあったものをほぼ全て机の上に出した状態です。長期休業のスタート時に、私が、一つの棚に入っていた備品をまずは出してみました。
その後、先生方に「理科室の備品整理中ですので、理科室の机の上が使用しにくい部分があります」とお知らせしました。そうすると、「理科室、どうなっているんだろう?」と興味がわいて、通りがかりに見て行かれる先生が少しずつ増えてきました。職員室でも、「古いもの、いっぱいあるんだね」というような会話が聞かれるようになりました。

それをチャンスとして、「理科室のものを本格的に整理したいと考えているので、とりあえず、一度すべてのものを机上に出してみたいと思っているのですが、お手伝い頂ける先生は●日の●時にご協力をお願いします」と教職員に告知しました。
ただし、教材の管理に関わる教務部の先生や管理職、事務職員にも事前に相談しておきました。その結果、出勤していたほぼすべての先生方の力を借りて、理科室にあるすべてのものを一度机の上に出してみる、ということができました。戸棚を開けてみると、たくさんの物がいろいろな場所にジャンルを問わず、「とりあえず」しまわれている、ということが明らかになりました。
とくに、中に入っているものが見えない戸棚には、埃をかぶった「昭和30・40年代」のラベルがついた備品が出てきて、先生方からも「え??」という声が聞かれました…。でも、これで、整理整頓の第一歩となりました。

「とりあえず」仲間分け、そして、かごに入れてすっきりと

少しずつ整理整頓されていった理科室

「とりあえず」やってみることが大切

整理整頓の目的のおおもとは、教師にとっても児童にとっても「使いやすくする」ことです。使いやすくするためには、「よく使うものをとりやすい場所に置く」ことが大切だと考えました。
それで、使用頻度の高いものを確認するために、学習指導要領及び教科書を参考にしました。理科の教科書、指導書などを3年生から単元ごとに確認していき、現在の教科書には掲載されていないもの(学習指導要領で取り上げられなくなったもの)を準備室などにしまっていきました。また、これまでの利用実績を踏まえ、教科書にも載っていなく、数年使われていないと判断したものは廃棄処分することにしました。
ただし、備品管理上、自治体の予算で購入したものを備品から外す(処分する)場合には事務職員に確認する必要があるでしょう。

そして、使うもの・残すものを決めた後、とりあえず仲間分けをして、かごに入れることで、下準備をしました。大体のものがかごに入ったところで、そのほかのものと合わせてどこに配置するかを考え、場所を決めていきました。
私は、よく「とりあえず」と言う言葉を使います。それは、「やってみないことには、何事もすすまない」と思っているので、程度や結果はさておき、まずはやってみることが大切と考えているからです。
次回は、整理整頓をすすめるにあたって、気を付けた点をご紹介したいと思います。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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