2022.12.07
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小規模校で先生方に「ゆとり」を生み出すための校内環境の整備(12)

業務改善には、「やめる」「減らす」「変える(改善する)」という視点が重要であると言われています。その視点を学校の教室環境の整備にどのように生かせるのかを考えたいと思います。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

時には、本末転倒になることも…

時折、「働き方改革の取り組みのために、かえって忙しくなっている」ということを耳にすることがあります。私自身の経験としても、何を「やめる」「減らす」「変える」のかを話し合う会議が多すぎて、その話し合い自体をやめるのが一番時間を生み出せるようになるのでは?ということを教職員同士で話すこともありました。

「明日、1日をどう乗り切るか?」からの脱却も大事

多くの先生にとって児童が下校した後、勤務終了の時刻まではあっという間に過ぎていきます。遅くまで残ったり、家まで持ち帰ったりと、それぞれ何とか毎日を乗り越えています。「明日、1日をどう乗り切るか?」というは私も毎日考えています。金曜日だけは、明日(土曜日)の授業を何とかしなくちゃ!と思わなくていいので、ほっとします(←とりあえず翌週の月曜日のことは考えないことにしています…)。

「明日、1日をどう乗り切るか?」という視点で私の校務分掌業務を考えると、学校の教室環境の整備の優先度は、高いとは言えません。校務分掌業務の一環とは言え、自分の学級ではない教室の環境整備に多大なエネルギーをかけなくても、とりあえず「明日、1日は乗り越えられる」からです。しかし、教職員すべてがこのようなマインドになってしまうと、学校の業務を互いに分担して補い合う「校務分掌」という相互扶助のシステムが崩壊してしまいます。それで、学校全体の業務で「やめる」「減らす」ことを増やすことを要望しながら、教室環境の整備の方法を「改善する」ことが担当者としての責任であると考えています。

改善をめざして、潔く「あきらめる」

ビデオデッキのスペースが空けば、ほかの有効活用ができそうな状況

前々回の記事で、教室にあるビデオデッキについて若手教員から質問があったということを紹介しました。詳しく話を聞いてみると、ビデオデッキが置いてあるテレビ台のスペースを有効活用したいということを思って、担当者である私のところに質問に来たそうです。そういうポジティブな変化を期待する声に、何とかしたい!という私の「片付けスイッチ」が入りかけたのですが…。あえて、すぐには行わないことにしました。潔く「あきらめる」、ただし、「今は」です。

理由としては、①改善の必要はあるのですが、緊急性は高くはないこと、②すべての教室について対応するだけの担当者の余裕がないことがありました。

①については、すぐに直してほしいということではなかったこと、ビデオデッキのケーブルを外して、教室の空きスペースに保管しておくことで当面は対応できたという事情がありました。②については、教室環境の整備を担当している私は高学年の通常の学級の担任、視聴覚機器の管理を担当している先生は、中学年の通常の学級の担任で、それぞれすぐに対応するだけの時間的な余裕がありませんでした。

現在の勤務校では、6年生の1週間当たりの標準授業時数は29時間です。学習内容も難しく、学力差も顕著になってくる高学年の学習指導には、教材研究に多く時間がかかることがあります(ただし、一部の教科は担任外の教員が指導してくださっているので、たまに空き時間もあります)。加えて、ここ1~2か月では、卒業アルバムの作成(写真の選定、業者との打ち合わせ、集金方法の連絡など)や修学旅行の事前準備・事後処理、中学校見学などの打ち合わせなど、この時期特有の業務もありました。「善は急げ」でやろうとすると、かえって、学級経営に悪い影響を与えてしまうかもしれない…と考え、次の長期休業中に取り組むこととしました。それで、今は「潔く」あきらめることにしたのです。その続きは、次回ご紹介します。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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