2022.04.27
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小規模校で先生方に「ゆとり」を生み出すための校内環境の整備(1)

新学期が始まり1か月あまり。異動されてきた先生も含め、学校全体が新たな気持ちでスタートしていることと思います。今回の記事では、教材研究・授業準備がしやすくなる学校であり続けるために、環境整備をどのようにすすめることが良いのかを考えていきたいと思います。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

「あれは、どこに??」

学習で使用したい教材・教具が「校内のどこにあるのだろう?」と探した経験がある先生は多いと思います。教材のリストがある場合はそれを見たり、他の先生に聞いたりして、その置いてある場所に行って探したものの、「う~ん、どこだろう」と職員室に聞きに戻るということも私自身よくありました。小学校でいえば、自分が担任を務める学級の教室に関しては、どこに何があるかということを十分把握していますが、特別教室と言われる理科室や家庭科室、図工室や音楽室などは、使用する頻度があまり高くないこともあり、「物はあれども整頓はされず…」というような学校も多いと感じます。

特別な教育的支援を必要とする児童を含む全ての児童が、より学習に集中できるようにするための学校環境、教室環境の整備が重要であることは言うまでもありません。その中には、特別教室も含まれるでしょう。しかし、そのためには時間がかかることもあり、「こうしたいな」と思ってはいても、なかなか思うようにいかないことが多いのも現実です。とくに、単学級や複式学級の小学校では、学級担任をしない教員が配置されていなかったり、少なかったりするので、そこまで手を回すには人的・時間的余裕がないこともあります。

教室環境の整備を行うことのメリット

図1 教室環境の整備を行うことのメリット

教材準備をしに行ったのに、探すだけでたくさん時間がかかってしまったでは、せっかくの放課後の時間がもったいないです。特別教室を含む校内の教室環境の整備を行うことには、次のようなメリットがあると考えます(図1)。教職員のためにも、児童にとってもメリットが大きいのです。私自身がよくある経験ですが、雑然とした教室では、子どもたちは使用した道具をどこに片づければ良いかが分からず、結果的に「先生がやっておくからいいよ!」となって、教師の仕事が増えてしまいます。整えられた教室では、子ども自身が自分で片づけることもでき、使ったものをしまうという習慣を指導することもできるようになります。教職員数の少ない学校だからこそ、整った教室環境にしておきたいものです。

「とりあえず、整理整頓」

大がかりな教室環境の整備が必要な場合

これまで私が教務担当になったときには、「とりあえず、整理整頓→つぎに、ラベル表示づくり→すごく余裕があれば、リストづくり」という順序で教室環境の整備を提案してきました。整理整頓と言っても、人それぞれ「整理整頓」の捉え方は異なりますが、私が考える「とりあえず、整理整頓」は、その名の通り「とりあえず」なので、今置かれている場所から大きく配置を変えずにきれいに並べたり、同じ種類のものをまとめたりする程度です。そうするだけでも、しばらくの間は、しのげることもあります。また、理科室の気体検知管のように、6年生だけしか使用しないというようなものは、ある程度きれいにしておけば、次の年度までそのままきれいな状態をキープしておくことができます(←翌年度、きれいな状態になっていないのは、前年度の6年生担任の責任ということにもなってしまうかもしれませんが……)。ほんのちょっとの積み重ねで次に使う人が楽になります。

しかし、そんな「ちょこっと」では済まない場合もあります。写真は、ある小学校の理科室を整頓した際の写真です。十数年間使われずに、戸棚や引き出しにひっそりとしまわれていたものをすべて出してみたところ、このような状況になりました。これは、かなり大掛かりな作業になったので、長期休業中の取り組みとなりました。その点は次回ご紹介したいと思います。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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