小規模校で先生方に「ゆとり」を生み出すための校内環境の整備(14)
業務改善には、「やめる」「減らす」「変える(改善する)」という視点が重要であると言われています。今回は、少し時間を置いてから改善を実行した事例を紹介します。
北海道公立小学校 教諭 深見 智一
余裕のある毎日を送りたい…
余裕ある毎日を送っている…という先生は、学校の規模に関わりなく、残念ながらそれほど多くはないように思います(←それはそれで議論がたくさんありますが…)。
学校の規模や事情に応じて課題はたくさんあると思いますが、小規模校の場合は、「マンパワーの不足」という課題がすでに明らかになっています。そのため、気づいたとしても、「すぐにはできない」「やらないほうがいい」ことも時にはあります。
今回は、後回しにしていた「放送室の整理整頓」を冬休みにチャレンジしてみました。
放送室の一部を整理整頓することで…
以前、本連載の「校内環境整備」の第9回で、DVDやCDがたくさん貯まって整理整頓が必要だった…ということを紹介しました。
それが置かれていたのが放送室でした。昔の「スタジオ」と呼ばれていたスペースは、児童会活動で放送委員会がありますが、現在はほとんど使用されておらず、雑然としていました。DVDやCDとあわせて、あいている棚のうえには、最近になって出番を失いつつある「段ボール箱」「ビデオデッキ」「CDラジカセなどのリモコン(しかも、リモコンだけ)」「旧式の実物投影機」などがたくさん置かれていました。
協力してくださった何名かの先生と一緒に、捨てたり、しまったり(←あまり使われないデッドスペースも有効活用します)して、ゆとりのあるスペースが生まれました。
埋もれている教育資源を有効活用すると
整理整頓することでうまれたスペースは、会議用の机と椅子を置いて、「打ち合わせスペース」となるようにしました。この教室は、玄関や職員室から近く、保護者との面談や教職員の打ち合わせにも使えるようになります。
そっとしておけば「荷物置き場」でしたが、打ち合わせスペースに転換したことで、会議や保護者対応のために、時間のかかる教室棟まで行かなくて済むようになります。広いスペースを必要とするちょっとした作業も行えるようになりました。「整理整頓」が目的ではなく、それを行うことで、学校にある教育資源が有効活用できるようになります。それは、結果的には、教職員の働きやすさやゆとりにつながっていくのだと思います。
ゆとりを生み出すために、あえて長期休業まで「そっとしておく」ことで、本当のゆとりができるのだと思います。
深見 智一(ふかみ ともかず)
北海道公立小学校 教諭
書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。
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大阪大谷大学 教育学部 教授
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