2023.03.26
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苦手の原因を分析する(後編)

だんだんと春の訪れを感じる季節となりました。3月はバタバタすることが多いですが、卒業式や終業式も終わり、教室環境を整えるのにはちょうど良い時期と言えるかもしれません。 前回は片付けをテーマに、苦手について分析を行いました。今回の記事では分析結果にどのようにアプローチしていくかについてお話していきたいと思います。今回もよろしくお願いいたします。

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭 丸山 裕也

視覚支援で見える化

見える化その1

「ここにあるものを、どこにしまえばよいのか」ということは、これまでの経験や知識がかかわっていることを前回のときにお話ししました。

例えば、この写真のようにケースの入り口に名前とイラストや写真を貼っておくだけでも、どこに片づければよいかわかりますね。名前だけでなく、イラストや写真を貼ることも、視覚支援として知的障害の子供にとっては必要な支援となりますね。

ちなみに私はのりを収納するケースに段ボールを使うことが多いです。液体のりはコストパフォーマンスもよく、子どもたちにとっても使いやすいものですが、ふたがあいていると中の液体のりがどろどろとこぼれてしまうことがあります。すると、片付けが大変ですよね。

特別な支援を必要とする子どもたちの中には、不器用さや筋力の少なさから糊のふたを閉めること開けることを苦手とする子も居ます。段ボールだと、こぼれた液体のりを吸ってくれる上、捨ててもまた新しいものをもらってくることができます。

もちろん並行して、ふたを閉めたり、開けたりする練習も行っていく事は大切ですね。大人がやれば早いからと、過多な支援にならないようにしたいですね。

専用ボックスで見える化

見える化その2

扱う物の数が多いだけで、情報過多になってしまって処理がしにくくなってしまうことがありますね。

授業や作業学習で使う物だけを100円均一などで売っているプラボックスの中に入れて、自分で管理をするような環境を整えてもみることも、見える化につながります。

写真はクラスの生徒が実際に使っていた専用ボックスで、その生徒が生活単元学習で使用する道具が一か所に集まっています。

この箱の中は自分で使用する道具だけが収納されているので、自分で準備と片付けを行う様子が見られました。

これも大人が準備してしまえば早いのかもしれませんが、自分でできるようになることはとても大切なことですね。その手助けにこの見える化は大きく役立つと私は考えています。

こんなこと、特別支援学校や特別支援学級、小学校では当たり前のように行われていることかもしれません。ですが、4月には新しい先生や子どもたちと出会うことになりますね。当たり前のことを、伝えたり実践できるように積み重ねていきたいですね。

さて、今期の投稿も残すところあと一回となりました。最後の投稿では特別支援教育について、私が大切に考えていることについてお話をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

丸山 裕也(まるやま ゆうや)

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
公認心理師、学校心理士、障害者スポーツ指導員(初級)、福祉用具専門相談員
「あした、またがっこうでね。」と、子どもも教師も伝え合うことができるような、楽しい学級づくりを目指しています。また、障害のある子どもたちの心の健康について、教育と心理の二面からアプローチしていく方法を考えています。
特別支援学校で出会ってきた子どもたちとの学びを、皆さんにお伝えしていきたいと思っています。


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