2023.01.15
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協応性を取り入れた指導

新しい一年になりました。今年もよろしくお願いいたします。 多くの場所では制限のない年末年始となりましたが、まだマスクをし、ソーシャルディスタンスで、黙食もしてと、いつも通りの日常はまだまだ遠いところにあるようにも感じています。早くいつも通りの日常が戻りますように。 さて、新年一発目の学びの場の記事の内容は初心にかえって「教材」について。「協応性」をテーマにお話していきたいと思います。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭 丸山 裕也

協応性を取り入れた指導とは

「協応性」というと、なかなか聞き馴染みのない言葉かもしれません。
私たちはご飯を食べるとき、利き手で箸をもって、利き手ではない方の手でお茶碗をもち、それぞれの手が別々の動きをしています。また、頭の中では次に食べたいおかずを考え、目でそのおかずに狙いを定めています。
このそれぞれの独立した動きを、一つにまとめて行うことを「協応性」といいます。先ほど説明をしたご飯を食べる動作の場合、私たちは意識をしなくても、その行動ができていることがほとんどです。

それでは逆にこの協応性が不得手だと、どの様なことで困り感が出てくるのでしょうか。

例えば洗濯物を干す場面で考えてみましょう。
片方の手では濡れたタオルを持っています。もう片方の手は吊るされたピンチを開き、そこに濡れたタオルをはさもうとします。この時、皴にならないように目で確認をしながらタオルがピンとなるとようにピンチではさみますね。
もし目と手の協応性がうまくいかないと、このピンチではさむときにピンとなるように干せず、皴になってしまうかもしれませんね。

これまでの経験から特別支援学校に通うお子さんの中には、この協応性が苦手な子も居るように感じています。

教材にも協応性の視点を

洗濯ばさみの練習教材

この教材は協応性が苦手なお子さんのために、洗濯ばさみではさむ場所を確認しながら、トレーニングをする教材です。簡単に見えるかもしれませんが、協応性が苦手なお子さんが取り組むと意外とできなかったり、難しかったりします。
もしクラスで洗濯ばさみをうまく使えないお子さんが居たら、自立活動などで取り入れてみてもいいかもしれません。

食べたり、片づけたり、日常生活の生活動作の中には、この協応性がかかわる動作が沢山存在しています。日常生活動作の指導では、感覚や手の発達を促すことや、感覚のアンバランスさ運動面の遅れなどにフォーカスされがちですが、協応性に関わる内容にも視点を当てて指導を考えていきたいですね。

丸山 裕也(まるやま ゆうや)

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
公認心理師、学校心理士、障害者スポーツ指導員(初級)、福祉用具専門相談員
「あした、またがっこうでね。」と、子どもも教師も伝え合うことができるような、楽しい学級づくりを目指しています。また、障害のある子どもたちの心の健康について、教育と心理の二面からアプローチしていく方法を考えています。
特別支援学校で出会ってきた子どもたちとの学びを、皆さんにお伝えしていきたいと思っています。


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