2022.05.27
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教師の五感を磨く~『嗅覚』を磨く~学級づくりにおける危険な『臭い』 (11)

教師の五感を磨く。
今回は、前回に引き続き"「嗅覚」を磨く"について語ってみたいと思います。どんな学級でも、どんな学校でも、一年間の学校生活の中で、いいときもあれば、そうでないときもあります。一年間、子どもたちにとって愉しい学級、そして学校であるために、嗅覚もまた大切にしましょう。特に、1学期折り返し地点が大事ですね。

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部子どもコミュニケーション学科准教授 川島 隆

犬の持つ「嗅覚」

私たちにとって身近な動物である犬。犬は、散歩中電信柱の臭いを熱心に嗅いだ後、片足を持ち上げておしっこしますよね。実は、この電柱に残された臭いには、近所の犬の生理状態や社会的順位、立ち去ってからの時間等、私たちが考え及ばないほどの多くの情報が隠されているそうです。
そして、彼らは自分の散歩するルート上に散在するチェックポイントをひと巡りすることで、彼ら自身の地域社会における最近の動向や事件をつぶさに把握するのだそうです。犬たちの何気ない行為には、こんな深い意味があるのですね。もし言葉が通じるものなら、近所を散歩している犬たちにインタビューしてみたいものだと思いました。

さて、私たち、人間にはそんな嗅覚はありません。
が、だからと言って「臭い」に鈍感なままでよいわけではありません。学級、学校における危険な臭いには、敏感でありたいものです。それは、子どもにとっての安心・安全な場を創る、教師の重要な感覚だと思います。

学級づくりにおける危険な「臭い」

学級における危険な臭いは、結構身近なところで感じることができるように思います。ちょっとした些細なところに。
ここでは、二つのポイントを紹介してみます。

①教室内に落ちているゴミ、そのままになっていませんか。

教室は、教師と子どもが生活する場ですから、汚れもすれば、ゴミも出ます。床にゴミが落ちていることもあるでしょう。
皆さん、落ちているゴミを見つけたら、どうしますか? 拾いますか? そのままにしておきますか? 子どもに知らせますか? 黙っていますか? 
対応は、様々考えられると思います。

ただ、いろいろな教室を見ていくと、教室内に落ちているゴミが、そのままになっている場合があります。30人も子どもがいれば、だれかが気付くはずです。でも、見て見ぬ振り。
先生だって、気が付くはずです。よっぽど忙しければ、教室にいる時間が短ければ、落ちていることもあるでしょうけど。

ゴミが落ちたままという状態は、子どもの心に黄色信号が灯っている状態だと思います。
一人一人の問題であり、学級の皆の問題です。

私が学級担任をしていた頃、私は朝、子どもたちが登校する前に教室に足を運び、できるだけ教室で子どもたちを迎えるように心掛けました。また、下校時、子どもたちを教室で見送ると、教室内を見渡して施錠の確認と共に、一人一人の机周りをザッと見渡します。ゴミが落ちていたり、汚れがひどかったりすれば当然気付きます。
そうしたことは、先輩教師の姿に学んだことでした。そうした朝夕の教師の動きは、子どもの状態を把握する手立ての一つになっていました。

朝は、勤務の状況で難しい場合があれば、せめて放課後、子どもを下校させた後の教室に留まり、その日1日を振り返ると共に、子どもたちの状態を教室から感じ取ってみてはいかがでしょうか。

②掲示物が破れたままになったり、落書きがあったりしませんか。

掲示物には、個人のもの、グループによるもの、学級全体に関わるものと様々ですが、いずれも子ども同士がお互いに大事にしよう、自分たちの学級を大切にしようという思いがあれば、こんなことは、起こりにくいことではないでしょうか。私の生活している場を大切にしたい、居心地のよいものにしたいというのは、極々自然な気持ちだと思いますし、そういう思いを子どもたちの中に育んでいきたいですよね。

でも、実際には、子どもから、マイナスの思いが出てきてしまうこともあり得ることです。そんなときに、自浄作用が働き、子どものかかわりの中で、元に戻していく。そういう学級を創っていきたいものです。

そのためには、まず教師自身がそういう危うい「臭い」に敏感になることです。「未然防止・早期発見・早期対応」。これは、いじめ対応の基本に通じることですね。

むすびに

犬のようにクンクン嗅ぎ回るのも品がありませんが、子どもの活動する姿を見ながら、子ども同士の話に耳を傾けながら、子ども社会の動向を把握できる「嗅覚」、子どもの安心・安全な生活を創る「嗅覚」を磨いていきたいと思います。

川島 隆(かわしま たかし)

浜松学院大学 現代コミュニケーション学部子どもコミュニケーション学科准教授
前浜松学院大学短期大部 幼児教育科 特任講師


2020年度まで静岡県内公立小学校に勤務し、2021年度は、短期大学幼児教育科に身を置き、幼稚園教諭・保育士を目指す学生の指導・支援にあたりながら、幼小接続の在り方や成長実感を伴う教師の力量形成を中心に研究に取り組んできました。2022年度は、四年制大学に場をうつし、小学校教員養成に携わりながら、引き続き教育現場に貢献できる研究と教育に微力ながら力を尽くしていきたいと考えております。

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