2023.05.24
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単学級小学校での学級経営の1年~学習指導で6月に大切にしたいこと~(3)

まもなく6月になります。6月は連休もなく、学級担任としては少し長い月に感じるかもしれません。少し中だるみになりそうな 6月ですが、前向きに考えれば夏休みまであと2か月です。夏休みまでの折り返しのこの時期に、学習指導で単学級担任として気をつけたいことを紹介したいと思います。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

「隣のクラスと揃える必要がないから楽」という単学級担任の意見

以前私が実施した単学級担任へのアンケート調査の結果の中で、単学級担任が楽と感じる理由の一つに、「学習の進度」に関わる意見が意外にたくさんありました。

「隣のクラスと揃える必要がないから楽」「少し遅れても大丈夫という安心感」「担任として重点的に指導したい、もっと工夫して教えたいと思う単元に時間をかけられる」というメリットもあるようです。 

単学級担任だからこそ大変なこともたくさんあるので、複数学級ではない単学級担任としてのメリットも、もちろんあってよいのではないかと私は考えます(学校の年間指導計画にある程度沿ってのことで、何をやっても良いということでは当然ありませんが…)。

単学級小学校だからこそ、教務主任が教育課程の実施状況の管理をしっかりと…

「教務だより」として授業時数・学習進度についての呼びかけを行っていました。

教務主任の業務の一つに、教育課程の実施状況の管理(学習進度や授業時数の確認)の仕事があります。以前、教務主任になったばかりの頃に参加した研修会で、経験ある教務主任の先生に「時数を管理しているだけではダメですよ!」ということを言われたことを思い出します。

「○○の教科(○年生)の進度が遅れている」という学校へのご意見・苦情へ対応していくと、そのような学校(学級)では、「ほとんど教科書を使用していないで授業を行っている」「特定の領域のことばかりやっている(例:音楽の学習で鍵盤ハーモニカばかりやっていて、歌う学習をしていない)」「保護者や児童に学習の進み具合が十分されていない」ということも分かるようです。

実際、私自身も、単学級の小学校で、学習指導に関する一つの問題が分かったときに、それに付随してたくさんの問題も明らかになったということを経験したことがあります。


「うちのクラスの進度、大丈夫ですか?」と聞いてみましょう

単学級小学校の場合だと、 隣の学級がない分、学級担任が学習進度の遅れに気づきにくいという問題もあります。それで、4月から2か月ぐらい経過した今のこの時期ぐらいに、学級担任の先生は教務主任に、「授業時数や学習進度、大丈夫ですかね?」と確認、診断を求めてみると良いかもしれません。

そうすると、年間指導計画に合わせて適正な進度になっているか、前年度の同じ学年と比べてどうか、(もしかすると)近隣の学校の状況と比べてどうか、など学級担任とは違う視点でアドバイスを頂くことができます。また、複数の視点で確かめた方が安心して時間割を作成したり、学習指導したりできると思います。

今は学校のホームページに、学年の時間割を掲載している学校も増えてきています。私は学級担任をしていた時には、近隣にある単学級の小学校のホームページをいくつか調べて、「あ~、進んでいる学校もあるな」「ちょっと、うちのクラス遅いかも…」と参考にさせて頂くこともありました。

学級担任も教務主任もお互いに声をかけあうことで、より良い学習指導につながっていけばと思います。


深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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