2024.01.19
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3学期(2期制の後期後半)・冬休み明けラスト3か月の学級運営

あけましておめでとうございます。
皆さん、いかがお過ごしですか。
さて、今回は連載をお休みして、冬休み明けラスト3か月の学級運営について書きます。
私のやり方が正しいかどうかはわかりません。でも私は私だから私のやり方しか知らない笑。
とにかく、まだ経験の浅い先生方の参考になれば嬉しいなと思って、なるべく具体的な実践を書いておきます。

東京都内公立学校教諭 林 真未

週案の、科目と単元名+第〇時 だけは埋めてしまう

年間を見通した計画的な指導を……って言われますけど、実際の現場では、週案を、前の週に書くことの積み重ねで過ごしがち。
ですが、冬休み明けの最後の約10週間=約3か月は、始まる前に、ざーっと週案を書いちゃいます。

まず、年間予定で授業カットの日や6年生を送る会等の予定を書き込み、総時数を確定。
その後、国語と算数の単元名と時数をざっと書き込みます。テストの時間をとるのも忘れずに。特に国語は学ぶべきことがたくさんあるので、物語や説明文の大きな単元と言葉の小単元を同時進行で組み合わせて埋め込みます。
もちろん、算数もきちんと最後まで終わらせられるか確認します。
他の教科はとりあえず教科名だけ入れていく。
こうして、最終的にどの教科がどれくらいの時数になるかを確認します。

これさえしておけばかなり安心。
多少の微調整があっても、年度末に「学習が間に合わない」と慌てることはありません。

それに、大掃除やお楽しみ会の計画も、だいたい、いつどのくらいとれるかがわかるし、道具の持ち帰り等も計画的にできます。
ちなみに、私は、教室のワックスがけを、子どもたちがいる最後の金曜日の放課後にやって、土日乾かすという技を先輩から教わって実践しています。こうすると、机を運び出すのも運び入れるのも、子どもたちの力を借りることができるという!

学級経営を語ると言いつつ、なぜこのことをいの一番に書いたかといえば、私は、一日一日を大切に、毎回、丁寧な授業をすることが、学級の安定に大きく影響すると考えるからです。

そのために、まず、この学期のすべての週案を見通すことで、最後の学びの地図を頭の中に描いておくのです。
そして、この地図に基づいて、日々の授業準備をしていきます。

「修了式まであと〇日」の日めくりを作って掲示する。

冬休み明けから修了式までの学校に来る日数を計算し、「あと〇日」の日めくりを作ります。ひとつひとつの紙は、子どもたちに手分けして作ってもらいます。
それをまとめてよく見えるところに掲示し、毎日めくっていく。

こうすることで、「もうすぐ✕年生なんだからしっかりして」なんて言わなくても、おのずと、もうすぐ進級だということが伝わります。

毎日ちらちらと「あと〇日」が目に入ることで、もうすぐお別れのクラスメートと、最後まで仲良くやっていこうという気運が盛り上がることも期待します。

けんかやトラブルがあったときも、「ほら、もうあと〇日なのに。けんかしている場合じゃないよ」と使います。

日めくりは、数字だけじゃなく、なにか絵も描いてあると楽しいですよね。そうしたら、めくるごとに楽しめます。
いよいよ修了式が近づいてから日めくりをやるクラスが多い気がしますが、どうせなら、1月の最初からやっておいたほうがいいです。

指折り数えるのはやめましょう

なかには、とても大変なクラスを任されてしまって、年度の終わりが来るのを、指折り数えて待っている、という方もおられるかもしれません。

でも、よく考えたら、ホントは「大変なクラス」という表現は正しくないですよね。
「”大変な”子が複数いるけれど、そうでない子もそれ以上にたくさんいるクラス」ではないですか?

そして、”大変な”子に対応するためには、4月から幾度も、そうでない子たちに我慢させたり、充分なことができなかったりした状況があったと思うのです。
それを考えたら、彼ら彼女らとの別れを指折り数えて待つのは、とても不誠実なことだと思います。

最後の数か月、なるべく”大変な”子にエネルギーを持っていかれないようにして、そうでない子たちに対して、これまで以上に誠実に丁寧に過ごしたいです。

指折り数えて終わりを待つのはやめませんか。

今まで伝えたことを、さりげなくふりかえる

もちろん、授業の中で既習事項をふりかえって、学習の最後の仕上げをすることもありますが。

私がふりかえりたいのは、一年かけて伝えてきた価値観のこと。
ひとりよがりな価値観を押し付けてはいけないので、私は、毎年受け持ったクラスで、古来から言い伝えられてきた言葉を、ことあるごとに共有します。

今年共有してきたのは、柔道の言葉「精力善用自他共栄」
自分の持てる力をどうせならいいことに使おう、そして自分も人もともによくなろう、という意味で、柔道家なら知らない人はいない、柔道の祖・嘉納治五郎先生の有名な言葉です。
私が、マット運動の一環で、柔道の受け身を教えたときに、この言葉を共有しました。

そして毎年お馴染み「情けは人の為ならず」。
人に優しくしたら、そのことは周りまわって自分に返ってくる、という諺。
長年生きてきて、これは痛感しているので毎年子どもたちに教えます。

算数授業の『学び合い』で得た助け合いの精神も、ずっともっていてほしいし、「いじめを許さない」という強い意志も持ち続けてほしい……。ああ、欲は尽きない。改めて演説はしませんが、こういったことを、ちょこちょこと繰り返し伝えます。
……残念ながら、たいていの子が、きっと忘れちゃうんですけどね(*_*)。それでも悪あがきはやめません笑。

爪痕は残さないように

次の年に「またマミ先生がいい」と言われるのはとても嬉しいことです。
でも私は喜ばない。

子どもたちは新しい年度になったら新しい先生にすぐ馴染んでいきます。
あの親しく過ごした日々はどこへやら。たまにあっても、嬉しそうに手を振る子もいるけれど、おすまし顔で通り過ぎる子のほうが多い。
でも、それでいいのです。
いえいえ、それがいちばんです。

だから、スタンドプレーで子どもたちに強い印象を残して終わろうとは思いません。
むしろ淡々と、ただし明るさを二割り増しぐらいにして、最後の学期を過ごします。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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