2022.02.02
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国語科における文学作品の新たなカリキュラム設計~「逆向き設計」論に基づく「ゆうすげ村の小さな旅館」の実践提案1~(第7回)

今回は、「ゆうすげ村の小さな旅館」の具体的な指導案について紹介したいと思います。

明石市立錦が丘小学校 教諭 川上 健治

「ゆうすげ村の小さな旅館」小学3年生国語

指導案

今回は、具体的実践として「逆向き設計」論に着目しながら考えた「ゆうすげ村の小さな旅館」について紹介します。

ゆうすげ村の小さな旅館については、昨年度も紹介していますが、もちろん、授業に完璧はないので、昨年度のものから「逆向き設計」論を援用しながら、さらに改良を加えて指導案を考えてみた。

指導案を見て分かる通り、今回の「本質的な問い」を「人間と自然、動物との良好な関係性とは?(文学的認識力) そのことについて、作者の散りばめられた仕掛けをどう関連づけて想像的思考力を働かせられて読みとれるか(想像的思考力)」という2点に設定した。換言すれば、想像的思考力を働かせながら人間と自然との共生の大切さという文学的認識力を付けるということである。
そして、この「本質的な問い」を考えさせるための課題である「パフォーマンス課題」は「あなたは、プロの少年作家です。最近、読む絵本がなくなって退屈している先生の子ども(6歳)から『面白い物語を作ってください』という依頼がありました。そこで、今まで学習した物語の構成(導入―展開―山場―終結)と作者のテーマ、本単元で学習した『仕掛け』の3つの知識を使って、物語を創作してください」と設定した。
この課題のミソとして、まず一つ目の要素として、プロ少年作家という状況を作ることである。というのも、このパフォーマンス課題が「真正性」を含んだものであるかどうかが重要であり、今後子供たちが、社会に出た時にでも使える礎のような汎用性の伴った力を身につけさせられるような課題であるべきである。もちろん、教室でやっているという時点で、「リアル」なものには成りえないことのほうが多いのだが、こういう「設定」をすることにより、児童も意欲をもって取り組めるだろう。

また、二つ目の要素として、「先生の子ども(6歳)に」という目的意識をより具体的にもたせることである。もちろん、これは教師と児童との信頼関係が築けていての条件になるが、児童は、先生の子どもが実際に動画に出てきて、自分たちに「面白いお話を創って」と呼びかけられた段階で、架空の人物や関りの薄い1年生等よりも、より前向きな気持ちになると考えられる。また、6歳という年齢を具体的に与えることによって、「相手の立場を配慮した」という情意面を見取る際の指標にもなる。
(情意面等の話は紙幅の都合で割愛させていただきます。また、何かの機会があれば紹介します。)

そして、三つ目の要素として、本単元で見取りたい「想像的思考力」「論理的思考力」「言語化能力」の3つの観点がみとれるものになっているかどうかである。今回は、「物語の構成」を学習してきた四部構成として条件づけているので、この構成をつくることで「論理的思考力」を見取ることができる。
また、「しかけ」をテーマに関連付けることで「想像的思考力」を見取ることができる。そして、それらを言葉として表現させることで「言語化能力」を見取ることができる。そして、何をどう見取るかという評価基準までを明記しておく。

奥村(2020)は、「育てたい子どもたちの姿を実現する可能性を高めるために何を考えるべきかという『枠組み』を提供しているのである」[i]と述べているように、「逆向き設計」論は、今までのべてきたような「枠組み」を設計していくことで、何を児童に学ばせたいのか、どういう力をつけさせたいのかということを考えやすくする。そして、この「枠組み」を基に、授業のより具体を考えていくと教師の想いと教材の価値と児童の実態との間にズレが生じにくくなると考える。

本来ならば、なぜ「論理的思考力」なのかや、なぜ「想像的思考力」なのか等も紹介できればよかったのですが、紙幅の都合がありますので、割愛させていただきました。また、情意面のことも含めて、何かの機会がありましたら、そこで。

川上 健治(かわかみ けんじ)

明石市立錦が丘小学校 教諭
クラスの全員が楽しく学び合い「分かる・できる」ことを目指して日々授業を考えています。また、様々な土台となる学級経営も大切にしています。

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